<別紙>

平成8年度地球環境研究総合推進費 課題概要一覧

重 点: 重点研究
途上国: 開発途上国等共同研究
国 際: 国際交流研究として実施するサブテーマ

 

[1].課題別研究
A.オゾン層の破壊

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
A−1
(8〜10)
(重点)
衛星データ等を活用したオゾン層破壊機構の解明及びモデル化に関する研究 平成5−7年度重点課題A−1を平成8年8月のADEOS衛星の打ち上げを踏まえて発展させ、衛星データとモデルを活用することにより、オゾン層破壊における極渦の役割に焦点を絞って集中的に解明するまた、オゾン層破壊分野中で唯一オゾン層の破壊機構を研究対象にしており、オゾン層破壊機構のモデル化を通じてオゾン層の将来予測の基礎を築く役割を担う。
A−2
(8〜10)
(重点)
臭化メチル等の環境中挙動の把握と削減・代替技術の開発に関する研究 現在の国際的規制の動向から、CFC、ハロン等に関しては今後回収処理技術の開発が重要であり、HCFC、臭化メチルに関しては、大気中での分布や蓄積量等の動態把握と代替技術、代替品の開発が重要となる臭化メチルは海洋での自然発生源を有するため、自然および人起源発生量の峻別・評価が必要である。以上の状況を踏まえ、臭化メチルに関しては大気中の分布・反応・起源に関する研究と土壌くん蒸による大気中のへ放出量の推定と放出抑制や代替技術の開発を、CFCやハロンを含むハロゲン化合物に関しては回収、分解処理および代替品開発技術の研究を集約的に行う。
A−3
(7〜9)
オゾン層破壊関連大気微量物質の衛星利用遠隔計測に関する研究 環境庁が開発している衛星搭載オゾン層観測センサー(ILAS)は、オゾン層破壊に関係する成層圏の気体成分の測定を行う他、原理的にはエアロゾルや極域成層圏雲に関する情を抽出することが出来る。このためのデータ処理手法(アルゴリズム)の研究を行う。また、地上衛星間レーザー長光路吸収法による大気微量分子の観測手法について、研究観測に基づき手法の実証を行うとともに、測定の高精度化に必要な研究を行う。
A−4
(8〜10)
紫外線の増加が人に及ぼす影響に関する疫学的視点を中心とした研究 これまでの研究で、紫外線の増加が人に影響を及ぼす可能性が明らかになった皮膚病変、眼病変(白内障、翼状片、黄班変成症)、免疫能低下について異なる条件の調査地域における住民のライフスタイルを考慮した紫外線被爆量と有病率との詳細な比較を行い、紫外線の増加が人に及ぼす影響を明確にする。同時に実験室レベルでこれらの影響の発生機序を解明し、理論的な裏付けとするとともに、防止する方法の基礎的知見を提供する。
Aー5
(8〜10)
紫外線増加が生態系に及ぼす影響に関する研究 これまでの研究により、紫外線が、陸上植物および海洋生物に与える影響は、種や品種により大きく異なり、紫外線の照射条件によっても影響の度合いが大きく異なることが明らかになった。農作物、花卉、樹木、海洋生物への影響を解析する生理・生態学的分析手法を確立し、それぞれの生物種・品種に対する紫外線の影響を明らかにするとともに、得られた結果を用いて、オゾン層破壊に起因する紫外線照射量の増大が、それぞれの生態系に与える影響の総合的評価を行う。

 

