- 国内希少野生動植物種や生息地等保護区の指定拡大、保護増殖事業の推進等による対策の強化。種の保存法による施策と自然公園施策等との連携の強化。
- 緊急避難的な対策に加えて、地域個体群を消滅させないという観点から島嶼や里地里山など絶滅危惧種が集中する場所や湿地のように全国的に減少が著しい生息地などを特定して、その保全、再生を早い段階で進めるなど、絶滅を未然に回避する予防的措置を展開。
- 猛禽類や海棲動物の生態・生息実態調査と保護対策の推進。
○「利用調整地区」制度の新設
- 原生的な生態系を有する地域における過剰利用に伴う植生破壊等の問題に対応し、利用人数や滞在期間等のコントロールができる「利用調整地区」制度を新設。
○野生動物の採捕規制等の追加
- 高山蝶をはじめとする野生動物の採捕、土石や廃タイヤ等の野積みによる動植物の生息・生育地の破壊、利用者の踏込みによる植生破壊等について、特別地域内での行為規制を追加。
○「風景地保護協定」制度の新設
- 二次草原や里山など、第一次産業の衰退により荒廃や植生遷移が進行し、生物多様性の確保が困難になってきている二次的自然環境を適切に維持管理するため、自治体やNPO等と土地所有者等が協定を締結し風景の保護を図る制度(「風景地保護協定」制度)を設ける。この際、自然公園法の手続きの免除や土地所有者の税制優遇措置も併せて行う。
○「公園管理団体」指定制度の新設
- 地元NPO等公園を管理する能力のある団体が増えていることから、その積極的な活用を図るため「公園管理団体」の指定制度を設け、地域に密着したきめ細かな公園管理を推進する。
(なお、鳥獣保護法についても、今国会に提出した改正案において、その目的に生物多様性の観点を追加。)
- ラムサール条約における湿地の定義が、浅海域やサンゴ礁、水田等の人工湿地も含む幅広いタイプをいうものとなったことを受け、生物多様性保全の観点から、湿原、河川・湖沼、湧水地、ため池や水路、浅海域の干潟、藻場、サンゴ礁など、様々なタイプの湿地を対象に、重要な湿地を500ヶ所選定。これらについて、保護地域化の促進や事業配慮の徹底等により湿地保全の強化を図る。
- 情報が不足している干潟、藻場等の浅海域の生物相や生息環境について、自然環境保全基礎調査の中で本格的な調査に着手。(浅海域生態系調査)
- 計画・事業・維持管理の各段階を通じて各省との連携を図り、市民参加を確保するため、自然再生事業推進会議を設置。
- 平成14年度環境省予算案は次のとおり。(各省もそれぞれ予算化)
○自然再生基本調査(30百万円)
○自然再生推進計画調査(518百万円)
- 自然再生事業の円滑かつ効果的な実施に向けた生態系の観点からの詳細な調査。
○自然再生整備事業(直轄)(4億円)(13年度2次補正:4億円)
- 釧路湿原で実施。直線化された河川の再蛇行化と連携した湿原再生。(国土交通省、農林水産省と連携)
○ふるさと自然再生事業(補助)(20百万円)
- 埼玉県くぬぎ山周辺で実施。都市近郊の里山において改変された区域を雑木林として再生。(国土交通省と連携)
- 14年度新規予算 10百万円。
- 里山の改変や管理放棄などによる自然環境の質の低下を踏まえ、里山等の身近な生態系の保全について、地域における課題を整理し、地域住民やNGO等多様な主体の参加による保全活動を効果的に進めるために、技術的実践的手法と体制づくりに必要な条件をモデル事業の実施によりマニュアルとして整理し、保全活動の効果的推進に役立てるもの。
- モデル地域は、西日本のアカマツ林タイプと東日本のコナラ林タイプといった管理手法が異なる代表的な生態系タイプ毎に設定。
- モデル事業においては、[1]里山保全の地域的課題の整理・活動事業計画の策定・動植物の目録及び分布図作成、[2]活動資器材の購入整備・竹及び根茎の除去・笹の刈払い等の活動基盤の整備、[3]下草刈り・野生生物生息環境の管理等の市民による維持管理活動の実施等を行い、併せて、[4]環境学習プログラムの検討、自然環境の維持管理を担うNPO法人化等の諸条件整理、管理体制の検討等を行い、活動実施に係るマニュアルを作成する。
- 移入種については、条約締約国会議で示された中間的指針原則に沿って、[1]侵入の予防、[2]侵入の初期段階での発見と対応、[3]定着した生物の駆除・管理の3段階で必要な対応を推進。
- 特に「移入種の定着状況調査と要注意種リストの早急な作成」、「ペット等国内での移入種の利用に先立つ影響評価と利用の制限」、「輸入実態の把握と水際での管理の検討」、「飼育動物の管理の徹底」などが重点課題。
- 移入種対策を総合的に進めるため関係機関の連携体制を確保。
- 自然環境保全基礎調査の新たな展開の柱として実施。
- 自然環境の劣化を早期に把握し、要因を特定するなど、戦略的な保全施策の推進に資するより質の高いデータを継続的に収集するため、地域の専門家やNPO等のネットワークを活用したデータ収集の仕組みを構築し、全国1,000ヶ所程度の定点(モニタリングサイト)を国が設定して動植物や生息・生育環境の長期的なモニタリングを展開。
- サイトとしては、自然性の高い森林、草原、湿地、希少種が生息・生育する里地里山、渡り鳥の飛来地、豊かな生物相を有する干潟、藻場、サンゴ礁等の浅海域など生物多様性の保全上重要であると考えられる生態系だけでなく、都市内の樹林地など比較的人為の影響を受けていると考えられる生態系等についても対象とする。
- サイトの広がりは、鳥類や中型哺乳類を対象とした調査には数kmの広がりで、昆虫や植物を対象とする調査は狭い範囲で行うなど、対象とする生物の生態特性に応じた階層的な構造とし、効率的に設定。
- 各サイトでは、気象や人為的影響要因などの環境条件を把握するほか、それぞれの生態系の特性に応じた監視項目(例:主な生物相、指標種等の分布・生息状況、生物現存量等)を定めてデータの蓄積を図る。