ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止を図るため、かねてから、ゴルフ場周辺の水質等の実態の把握を願ってきたところであるが、今般、別紙のとおり、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針を定めたので、当面、これに基づきゴルフ場の指導に当たられたい。 なお、今後とも、関係部局間の連絡を密にする等により、農薬使用の適正化について指導の徹底が図られるよう配慮されたい。 |
(別紙) | |||
ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針 |
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1 | 基本的考え方 | ||
ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の未然防止を図ることが緊急の課題となっている。このため、農薬の使用に当たっては、農薬取締法に基づき安全性評価がなされた登録農薬の適正使用や使用量の削減等について指導が徹底される必要があるが、その際、これらの指導の実効を期す上で、ゴルフ場から排出される水に含まれる農薬の実態把握に努め、その結果に基づき、必要に応じて随時、ゴルフ場に対して適切な改善措置を求めることとすることが肝要と考えられる。 このような観点から、現状の知見等からみて可能な範囲で水質汚濁の未然防止に資する対処の方策を早急に明らかにする必要があると考えられるので、地方公共団体が水質保全の面からゴルフ場を指導する際の参考となるよう、本暫定指導指針(以下「指針」という。)を定めることとしたものである。 指針中対象とした農薬は、ゴルフ場で使用されているものの中から全国的にみて主要なものを選定しており、また、排出水中の指針値の設定に当たっては、現在得られている知見等を基に、人の健康の保護に関する視点を考慮したものである。 なお、今後、実態の把握の進捗や関連する科学的知見の集積等によって、必要に応じ、指針の改定があり得るものである。 |
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2 | 暫定指導指針 | ||
(1) | 農薬使用状況等の的確な把握 | ||
水質保全の面からゴルフ場を指導する際には、これに先立って農薬の使用状況やゴルフ場内の集排水系統、排水処理施設の現状、接続する河川、利水施設等ゴルフ場周辺水域の状況等に関する実態を的確に把握することが必要であり、このため、関係行政部局、市町村、団体等の協力分担の下に、管内ゴルフ場関係者との間の連絡協議を密にして、必要な資料の収集整理に努めるものとする。 |
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(2) | 農薬流出実態の調査 | ||
ゴルフ場周辺の水域に対する水質汚濁を未然に防止する観点から、ゴルフ場から排出される水(以下「排出水」という。)に含まれる農薬の残留実態を調査し、これらの結果から所要の指導の一層の徹底を図ることとする。 このため、農薬の流出実態の調査は、排出水がゴルフ場の区域から場外の水域に流出する地点(以下「排水口」という。)において、農薬濃度が高い状態になると見込まれる時の排出水について実施することを基本とするものとする。 その際、ゴルフ場の構造等によって排水口における調査が困難な場合には、場内の調整池、排水路のほかゴルフ場下流の河川等を含め、ゴルフ場からの農薬の流出実態が適切に把握できると認められる地点において適宜行う。 また、調査の実施に当たっては、一般に使用農薬の種類や使用の時期、方法等が病害虫及び雑草の種類、発生時期等に応じて地域により多様であるほか、排出水中への農薬の流出は、農薬の種類、使用方法や現地の地形、土壌、集排水系統等の状況によって異なること等に十分留意する。 |
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(3) | 指針値及び改善措置について | ||
ゴルフ場からの排出水中の農薬濃度は、排水口において別表に掲げる値(以下「指針値」という。)を超えないこととする。 また、排水口における調査結果がこの指針値を下回る場合においても、農薬の流出を極力低減させるように努めるものとする。 排出水中の農薬濃度が指針値を超える場合には、次の措置をとるものとする。 |
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ア | ゴルフ場下流に近接して水道水源等利水施設が存在する場合には、調査結果を直ちに連絡し、当該施設における水質調査を行うとともに、ゴルフ場からの農薬の流出に起因して利水目的の維持達成に支障が生じないよう万全の措置を講ずるものとする。 | ||