B.地球の温暖化

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
B−4
(6〜8重点)
シベリア凍土地帯における温暖化フィ−ドバック評価に関する研究 地球の温暖化はシベリアなどの高緯度地方では特に著名になると予想されている。気温上昇の結果、アルベドの変動、植生の変化、シベリアの土壌からの二酸化炭素やメタンの放出など、大気への様々なフィ−ドバックが予想される。これらの現象の定量的把握を目指し、ロシアと共同してシベリアで現地研究を行う。
B−5
(6〜8)
気候モデルによる気候変動評価に関する研究 地球温暖化の影響を定量的に評価する場合、結果の信頼性を高めるには大気・海洋結合モデルが必要である。また、大気モデルの長期積分を観測値と比較し、その基本性能を把握する。気候変動評価にとって未解明な点が多い陸面過程、水循環、雲過程などの詳細なモデル化を行う。
B−6
(8〜10)
陸域生態系の二酸化炭素動態の評価と予測・モデリングに関する研究 IPCC95年報告書においても依然として不明部分が多いとされている陸域の二酸化炭素動態について、自然生態系、人為生態系を中心に解明し、そのプロセスをデ−タに基づくモデリングを通して説明できるよう試みる。特に土壌の役割を重視し、炭素の土壌への長寿命固定(シーケストレーション)の可能性を定量的に検討する。それらを、グローバル・プロセスの一環として解明する
B−7
(8〜10)
北太平洋の海洋表層過程による二酸化炭素の吸収と生物生産に関する研究 大きな面積をしめる海洋が大気中の二酸化炭素を吸収する能力を知ることは、将来の地球温暖化予測を行う上で重要である。本研究では、定期貨物船による高頻度観測、国内外の観測船による測定データによって、北太平洋海域のCO2吸収量を、海洋と大気のCO2濃度差から求めるとともに、海洋生物生産とCO2吸収の関係を明らかにして、モデル化とマッピングを行い、季節変化を含めた精密な推定を行う。同時に炭素同位体の知見からも海洋のCO2吸収量を推定し、観測データの妥当性を検証する。
B−8
(8〜10)
地球温暖化に係わる対流圏オゾンと大気微量成分の変動プロセスに関する研究 1994年のIPCC報告において、反応性温室効果気体である対流圏のオゾンが増加の有無が、今後の地球温暖化に対して将来大きなインパクトを与える可能性があることが指摘された。しかし、対流圏のオゾンのグローバルな変動についてはこれまで十分に解明されていない。増加の原因となる要素は、1成層圏オゾンの対流圏への混入の増加(CFC等による上部成層圏オゾンの減少に伴い下部成層圏オゾンの増加による)と、2グローバルスケールでの光化学オゾンの増加(地球汚染によるグローバルスケールでの光化学スモッグ現象による)とが考えられる本研究ではこれらの要素について、対流圏オゾン分布の地域特性や、季節変動要因に関する研究を東アジアを中心とした観測、実験室的反応研究、モデルによって総合的に解明する。
B−9
(8〜10)
アジア太平洋地域の土地利用変化が地球温暖化に及ぼす影響に関する研究 アジア太平洋地域では、森林から農耕地へと土地利用変化が急速に進行しており、温室効果ガスの発生・吸収量が大きく変化していると推察される。本研究では、熱帯地域での温室効果ガス発生量の現地調査、人工衛星のデ−タ等による土地利用変化量の解析、及び大気の輸送モデルの開発に関する研究を実施し、土地利用変化が地球の温暖化に及ぼす影響を明らかにする。
B−10
(8〜10)
地球温暖化によるアジア太平洋域社会集団に対する影響と適応に関する研究 地球温暖化に伴う暑熱による熱中症発生予測研究や東アジア地域におけるマラリア流行予測モデルを基礎に、1アジア太平洋域の多様な社会集団について、疾病解析により、地域社会生態系への影響とその社会の持つ脆弱性の把握、2流行モデルによる、デング熱等ウィルス性感染症への影響予測、3温暖化による健康影響を修飾すると考えられる地域集団のライフスタイルや文化、価値観等の寄与を明らかにし、4アジア太平洋地域各国の温暖化のリスクを定量化する。
