(参考) 農薬の登録制度と登録保留基準について

1.農薬取締法上の位置づけ
 
 農薬は、農薬取締法に基づき農林水産大臣の登録を受けなければ、これを販売してはならないとされており、この登録にあたっては、農林水産大臣は、申請者の提出した資料等に基づき登録審査を行い、申請農薬が次のいずれかに該当する場合はその登録を保留することとなっている(農薬登録保留基準)このうち4)から7)までの基準は環境大臣が定めることとされている。

(農薬取締法第3条)
1)申請書に虚偽の記載があるとき
2)農作物等に害があるとき
3)通常の危険防止対策をとってもなお、人畜に危険を及ぼすおそれがあるとき
4)農作物等への残留が原因となり、人畜に被害が生ずるおそれがあるとき
5)土壌への残留により農作物等が汚染され、それが原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるとき
6)水産動植物に著しい被害を生ずるおそれがあるとき
7)水質汚濁が原因となり、人畜に被害が生ずるおそれがあるとき
8)名称が不適切であるとき
9)薬効が著しく劣るとき
10)公定規格が定められているもので、それに適合しないとき
 

2.環境大臣が定める登録保留基準
 
 農薬登録保留基準のうち環境大臣が定める上記4)~7)の具体的な内容は以下のとおりである。
 土壌残留及び水産動植物に対する毒性に係るものは全ての農薬に共通の基準が設定されているが、作物残留及び水質汚濁に係るものは個別農薬ごとに基準値が設定されており、必要に応じ環境大臣が当該基準値を定めることとされている。
4)について(作物残留に係る農薬登録保留基準)
申請された使用方法で使用された場合に農作物等に残留した農薬濃度が
ア) 食品衛生法の食品規格に適合しない場合
イ) ア)が定められていない場合は環境大臣が定める基準に適合しない場合

5)について(土壌残留に係る農薬登録保留基準)
農薬の成分物質等の土壌中での半減期が、規定されたほ場試験及び容器内試験で1年以上の場合等

6)について(水産動植物に対する毒性にかかる登録保留基準)
農薬による48時間でのコイの半数致死濃度が0.1ppm以下で、かつ毒性の消失日数が7日以上の場合(水田において使用されるものに限る。)等

7)について(水質汚濁に係る農薬登録保留基準)
ア) 水田水中での農薬の150日間の平均濃度が、水質汚濁に係る環境基準(健康項目)の10倍(水田において使用するものに限る。)を超える場合
イ) 水質汚濁に係る環境基準(健康項目)が定められていない場合は、水田水中での農薬の150日間の平均濃度が、環境大臣が定める基準を超える場合