イ | 農薬使用実態の精査、流出経路の踏査、調査頻度の増加等により指針値を超えることとなった農薬の流出原因に関するより詳細な実態の把握に努める。 | ||
ウ | 農薬の使用時期、回数等所定の使用法の遵守、流出が少ない農薬の種類や剤型の選択等農薬使用の適正化、可能な範囲での農薬の使用量の削減等について、関係部局等と十分連携をとりつつ、ゴルフ場関係者を指導する。 | ||
エ | 排出水中への農薬の流出を低減させる上で、農薬使用の改善のほか、ゴルフ場の集排水系統、排水処理施設の改修や地形、構造の改変等を必要とすると認められる場合には、現地の実情に即し、これらに関する具体的な方策を検討の上、必要な措置を講ずるようゴルフ場関係者を指導する。 |
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(4) | 地域特性等への配慮 | ||
別表の指針値は、一般的条件の下で適用すべき暫定的なものとして設定したものであり、都道府県において、ゴルフ場の立地状況や下流の利水状況等地域の実情に応じ、別途、別表の指針値にかわるより厳しい値によって所要の指導を行うことができるものである。 また、排水口以外の地点において調査が行われた場合の調査結果については、別表の指針値を基に、その地点の集水域と排水口の地点の集水域の差異等を勘案して、所要の指導を行うものとする。この場合において、下流河川等の水域における調査結果については、一般に排水が河川等の水域に流入する場合に適用されている諸基準との関係等を勘案するものとする。 |
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(5) | 分析方法 | ||
別表の排出水に係る標準分析方法は別添のとおりである。別の方法による場合は、必要な検出感度が得られるかどうか十分確認を行うこととする。 |
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(6) | 調査、指導の体制 | ||
調査及び指導に当たっては、必要に応じ、関係行政部局等の連絡協議の場を設けるとともにゴルフ場関係者の協力を求める等により、これらの円滑かつ的確な実施に遺漏のないように努めるものとする。また、ゴルフ場からの農薬の流出防止については、まずゴルフ場関係者において適切な対策が講じられることが基本であると考えられるので、ゴルフ場関係者に対し、本指針の周知徹底を図るとともに、都道府県の実情に応じ、自主的な調査、点検の実施等について指導し、所要の助言に努めるものとする。 |
(別表) |
農 薬 名 | 指針値(mg/L) |
(殺虫剤) |
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アセフェート | 0.8 |
イソキサチオン | 0.08 |
イソフェンホス | 0.01 |
クロルピリホス | 0.04 |
ダイアジノン | 0.05 |
トリクロルホン(DEP) | 0.3 |
ピリダフェンチオン | 0.02 |
フェニトロチオン(MEP) | 0.03 |
(殺菌剤) |
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イソプロチオラン | 0.4 |
イプロジオン | 3 |
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0.04 |
オキシン銅(有機銅) | 0.4 |
キャプタン | 3 |
クロロタロニル(TPN) | 0.4 |
クロロネプ | 0.5 |
チウラム(チラム) | 0.06 |
トルクロホスメチル | 0.8 |
フルトラニル | 2 |
ペンシクロン | 0.4 |
メタラキシル | 0.5 |
メプロニル | 1 |
(除草剤) |
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アシュラム | 2 |
ジチオピル | 0.08 |
シマジン(CAT) | 0.03 |
テルブカルブ(MBPMC) | 0.2 |
トリクロピル | 0.06 |
ナプロパミド | 0.3 |
ピリブチカルブ | 0.2 |
ブタミホス | 0.04 |
プロピザミド | 0.08 |
ベンスリド(SAP) | 1 |
ペンディメタリン | 0.5 |
ベンフルラリン(ベスロジン) | 0.8 |
メコプロップ(MCPP) | 0.05 |
メチルダイムロン | 0.3 |
別添 (略) |