B−11
(8〜10)
温暖化の社会・経済影響の評価と検出に関する研究 1994年及び1995年の夏の猛暑の実態と社会・経済に与えた影響と対応について広範に情報収集し,因果関係を明らかにし,わが国における温暖化影響に関する研究の知見とあわせて温暖化の影響とその検知に資する分野別指標の体系化を行い, 影響の検知のためのモニタリングシステムのあり方について提言する。
B−14
(6〜8重点)
地球温暖化防止対策の総合評価に関する研究 温暖化防止を効率よく行うには、単一の分野における対策だけでなく、様々な分野を含めた総合的な戦略が必要である。そのためにまず基礎的な工業製品を製造する段階での温室効果ガス排出量のデ−タベ−スを作成する。次に建築、交通、電力等の個々の分野における具体的な対策技術の評価を行い、対策を実行する場合の順位付けなど総合的なシステムを作成する。
B−15
(6〜8途上国)
アジア太平洋地域における温暖化対策分析モデル(AIM)の開発に関する途上国等共同研究 アジア太平洋地域における温室効果ガスの排出・吸収量を推定し、温暖化及び社会経済への影響を評価する「温暖化対策分析モデル」をアジア地域の開発途上国に適用する。中国及び韓国の温室効果ガス排出モデルの開発に着手し、これらのモデルをアジア太平洋地域モデルや世界モデルと結合することを試みる。さらにアジア域植生影響モデルや世界食料需給モデルの開発も行う。
B−16
(7〜9重点)
地球温暖化抑制のためのCH4、N2Oの対策技術開発と評価に関する研究 IPCCのレポートによればCH4、N2Oの発生源は複雑でいまだ明らかにされていない部分も多く、また小規模のものが数多く存在するという特徴を持っている。このため、各発生源毎に具体的な対策を講じる必要があり、本研究では、わが国および経済発展の著しいアジア地域への適応可能な農耕、牧畜、自動車、汚水・廃棄物処理等の人間活動に伴う放出を抑制する対策技術を開発する。
B−51
(8〜10)
森林セクターのもつ地球温暖化軽減機能の計量的評価に関する研究 森林・林業分野が大気中の炭素の減少策として貢献するには、森林蓄積の増加及び熱帯林減少の防止による森林生態系内への炭素貯留、木造住宅の耐久性向上による木材としての炭素の固定、林産物をバイオ・エネルギーとして利用することによる石油消費量の節減がある。これらの炭素固定量を計測し、森林の持つ温暖化軽減機能を定量的に評価する。
B−52
(8〜10)
アジア太平洋地域における地球温暖化の局地植生への影響とその保全に関する研究 東アジアから東南アジアにおけるモンス−ンアジア地域では、温暖化に伴ってモンス−ンの発生状態や強さなどが地域的に大きく変化することが予想される。特にエル・ニーニョやラ・ニーニャ(ENSO)との関係は、1995年のIPCCの報告書でも重要性が指摘されており、本研究では、各国の統計データや現地調査、施設実験などの成果をもとにアジア太平洋地域における地球温暖化による局地植生への影響を解析し、局地植生への影響を予測する際の従来の予測法の問題点を整理するとともに、局地植生を保全するための知見を得る。
B−53
(8〜10)
長期的視野に立った環境調和型都市の創造に関する研究 都市は自然破壊と大量エネルギー消費による地球環境破壊の一典型である。本研究では、ビル等が密集する都市構造とエネルギー消費、都市気候の関係を観測とコンピューターモデルによって解明し、地球温暖化防止対策の一つとして、環境負荷が少なくかつ住み心地のよい環境調和型の都市を創るための指針を確立する。

