別添

 国連森林フォーラム閣僚宣言及びWSSDへのメッセージ
 
 (環境省仮約)

 
  1. 我々各国の森林に責任を持つ閣僚は、1992年にリオで開かれた国連環境開発会議で採択された森林原則とアジェンダ21に関する約束を再確認する。リオ以来、著しい進展が得られた。森林に関する政府間パネル(IPF)、森林に関する政府間フォーラム(IFF)や国連森林フォーラム(UNFF)により森林問題とその複雑性に関する我々の共通の理解が進んだ。我々は、地域プロセスにより多大な貢献がなされたことを認識し、その一層の強化を推奨するが、多くの課題が残されていることも認識している。
     
  2. 我々は、IPF/IFFにより行動提案の実施を約束する。それぞれの国がIPF/IFF行動提案の実施に関する第一義的な責任を有することを認識しつつも、途上国や経済移行国における持続可能な森林経営を確保するためには財政、貿易、環境上健全な技術の移転及びキャパシティ・ビルディングが極めて重要であり、国際社会がそのための協力を強化する必要があることを強調する。我々は、国家森林計画又はそれに類するアプローチ、持続可能な森林経営のための基準・指標の役割、自発的な認証システムの重要性を強調する。
     
  3. 我々は、森林及び森林外の樹木が世界の地表面の約1/3を占め、地球及び人類の経済的、社会的、環境的な便益が持続可能な森林経営と密接にリンクしていることを強調する。我々は、世界の森林の減少や森林及び土地の劣化が引き続き高い割合で進行していることを憂慮し、この傾向を逆転させるために働くことを約束する。
     
  4. 我々は、発展の必要性や社会経済開発のレベルに応じ、また、持続可能な開発に沿った国家政策、法制に基づき、各国がその国の森林の利用、管理及び開発に関して譲渡不可能な主権を有することを再確認する。そのような政策には、全体的な社会経済開発計画の範囲内での、また、合理的な土地利用計画に基づくき、他の森林原則と矛盾しないような森林の多様とへの転用を含む。
     
  5. 天然林、人工林双方を含む森林の持続可能な森林経営は、持続可能な開発を達成するために本質的なものである。森林は他の部門に影響を及ぼすとともに、他の部門からの影響を受ける。このため、全ての部門の政策及びアプローチは、それらの横断的な影響を考慮して発展させられる必要がある。
     
  6. 全てのタイプの森林の管理、保全及び持続可能な開発は、多様で時には互いに衝突するような、政府、大衆、私的な所有者、管理者その他のステークホルダーの関心事である利害の調整を含む。我々は、持続可能な森林経営に向けた活動への多様なステークホルダーの参加の重要性を強調する。政策やプログラムが立案され、実施される際には、森林の総合化に関する官民のパートナーシップに向けた様々な機会が存在するので、その活用が図られるべきである。
     
  7. 持続可能な森林経営に向けたチャレンジの一つは、長期的には自己資金を確保することと、森林により提供される多様な機能、産物及びサービスの価値を認識することである。我々は、持続可能な森林経営のために、貿易及び貿易に関するキャパシティ・ビルディングが重要なことを確認する。国内及び国際的な公私の資金源は、この目標を達成するために相互補完的な役割を果たす。途上国が国際的に合意された開発ゴール及び持続可能な開発の目標、とりわけ持続可能な森林経営を達成するためには、既に合意されたレベルのODAが必要である。
     
  8. 森林、貧困、生産消費のパターン、国際協力及び全てのレベルにおけるガバナンスは、森林の減少、劣化の原因に立ち向かうために不可欠である。我々は、全ての国において、地方開発や持続的な生計の確保を含め、貧困の撲滅や持続可能な開発を達成するために持続可能な森林経営が果たす役割を強調する。
     
  9. 我々は、水平的、包括的なアプローチにより国家的、地域的、世界的なレベルで行われる持続可能な森林経営の実施を促進し、調整するために確立された国際的な森林に関するアレンジのユニークな特徴を強調する。我々は、UNFFの主導的な役割を強化し、UNFFを成功に導くことを約束する。我々は、UNFFの行動計画を承認し、その多年次作業計画を歓迎し、森林に関する連携パートナーシップ(CPF)を支持する。我々は、国家的、国際的なレベルでのCPFメンバー、地域プロセス及び各国政府の横断的な協力の必要性を強調する。
     
  10. 我々は、UNFFが関連するリオの条約の総合化を進め、各国の経験と教訓を交流し、CPFメンバー機関や他のステークホルダーとの対話を行う必要性を強調する。
     
  11. 我々は、CPFに対し、UNFFの作業を支持し、彼らが有する技術的、財政的資源の活用を含め、IPF/IFF行動提案の実施に積極的に貢献することを要請する。その関係で、我々は、UNFFの作業を支持するためのCPFの枠組みに注目し、これらの優先分野がCPFの決定組織で言及されるよう、CPFメンバー機関の加盟国に求める。
     
