中央環境審議会大気部会報告案に対する
パブリックコメントの実施結果について


中央環境審議会大気部会「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第四次報告)」(案)に対するパブリックコメントの実施結果について

 意見の提出者数  
  ・ 電子メールによるもの  20通
  ・ ファクシミリによるもの  35通
   合計  55通
 意見ののべ総数  31件

パブリックコメントによる意見の概要及び意見に対する考え方

1.ディーゼル自動車の排出ガス低減対策に関する意見

(1)ディーゼル新長期目標の早期達成

意見の概要

意見に対する考え方

1) ディーゼル新長期目標を平成17年とした根拠となるヒアリング資料等を公表すべきである。

 ディーゼル新長期目標を平成17年とした根拠となるヒアリング資料等については、企業の営業上の秘密に関する事項を含むため、大気部会の公開に関する決定(平成12年9月25日大気部会長決定)に則しつつ、公表可能なものは公表していきたいと考えています。

2) 欧州を越える規制レベルを目指すべき。

3) PMの規制値を強化するので、黒煙規制は不要である。

4) 規制値決定の前に欧州企業にコメント機会を与えるべき。

 規制値については、中央環境審議会において、排出ガス低減技術の開発状況を検討評価し、平成13年度末を目途に決定することとしています。また、黒煙規制のあり方についても検討することとしています。その際には、再びパブリックコメントの手続きをとることとしています。

5) 燃料蒸発ガス対策として、DBLの試験時間の延長、RL試験の導入については、米国ではDBL試験短縮に向けて検討が進められているので、日本の将来の技術基準を国際調和する観点からもヨーロッパで実施されているDBL試験を採用すべきである。

6) LPG車について、OBD基準や燃料蒸発ガス試験が課せられる際には、ガソリン車とは別に設定すべきである。

7) トランジェントモードの導入や過渡運転にも対応できる部分希釈フィルター捕集法については、第三次答申時点でも同様な指摘がなされている。この間の進渉状況を示すべきである。

8) 試験方法を変更する場合には、メーカーが製品化の検証に時間的余裕を持てるようにすべきである。

 試験法については、平成13年度末を目途として規制値を決定する前に、平成11年度から実施している走行実態調査の結果を基に、その見直しについて必要性も含め検討することとしています。左記の事項については検討対象として本報告案に記載されており、ご意見も踏まえて検討したいと考えます。試験法を変更する場合には、規制値はそれに基づき設定されることになりますが、その場合でもメーカーが規制に対応できるよう準備期間も考慮して平成13年度末を目途としています。

9) 新長期規制の輸入車への適用が合理的になされることを希望する。

 新長期規制の具体的な手続きについては、平成13年度末を目途に規制値が決定された後に、関係省庁において適切になされていくものと考えます。


(2)燃料品質対策

意見の概要

意見に対する考え方

1) 国は低硫黄軽油への対応が遅い。また、軽油中の硫黄分を50ppmとする許容限度設定目標を平成16年末とした根拠となる資料等を公表すべきである。

 我が国が原油の相当部分を依存している中東原油には硫黄分が多く、軽油中に残留した硫黄化合物には難脱硫物質が多いことや、原油中の低硫黄の留分は、暖房に不可欠な灯油に充当されるという我が国の事情があるため、低硫黄化には高度な技術が必要となり、現在の技術で到達可能な最大限のレベルが50ppmであり、その達成可能時期は平成16年末であるとの結論を得ました。これらについては、ヒアリングや実地調査等によって得られた情報を基に審議したものであり、企業の営業上の秘密に関する事項を含むため、大気部会の公開に関する決定(平成12年9月25日大気部会長決定)に則しつつ、公表可能なものは公表していきたいと考えています。

2) 軽油中の硫黄分を5〜15ppmとすることを早期に実現すべきである。

3) 芳香族含有率の許容限度の設定及び蒸留性状(T90)の見直しなど燃料品質基準の改正をすべきである。

 現状の技術では50ppmレベルが当面の限界ですが、サルフェートの低減に加え、NOx還元触媒がその機能を十分に発揮するためには、50ppmよりも硫黄分が低いことが必要と考えられていることもあり、将来的には一層の低硫黄化が望まれます。また、芳香族含有率や蒸留性状等その他の燃料性状についても、その改善と自動車の排出ガス対策技術とが適切に組み合わされることにより排出ガス低減に資するとされていますが、その定量的な効果については、必ずしも明らかでないため、一層の研究を行う必要があります。今後、新たな排出ガス低減目標について検討する際には、その達成に必要な燃料品質について検討することとしています。