 

C.酸性雨

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
Cー1
(8〜10)
(重点)
アジアの環境酸性化物質の物質収支解明のための大気・土壌総合化モデルと国際共同観測に関する研究 これまで、東アジア地域の越境汚染の定量化に向けて、大気環境動態の把握のために国内での地上、航空機観測を中心に研究を行なってきた本研究では、これらの成果を踏まえて、地上、航空機での国際共同観測や、乾性降下物量を得るためのガス、粒子の沈着速度の測定を行なうことによって、大気汚染物質の発生、変質、輸送、沈着、影響の総合化モデルの作成をする。
C−2
(8〜10)
酸性・汚染物質の環境−生命系影響に関する研究 酸性雨問題は重要な地球環境問題の一つである。本研究では、酸性雨(酸性汚染物質)の生態系(環境−生命系)への影響を的確に把握するため、近年急速に進歩している環境分析技術、生理・生態学的研究手法による研究手法及び野外実験系を確立し、被害地域(森林、湖沼、河川、各種動植物)の実態を土壌・水ー植物系、土壌・水ー動物系に着目して調査研究を行う。この成果をもとに、特に酸性雨の被害が問題になっている東アジア地域の酸性雨問題の解決、影響対策に向けた指針づくりを目標とする。
C−4
(6〜8途上国)
東アジアの酸性雨原因物質等の制御手法の実用化に関する研究 中国は酸性雨原因物質である硫黄酸化物の排出量が東アジア地域全体の約70%を占めており、今後の経済成長によって、さらに、増加するものと推定されている。本研究では中国のSO2、NOXの排出量の実用的な制御手法を開発することを目的としている。先進国においては、すでに脱硫、脱硝技術が確立しているが、同じ手法を開発途上国に導入しても、有効に利用されないことがしばしばある。途上国の地域の実情に適合する手法の確立が必要である。

 

D.海洋汚染

課題番号
(分 類)
課  題  名  研 究 の 概 要
D−1
(8〜10)
(途上国)
渤海・東シナ海における河川経由の環境負荷が海洋生態系に与える影響評価手法に関する研究 河川由来の環境負荷が揚子江河口域における海洋生態系の機能及び多様性に与える影響の評価手法確立を目的とする。すなわち、1揚子江河口域での海洋観測を行い、溶存・懸濁態汚濁物質負荷量とその動態を把握するとともに、海洋生態系の構造把握を行う。2隔離実験生態系を用いた現場海域での実験により、汚濁物質が海洋生態系・物質循環の構造と循環速度に与える影響を計測する3海洋生態系モデルを開発し、海洋観測及び隔離実験生態系の結果を用いて検証を行うとともに、東シナ海への適用を行う。
D−2
(7〜9)
東アジア海域における有害化学物質の動態解明に関する研究 今までの研究が主として生物濃縮にポイントを定めていたのに対し、有機ハロゲン化物質等の有害化学物質による広域汚染を、海流等による時空間変動として把握し、輸送された汚染化学物質の海水から底質への除去・蓄積過程、さらに底質に蓄積された物質の底魚類への生物濃縮・蓄積過程を明らかにする。
D−3
(新規)
アジア大陸隣接帯の海洋生態系変動の検知と陸域影響抽出に関する研究 人口増加、経済的発展の激しいアジア太平洋地域においては、人間活動によって隣接する海域の窒素、リンなどの循環および生態系に対する影響が大きな問題になっている。このような変動を、予防的措置として検知する必要が高まっており、本課題では、日本ーASEAN海域定期航路船舶による海洋観測デ−タとCZCS、SeaWiFS、OCTS等の衛星データを組み合わせることにより、表層時系列、広域面分布、鉛直方向観測を行い、海域の生態系の変動の中から陸域からの人為的影響を抽出する手法を確立する。
D−4
(6〜8)
サンゴ礁生態系の維持機構の解明とその保全に関する研究 サンゴの活性低下と海洋汚染等の関連を解明するため、フィ−ルド調査及び水中画像、衛星画像によるサンゴの変質状況の把握と汚染モニタリングを行うとともに、室内実験を行うことにより、環境ストレス下でのサンゴ礁生態系の活性低下過程を解明する。

 

