全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)平成13年度冬期観察の実施計画及び平成13年度夏期観察の結果


 

 1 平成13年度冬期観察の実施計画

(1) 観察期間 平成14年1月4日(金)から1月17日(木)まで
 (この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法 [1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。
[2] 双眼鏡を用い、すばる(プレアデス星団)のラケット形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
[3] すばる付近の1等星(アルデバラン)を中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
 
(3) 参加方法 都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境担当部局(別表参照)へ参加申込みを行い、「観察の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境担当部局まで報告する。
 
 

 2 平成13年度夏期観察の結果

(1) 観察期間 平成13年8月9日(木)から8月22日(水)まで
 (この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法 [1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察する。
[2] 双眼鏡を用い、こと座の1等星(ベガ)を中心とする夏の大三角の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
[3] こと座の1等星(ベガ)を中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
 参加団体から報告された3項目の観察結果については、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長 村山定男 国立科学博物館名誉館員)が集計・解析を行った。
 
(3) 参加団体・参加者数 全国で47都道府県の526団体(前年度比35団体増加)、延べ8,267人(前年度比3,155人減少)が参加した。参加者数の減少は、期間中の悪天候により観察を行えない団体が多かったためと考えられる。
 
 表1 観察参加団体・人数の推移(夏期)
 
年度 参加団体数 (都道府県・市区町村) 参加延べ人数
昭和63年度 68団体 ( 37 ・ 65 ) 3,157
平成元年度 153団体 ( 44 ・150 ) 5,658
平成2年度 204団体 ( 45 ・197 ) 5,511
平成3年度 187団体 ( 44 ・170 ) 5,220
平成4年度 247団体 ( 47 ・222 ) 7,186
平成5年度 245団体 ( 44 ・208 ) 5,732
平成6年度 408団体 ( 47 ・340 ) 9,948
平成7年度 429団体 ( 47 ・341 ) 9,987
平成8年度 454団体 ( 47 ・345 ) 10,393
平成9年度 431団体 ( 47 ・341 ) 8,336
平成10年度 499団体 ( 47 ・360 ) 8,884
平成11年度 545団体 ( 47 ・391 ) 10,323
平成12年度 491団体 ( 47 ・352 )  11,422
平成13年度  526団体 ( 47 ・368 ) 8,267
 
 
(4) 観察結果
  [1] 天の川の観察結果
     星空を観察する際、観察する部分の高度が低いほど、大気環境の影響を受けやすくなり、星が観察しにくくなる。夏期観察では、天空(高度の高い位置)から順に、「白鳥座付近」、「たて座付近」、「いて座付近」の天の川の観察状況を調査している。
 平成13年度夏期における部分別の観察状況(天の川の見えた地点の割合)は、「白鳥座付近」51.4%、「たて座付近」40.9%、「いて座付近」37.3%であった。また、「白鳥座」付近の天の川の観察できた割合を都市の規模別に見ると、巨大都市(人口100万人以上)16.7%、大都市(人口30万人以上100万人未満)18.5%、中都市(人口10万人以上30万人未満)31.8%、小都市(人口10万人未満)69.8%であり、都市の規模により観察状況に大きな差が生じている。
 
 図1 都市規模別天の川観察状況(白鳥座付近) 



 

   [2] 双眼鏡による観察結果
 参加者各人に、こと座の1等星(ベガ)を中心とする夏の大三角の中の星で、何等級の星まで見えるかを双眼鏡を用いて観察してもらい、その結果を使用した双眼鏡の口径に基づき補正し、都市の規模別の平均観察等級(観察できた星の等級の平均)を算出した。(図2参照)
 
 図2 平均観察等級の推移

 
 

注) 双眼鏡は倍率7倍、口径50mmを使用し、それが難しい場合は倍率6〜8倍、口径35mm〜60mmのものを使用する。等級は天体を地上で観測した時の、みかけの明るさを表した数字で、その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約2.5倍明るくなり、数字が大きいほど暗い星まで見えることとなる。
 
 
   [3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
「夜空の明るさ」は、撮影範囲・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、等級を単位とする1秒角(角度1秒×角度1秒で切り取った場合の天球面の範囲)当たりの明るさ(単位:mag/□″)を求めている。なお、「夜空の明るさ」の値が大きいほど夜空が暗いことを示す。(図3参照)
 
 図3 カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の推移

 


 
 

  [参考]
 
 全国星空継続観察と同時に実施した環境教育等の活動
 全国星空継続観察と同時に実施した環境教育等の活動について、整理すると図4のようになり、全国星空継続観察と同時に約5割の団体で「夜空の明るさと星の見え方に関する解説等」が実施されていた。
 「光害の防止に関する解説等」や「大気汚染や大気保全に関する解説等」については2割程度の団体で実施されていた。
 また、「その他」の活動については、以下のような活動が具体的に報告された。
 ・ 大気、水、人間生活などについて、講演会を通して説明した。
望遠鏡(7倍、50mm)工作教室を実施、望遠鏡の仕組み等のミニ講演、プラネタリウムによる夏の星空の学習、光害・星の観察の仕方等の話、40cm反射望遠鏡による火星などの雲間に見えた星の観察。
ウミホタル(海の生物、甲殻類)の生態にかかわる海と大気・森との関連について。
星空観察の基礎知識、夏の星座について、星空早見盤、双眼鏡の使い方。16mmフィルム上映。
雲で星の観察ができなかったため、手作りの星座早見盤を作成した。
 
 
 図4 星空観察と同時に実施した環境教育等の活動


 

 3 ホームページの紹介

 環境省ホームページ
 環境省ホームページ報道発表資料http://www.env.go.jp/press/index.htmlの中で、「全国星空継続観察」の実施結果及び実施予定に関する情報を掲載。また、子どものページ(スターウォッチング)http://www.env.go.jp/kids/star.htmlにおいても、事業を紹介。
 
 


<資料> 観察対象の星座



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