別紙2

温室効果ガス排出抑制・削減にかかる米国提案

 米国時間22日午後3時前(日本時間23日午前4時前)より、クリントン大統領は、米国ワシントンDCのNational Geographic Societyにおいて気候変動に関する米国提案を発表したところ、気候変動枠組条約交渉関連部分のポイント以下の通り。

1. 数値目標及び対象期間
 2008年−12年に排出量を1990年レベルに戻す。その後5年間(2013年から2017年)に1990年レベル以下へ削減するようコミットすべき。その後も更なる削減のために努力する。先進工業国はかつて90年レベルへの削減に向けた努力目標に合意したが残念ながら米国を含む殆どの国が右目標を達成できておらず、新たな決意で拘束的な目標にコミットする必要がある。


2. 柔軟なメカニズムの確保
 排出削減目標達成における柔軟性確保のため、共同実施制度(ある国の企業が他国の排出削減プロジェクトに投資した場合には、自国内での排出に関するクレジットを得る)及び国際的な排出権取引制度を提案。このような制度により世界全体で見た排出を削減し、削減費用を低く抑え、経済成長を犠牲にすることなく開発途上国の環境保護に役立つことになる。


3. 途上国の参加
 先進工業国及び開発途上国双方が地球温暖化への対応に参加しなければならない。先進工業国が率先すべきであるが、開発途上国も取り組むべきである。主要な途上国が意味のある形でこの努力に参加しなければ米国は拘束力のある義務を負うことはしない。アルゼンチンのメネム大統領は先週、気候変動のような地球規模の問題は地球規模の対応が必要である旨強調していた。劇的な経済成長を見込んでいるアルゼンチンのこういった認識は他の途上国にも当てはまる。

 

(参考)

SBSTA及びSBIにおける議論の概要

1. SBSTA(科学的・技術的助言に関する補助機関会合)
 第1週目には、公式会合が3回、非公式会合が1回開催され、WMOからの報告、方法論的問題(部分的に討議)を除き、一通り討議を終了した。その結果を踏まえ、共同実施活動、技術開発・移転、方法論的問題及びAGBMからの依頼事項(温室効果ガスの排出量、吸収量の推計手法、地球温暖化係数(GWP))について、COP3における決定のための勧告、又はSBSTAの結論をとりまとめるべく、各種の非公式会合が開催され、検討が進められている。討議の概略は以下のとおり。
関連国際機関との意見交換については、IPCC第3次評価報告書の構成を中心に、IPCCとの意見交換を行った。
国別報告書については、先進国からの国別報告書を討議。各種の方法論的な問題をさらに詰める必要があることが多くの国から指摘された。
技術の開発と移転については、途上国は、先進国による条約の義務の推進が不十分であるとして、その一層の推進を求めたのに対し、米国等は民間セクターが技術移転に果たす役割の重要性を指摘し、民間セクターの参加の促進方策を検討すべきと主張。また、途上国が技術の情報普及センターを設けるべきと主張したのに対し、米国は、途上国における国内の技術情報センターの整備促進は支持し得るが、国際的な技術情報センターは時期尚早として反対。
専門家のロスターについては、その活用に関する経験をさらに積み重ね、その結果を踏まえロスターの改善を図ることとされた。また、SBSTAのもとに設けることが予定されている国際的技術助言パネル(International Technical Advisory Panels: ITAPs)については、早急に設立すべきと主張する途上国と、役割が明確化しない限り設立する必要はないとする米国との妥協案として、暫定的に、技術に関する小ワーキンググループを幾つか設けて経験を積み重ねてから再度協議すべきとの提案がEUから行われ、途上国から歓迎された。
共同実施活動(AIJ)については、途上国から、これまでの途上国とのAIJの実績が極めて少なく、また結果が得られているものもないことから、パイロットフェーズを継続して経験を積み重ねることが必要との指摘が相次いだ。また、各国からの報告に含まれている技術等の情報が不適切であるため、報告事項についての内容を明確化するようなガイドラインの必要性が指摘された。


2. SBI(実施に関する補助機関会合)
 第1週目には、公式会合が3回開催され、全ての議題について一通り討議を行った。その結果を踏まえ、非附属書[1]締約国の通報、資金メカニズム、共同実施活動、技術開発・移転について、COP3における決定のための勧告、またはSBIの結論をとりまとめるべく、各種の非公式会合を開いて検討を進めている。討議の概要は以下のとおり。
共同実施活動(AIJ)については、先進国は、現在パイロットフェーズとして実施しているAIJの実績を評価し、2000年以降に、クレジットを伴う共同実施(JI)に移行すべく、COP3において何らかの決定を行うべきと主張。途上国は、これまでの途上国とのAIJの実績が極めて少なく、また結果が得られているものもないことから、パイロットフェーズを継続して経験を積み重ねることが必要であり、方針を打ち出すことは時期尚早と主張。
資金メカニズムについては、先進国は、GEFを条約の資金メカニズムとして決定するよう求めた。途上国は時期尚早として現在の暫定的取扱いを継続するよう主張。
締約国会議の準備については、COP3の議題等を議論。また、COP4を招致しようとの意思表明がないため、COP4は、来年11月にボンで開催することになると報告された。
条約改正案については、パキスタン・アゼルバイジャン提案(附属書[1]からトルコを削除)、オランダ提案(議定書採択手続の導入)、クウェート提案(4条1項と財政支援、技術移転とのリンクの強化)について、各国が議論。全く合意点はなく、その旨を提案とともにCOP3に報告する。