E.熱帯林の減少

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
E−1
(8〜10)
熱帯環境林保続のための指標策定に関する研究 本研究では、多様な樹種から成る熱帯環境林再生と保全のための基礎的知見の収集を図る。これまでの天然林における研究成果を背景とし、撹乱による植物相の変化、樹種構成と撹乱規模の関係、熱帯林再生のための手法の開発について、撹乱によって生じる動物相の変化、環境形成作用の変化に関する研究とも連携をとりつつ研究を推進する。
E−2
(8〜10)
熱帯環境保全林における野生生物の多様性と持続的管理のための指標に関する研究 熱帯林地域における生物多様性を維持・保全するために、自然林と二次林を組み合わせた森林管理手法を確立することを目標として、その生物学的指標を、自然林と二次林での生物群集の組成や動態、および生物間相互作用に関する資料を解析し、相互に比較することによって体系化する。
E−3
(8〜10)
熱帯林の環境保全機能の評価に関する研究 これまでマレーシアの熱帯雨林で実施してきた観測により、水土保全、気候形成などの環境形成機能が明らかになってきた。そこで、伐採などの撹乱が生じている森林で、微気象、土壌形成、土壌構造の調査を追加して実施することにより、攪乱の生じた熱帯林の土壌回復可能性、環境保全機能の攪乱による減少程度を予測する。
E−5
(6〜8)
人工衛星デ−タを用いた東南アジア地域の地表面被覆分布図の作成に関する研究 東南アジアの熱帯林地域では、市街化、木材生産のための森林の伐採等のために近年急速に森林が減少しており、この地域全体における現在の状況と経年変化の把握の必要性が生じてきている。現在東南アジア全体をカバ−する土地被覆図は作成されておらず、特に市街地と森林の過去20年間にわたる経年変化を把握するために、ランドサットのデ−タを用いて解析を行い、東南アジア全域の土地利用被覆分布図を作成するための手法開発を行う。

 

F.生物多様性の減少

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
F−1
(8〜10)
野生生物集団の絶滅プロセスに関する研究 野生生物が絶滅に至る主要な原因は生息地の破壊・消失にあるが、生息地の一部が保護されても、縮小された生息地に少数の個体が取り残された場合、少数集団特有の脆弱な性質が重なり最終的には絶滅に至る。
しかし、その要因やプロセスに関する把握はほとんどなされておらず、具体的にどのくらいの範囲で、そのくらいの個体を保護すべきかわかっていない。本研究では、これまで行われてきた遺伝的多様性の低下メカニズムに関する研究成果を発展させ、遺伝的要因、寄生者・病原体の効果、種間関係の撹乱の影響を詳細に解明し、数理モデルによる絶滅プロセスの総合的解析を行う。
F−2
(7〜9)
アジア・太平洋地域における湿地等生態系の動態評価に関する研究 アジア・太平洋地域を対象として、湿地及び森林の広域分布、さらには個別地域の環境状態を人工衛星からのリモートセンシングにより監視する手法を開発する。また、得られた情報をもとに、その環境変化がそこに生息する生物、特に渡り鳥の生息状況にどのような影響を与えているかを評価し、併せて鳥類重要生息地の抽出及びデ−タベ−ス化に関する研究を行う。
F−3
(8〜10)
発生遺伝子工学手法による希少野生生物の個体復元及び増殖技術の開発に関する研究 これまでの研究によって、鳥類始原生殖細胞の体外培養、保存の手法が開発された。本研究では、この手法をさらに発展させ、希少動物の始原生殖細胞を試験管内で増殖して他種の胚に移植し、個体を復元・種の維持をするための全く新しい手法の開発を行う。
F−4
(8〜10)
生物多様性保全の観点から見たアジア地域における保護地域の設定・評価に関する研究 本研究では東南アジア地域における生物多様性保全のため、この地域の自然保護区等において動植物のリストと生息域の環境条件等にかかわる自然及び社会情報を収集し、基礎的資料のデータベースを構築することによって、広域にわたる生物多様性の評価手法を確立する。

 