  12. 生物多様性条約(CBD)、砂漠化対処条約、気候変動枠組条約及びその他の関連する条約の作業は、UNFFの行動計画と相互補完的であり、かつ、行動計画を支援するものである。我々は、それらの条約の締約国に対し、国家行動計画、戦略の実施という文脈において、適切な場合には、IPF/IFF行動提案の実施を支援するよう、また、それらの条約や条約事務局とUNFF及びUNFF事務局との効果的な協力と調整とを奨励するよう求める。
     
  13. 我々は、森林が生物多様性の主要かつ豊かな貯蔵庫である事を強調するとともに、相互に関心を有する分野でのCBDとUNFF事務局との効果的な協力を奨励する。この関係で、生物多様性条約第6回締約国会議で検討されるべく「森林と生物多様性に関するアクションオリエンテッドな改訂CBD作業計画」の準備が進められていることに注目する。
     
  14. 持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)は、持続可能な森林経営に関する政治的な約束を強化し、国際協力を推進するとともに、IPF/IFF行動提案の実施を支持するユニークな機会を提供する。我々は、持続可能な開発を達成し、関係政府や民間部門や先住的な人々、地域社会、NGOを含むステークホルダーのパートナーシップを推進するための基盤に対する具体的かつ特定的なイニシアチブを要請する。そのようなパートナーシップは、関連するステークホルダーとアクションオリエンテッドなイニシアチブを特定し、IPF/IFF行動提案の実施を強化するための方法を探索する通常のアプローチであると考える。
     
  15. 我々は、WSSDに以下の行動を求める。
     
    a) 持続可能な森林経営を、貧困の撲滅、土地や資源の劣化食糧安全保障の改善や安全な飲料水へのアクセス、入手可能なエネルギーのための重要な手段として推進するとともに、天然林、人工林双方がこの惑星及び人類に対して有する多様な便益を強調すること。
     
    b) 統合的なアプローチによる森林部門と他の部門との関係十分な考慮を払いつつ、持続可能な森林経営が国際的な政治的議題の中の優先的課題であることを認めることにより、その達成に向けた政治的約束を強化すること。
     
    c) GNPの0.7%を途上国に対するODAに提供するとの目標、及び先進国のGNPの0.15〜0.20%を最貧途上国(LDCs)に提供するとの第3回国連最貧国会議で確認された目標を達成していない先進国に対し、その達成に向けた具体的な努力を要請すること。また、途上国に対し、ODAが開発目標、目的の達成の支援に向けて効果的に用いられるような進展を得るよう奨励すること。全てのドナーの努力を認め、ODAが目標を超え、又は目標に到達しているか目標に向けて増加しているドナーを賞賛するとともに、目標と目的を達成するための手段とタイムフレームとの検証を企てることの重要性を強調すること。
     
    d) 国際社会の支持を得つつ、国内的な森林法の施行、森林の生物資源を含む林産品の違法な国際貿易に関し、また、この分野における国内法制度の整備に関連する人的、制度的キャパシティ・ビルディングに関し、直ちに行動をとるよう要請すること。
     
    e) 持続可能な木材の収穫を推進し、持続可能でない木材の収穫への対策をとるため、国家的、国際的レベルにおいて直ちに行動をとるよう要請すること。
     
    f) 現在貧困に直面し、森林減少が最も著しく、影響を受けている政府から国際協力が歓迎されるような地域のニーズに対処するためのイニシアチブを、特に要請すること。
     
    g) 資金提供額の増加、環境保全上健全な技術の移転、貿易、キャパシティ・ビルディング、森林法の施行、全てのレベルにおけるガバナンス、IPF/IFF行動提案を含む持続可能な森林経営の実施に向けた統合的な土地と資源の管理を推進するためにパートナーシップと国際協力を築き、強化すること。
     
    h) 持続可能な森林経営を達成するための資金、環境保全上健全な技術の移転、貿易及びキャパシティ・ビルディングに関する国際協力を強化すること。
     
    i) IPF/IFF行動提案の実施を早めるとともに、2005年における進捗状況の評価に貢献するためにUNFFへの報告に関する努力を強化するよう、各国及びCPFに対して要請すること。
     
  16. 我々閣僚は、引き続き森林問題に関する国際的なアレンジの推進とUNFFへの参加を約束することを誓い、この国際的なアレンジの合意された基準に照らした有効性をレビューするために2005年のUNFF第5回会合で再会することに合意する。