2.関連の諸施策等に関する意見

(1)自動車排出ガス総合対策の推進について

意見の概要

意見に対する考え方

1) 自動車NOx法の改正にあたっては、個々の規制の効果予測を的確に行い、実行可能性の高い施策を充分分析し実施することを要望する。

2) 使用過程車にPM規制を行うべきである。また、その代替を促進させるために税制上の優遇措置、最新規制車に代替するためのインセンティブ等を導入すべきである。

3) 流入規制、ロードプライシング等、交通量の抑制対策を行うべきである。

4) 米国加州のような地域的な排出ガス規制車販売割合の義務化すべきである。

5) CNG自動車の開発・普及について記述すべきである。

6) LPG自動車を普及させるために、低公害車として認定すべき。

7) より緊急性のある対策を行うべき。東京都の条例案の方がよい。

 今回の報告はディーゼル自動車の単体規制等についてとりまとめたものです。
 自動車排出ガス総合対策については、現在、中央環境審議会大気・交通公害合同部会において、審議しているところであり、本年中に答申がとりまとめられる予定です。左記ご意見につきましては、同合同部会に参考送付させていただきます。なお、大気・交通公害合同部会から答申が出される際には、同様なパブリックコメントの手続きがとられることとなっています。


(2)コスト負担等について

意見の概要

意見に対する考え方

1) 自動車・燃料生産者は製品コストに上乗せし、全て使用者にしわ寄せされる。汚染者負担のみでは従来通りで諸施策の進展・促進は期待できないことから受益者負担を考慮すべきである。

2) 自動車によって利益を得るのは、自動車・燃料の生産者、使用者だけではありません。報告書では「自動車の利用に係る費用として自動車・燃料の生産者、使用者等のそれぞれが応分に負担する必要がある。」と述べていますが、具体的になっていません。更に議論を深めていただき、広く国民の合意を得られる  ような具体策の提示を行うべきである。

3) 11月に東京都営バスが低硫黄軽油を使用します。こうした低硫黄軽油が早期に普及するよう、早期の供給に対しインセンティブを付与するなど、行政面の強力なバックアップを行うべきである。

4) 環境税などの税制を含め、社会構造の変革を促すような対策を講じるべきである。

 今回の報告に基づき排出ガス低減対策を推進していく過程では、車両価格、燃料価格、エンジン耐久性、燃費及び維持費等への影響が考えられますが、これらは自動車の利用に係る費用として自動車・燃料の生産者、使用者等自動車の利用により便益を受ける主体のそれぞれが応分に負担する必要があります。どの程度負担を分担するかについては、ケースによって様々な場合がありますし、現時点では不確定なコストも多いことから具体的に提示することは困難ですが、いずれかの主体のみに課せられることのないようにすべきと考えています。
 なお、最新規制適合車への代替や燃料の品質改善を円滑に推進するためには、金融・税制面等における配慮も必要であると考えています。


(3)上記以外の部分について

意見の概要

意見に対する考え方

1) 使用過程ディーゼル車用の後処理装置の開発を急ぐべき。

 報告書中の「使用過程車の排出ガス低減対策」において言及しています。

2) 効果予測・効果測定の充実に向けて、環境データの収集を1〜2年のうちに早急に進め推計精度向上に真剣に取り組むべきである。

 報告書中の「効果予測・効果測定の充実」に係る具体的な意見として、関係部署に参考送付させていただきます。

3.その他の意見

意見の概要

意見に対する考え方

1) 整備不良車、過積載車の取締りの徹底や効果的な罰則設定が望まれる。

2) 軽油を優遇した税制を改めるべき。

3) ガソリン代替車の存在する小型ディーゼル自動車の製作を中止すべき。

4) PM2.5の測定技術、予測評価技術の確立などより一層の努力が必要。また、国のアセスメントの評価項目にベンゼンも加えるべき。

5) 不必要に大排気量、高馬力の車は制限すべき。

6) ディーゼル車に対し、燃費・騒音低減に関する規制を行うべき。

 今回の報告はディーゼル自動車の単体規制等についてとりまとめたものです。左記ご意見につきましては、関係部署に参考送付させていただきます。