G.砂漠化

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
G−1
(7〜9)
砂漠化防止対策適用効果の評価手法の開発に関する研究 中国北部を対象として、砂漠化防止対策技術の選択と土地利用配置を適正に行うために、植生・土壌・生産に関する現地調査、放牧・再生対策試験及び衛星デ−タの解析によって、地域の砂漠化インパクトに対する許容量(環境容量)を明らかにし、砂漠化防止対策の適用効果とを評価する。また、砂漠化地域総合開発モデル計画の作成とその効果に関する研究を行う。さらに、我が国で開発された砂漠化防止及び再生技術のうち有効なものの検索を行い、オーストラリアとの共同研究により適用可能性の評価を行う。
G−2
(8〜10)
(途上国)
中央アジア塩類集積土壌の回復技術の確立に関する研究 日本においても中央アジアの環境破壊の状況把握に関する研究はなされているが、具体的に塩類集積土壌を回復するための具体的な研究はない。本研究は、日本の技術と現地の農法、資材、ニーズ等を併せて現地と共同研究を行い、対策技術の開発と実証試験を行うことによって、放棄された塩類集積土壌を生産性のある農地に回復する技術を確立する。

 

H.人間・社会的側面からみた地球環境問題

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
H−1
(6〜8)
地球環境負荷低減のための都市とライフスタイルのあり方に関する研究 地球環境保全のためには、二酸化炭素排出の少ないライフスタイルを実現する必要がある。その具体的な手段を検討するために、環境保全を重視した都市の計画手法について文献調査、事例研究を行う。また、都市の環境負荷活性量を都市の構造や物質の流れと定量的に関係づけるため、多数の都市の基礎デ−タを収集する。
H−2
(6〜8)
開発途上国における人口増加と地球環境問題の相互連関に関する基礎的研究 アジアの開発途上国における人口動態変化と都市化、エネルギー、森林等の転換プロセスの関係をモデル化するとともに、地球環境問題の深刻化が国・地域レベルの都市化、疾病構造に与える影響を検討し、これに基づいた人口動態変化のシナリオを作成して、温暖化に及ぼす人口動態変化の影響を明らかにする。
H−3
(7〜9)
地球環境保全に関する土地利用・被覆変化研究(LU/GEC) アジア・太平洋地域における土地利用・被覆に関する自然科学的及び社会科学的情報を収集し、事例研究から求めたそれらの相互関係を用いて2025年、2050年の土地利用・被覆の予測を行う。これにより、土地利用・被覆の変化の地球環境に与える影響を分析する。
H−4
(8〜10)
アジア地域における人間活動による広域環境変化と経済発展の相互影響に関する研究 本研究は,発展途上国の一次産業などの人間活動と環境の相互作用解明、一次産業など人間活動−環境変化・温暖化−社会経済影響モデルの開発と適用、一次産業経済モデルによる持続可能な一次生産の方策の検討を通じてアジア地域の発展途上国の環境に配慮した持続的発展を可能とする施策立案に必要な知見を提供することを目的とする。

 

[2].総合化研究

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
IR−1
(7〜9)
持続的発展のための環境と経済の統合評価手法に関する研究 本研究は、地球環境の保全と経済発展とを統合する目標について、目標設定のあり方とその目標達成の方策を明らかにするため、環境と経済を統合して分析できる新しいタイプの経済モデル及び指標体系を開発することを目的とする。
IR−3
(7〜9)
地球環境予測のための情報のあり方に関する研究 アジア地域の森林・土壌・大気・水資源等の環境状況把握及び政策効果の数量的把握に向けた情報システムを構築し、それらの相互関係と人間活動との関わりをモデル等で記述し、アジア地域の広域環境の状況把握及び政策効果との関係を明らかにする。

 

