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早期配慮の重要性− |
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景観・触れ合い活動の場に関しては、景観区や活動区のまとまりを残す、または眺望対象の相互の関係、活動の連続性や多様性を保つといった環境保全措置が重要であり、そのためには事業の早期段階における検討が重要であることを示した。 |
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環境保全措置立案の手順− |
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景観・触れ合い活動の場に関しては、環境基準のような特段の基準が定められている例は少なく、とるべき環境保全措置の方向を明らかにすることが有効であることから、まず、保全方針の設定を行うこととしている。この方針に基づき、事業計画の段階に応じて、それぞれいくつかの措置案を繰り返し検討し、影響の回避または低減が最も適切に行えるものを環境保全措置として選択していくことを示した。なお、代償は回避または低減が十分に行えない理由がある場合に検討する。 |
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保全方針− |
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スコーピングや調査、予測結果などの情報をとりまとめた環境保全措置立案の観点、環境保全措置の対象と目標を保全方針として設定することを示した。
景観・触れ合い活動に関しては、人間に与えられる価値認識を普遍価値(誰しもが有している価値)と固有価値(特定の地域や主体に固有の価値)という2つの価値軸に区分し、それらの価値軸に関する調査・予測の結果を踏まえ、環境保全措置の対象と目標を設定する必要があることを示した。
景観については従来から対象とされてきた眺望景観だけではなく、事業実施区域及び周辺の身のまわりの景観である囲繞景観(いにょうけいかん)も環境保全措置の対象とすること、触れ合い活動の場については活動特性及びアクセス特性を環境保全措置の対象として選定することを示した。 |
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環境保全措置の妥当性の検証− |
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回避または低減措置の効果と不確実性、その他の環境要素に対する影響とを検討することにより妥当性を検証し、その結果を踏まえ、措置の採用の判断を行う必要があることを示した。 |
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代償措置の考え方− |
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景観や触れ合い活動の場に対する代償措置を講ずる場合には、その技術的困難さを十分に踏まえた検討が必要であることを示した。 |
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評価の考え方− |
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景観・触れ合い活動の場に関する評価では、予測された影響を十分に回避または低減し得るか否かについて、事業者の見解を明らかにすることにより行うが、その際には、最終的に採用した環境保全措置のみを示すのではなく、複数案の比較結果や実行可能なより良い技術取り入れられているか否かなど、その検討過程や選定理由をできる限り客観的に示すことが必要であることを示した。 |
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事後調査の考え方− |
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景観・触れ合い活動の場への影響予測や環境保全措置の効果などは、その内容に不確実性を伴うことが多いことから、それらの確認、検証を行うための事後調査の実施についても併せて検討することが重要であることを示した。 |
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ケーススタディ− |
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里山地域の面整備事業を想定したケーススタディを行った。
ケーススタディでは、保全方針に基づき、環境保全措置の検討と妥当性の検証を繰り返し行うこと、その際には、まず回避または低減措置を検討し、それでもなお影響が残る場合に代償措置を検討すること、これらの検討は複数案の比較によって行っていくことなどを具体的に例として示した。
また、回避または低減措置によって事業計画の変更を伴う例やC.Gによる予測画像を用いた評価実験によって環境保全措置の妥当性を検証する手法などを具体的に示した。 |