[3].課題検討調査研究

課題番号
(分 類)
課  題  名 研 究 の 概 要
FSー1 二酸化炭素の分離および深海貯留技術の評価に関する予備的研究 温暖化防止のため、大量の二酸化炭素を海洋貯留する技術の必要性が指摘されている。本研究では、二酸化炭素処理対策が海洋環境に及ぼす二次的影響の技術評価を目的とし、深海貯留時に液体二酸化炭素−海水界面上に現れる固体膜について従来研究が充分でない力学的特性を計測するとともに、燃料電池を主体とする新システムによる二酸化炭素分離性能を予備的に検討する。
FS−2 交通部門から見た環境に配慮した都市構造の総合評価に関する予備的研究 本研究では、環境負荷の小さい都市構造・交通体系を実現するための都市交通整備手法を具体的に示すとともに、それらの整備による効果をコスト、利便性、環境という点から総合的かつ多角的に評価する手法についての予備的研究を行う。
FS−3 地球規模の気候変化に伴う生物多様性への影響予測に関する予備的研究 人類は、食糧、医薬・工業材料等として生物資源に依存しているが、近年、人為的な影響(特定品種の集中的栽培や生息地の破壊)の他にも、地球の温暖化等の気候変化による生物多様性に与える影響が危惧されている。本研究は、生物多様性の適切な保全対策を検討する基礎情報を得るため、地球規模での気候変化が生物多様性に与える影響予測手法の開発を行う。
FS−4 石油汚染の海産生物に及ぼす影響及びモニタリング手法の開発に関する予備的研究 これまでの研究で、イカを用いた石油起源の多環芳香族炭化水素(PAHs)の測定手法が確立され、現在モニタリングに使用されている。
しかし、近年、他の生物毒性の高い物質や、PAHsについても多種あることがわかってきた。本研究では、石油成分の多成分一斉分析法および新たなバイオマーカーの検索を行い、将来、生物影響を考慮した新たな石油汚染監視システムの構築を目指した予備的研究を行う。
FS−5 中国の砂漠化土壌改良のための脱硫石膏の有効利用に関する研究 脱硫石膏を用いて中国のアルカリ土壌を改良する計画のFSとして、候補地に小規模の圃場を借りて耕作試験を試みるとともに、研究の本格的実施に向けての事業計画を策定する。中国側の協力体制を確認するとともに、本計画の円滑な推進体制を構築する事を目的とする。
FS−6 アジア諸国における開発水準と生活の豊かさ(QOL)、環境意識・行動に関わる予備的研究 開発途上国における人間活動と環境劣化との相互関係を明らかにすることを目的として、開発水準の違いによる人口増加、工業化、インフラの整備、社会経済諸指標等をもとに「人間ー社会的側面ー環境」の生態学的構造を総合的に評価する手法を開発し、アジア諸国における人間活動と環境保全のバランスのとれた関係の構築を目標とする。
FS−7 開発途上国における地球環境保全に関する政策決定・執行システムとその地球環境への影響に関する予備的研究 様々な政治的背景、利害関係が複雑に絡み合った国際関係の中で、地球環境保全に関する問題解決に向けて国際的な合意形成を成うる仕組みが求められており、またその合意内容が着実に実行されるような有効性の高い政策手段が必要である。本研究は、このような具体的政策手段、必要とされる体制、組織等についての研究を行うにあたっての、研究手法、方向性等の方針を検討する。
FS−8 微生物機能を用いた環境浄化システムの確立に関する予備的研究 微生物は地球環境保全に重要な役割を果たしているが、その多様な微生物の生態系がどのように環境浄化に関わっていのるか、環境保全機能の安定保持や最善の効果を発揮させるためには何をすればよいのかを探る。また、微生物の持つ優れた分解機能を積極的に利用した環境修復技術の今後の可能性を探る。
FS−9 地球環境変動の統合モデルの新しい開発方針に関する予備的研究 近年、地球環境問題解決には科学的な問題同定プロセスと政策決定プロセスを一体化することが求められており、その有力な手段として「統合評価モデル」に関する研究が、地球温暖化の分野を中心に活発になっている。本研究は、地球環境変動に関する統合評価モデルの開発動向を調査し、モデル開発のニ−ズや最新の成果を明らかにし、我が国において統合評価モデルをどのように開発すべきかを検討する。