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各府県における近畿自然歩道の主要路線概要

福井県
 日本海に沿ったルートは、リアス式海岸である若狭湾の変化に富んだ海岸線と、数々の景勝地を訪ねながら雄大な自然景観を楽しむ。また、このルートの小浜市犬熊より上中町を経て、滋賀県へ至る鯖街道ふれあいルートは、国宝、重文、旧宿場町等の人文歴史資源が楽しめる。この2つのルートは、自然の造形美と若狭の歴史を満喫できる「みち」である。
若狭湾ルート
中部北陸自然歩道から続く若狭湾沿いのルートは、気比の松原を起点に三方五湖、三方海中公園、リアス式の海岸線を眺め、名勝、奇勝を訪ねながら「若狭富士」青葉山を越え京都府に続く。
上中町〜滋賀県境
日本海ふれあいルートから分岐し、かつての宿場町「熊川宿」の情緒ある町並みを通り滋賀県に至る。歴史的には、若狭の新鮮な魚貝類を京都に運んだルートの一つである。


三重県
 県中勢部に位置する松阪市を起点として、リアス式海岸の美しい伊勢志摩国立公園と歴史と伝説の吉野熊野国立公園を経由し、和歌山へ向かうルートと奈良、和歌山を経由し淡路島へ向かうルートを軸として、これに室生美杉ふれあいルート、熊野路ふれあいルートを加え、自然にふれあうとともに、それぞれの地域の人文歴史資源を楽しむことができる「みち」とする。
紀伊熊野路ふれあいルート
松阪市から伊勢方面へ向かい、伊勢志摩国立公園内の美しいリアス式海岸や伊勢神宮等の名所を巡り、県南部では熊野古道等の歴史資源を楽しみつつ峠を越えると、熊野市へと至る。吉野熊野国立公園内では七里御浜の美しい浜を鑑賞でき、和歌山県へ至る。
紀泉伊勢南街道ふれあいルート
松阪市から西へのルートを向かうと、室生赤目青山国定公園内の三峰山登山口へ到達する。三峰山は標高1,285.4mで頂上からの展望が素晴らしい。下山途中では日本で最大の断層である中央構造線も見ることができる。さらに西へ向かい高見峠を越えて奈良県へ到る。
熊野路ふれあいルート
松阪市から紀伊長島町へ向かうルートで、沿線には本居宣長の奥墓、丹生大師及び滝原宮等の人文歴史資源が点在し、奥伊勢から熊野へ向かう旧熊野街道として、人々の足跡が神社仏閣という形で残っている。紀伊長島町で紀伊熊野路ふれあいルートと接続している。
室生美杉ふれあいルート
このルートは、紀泉和歌山ルートと南山城山の辺ふれあいルートを結ぶルートである。ルート沿いにある三多気の桜は、国指定の文化財であり、桜並木が満開の時期は、その美しさを楽しむために多くの人が訪れる。また、大洞山山頂では、東海自然歩道と接続している。


滋賀県
 若狭から京へ鯖を運んだ道として知られる「鯖街道」沿いのルートで、街道の歴史や県立自然公園の身近な自然環境・景観を楽しむルート。朽木村におて中部北陸自然歩道と接続する。
鯖街道・花折峠のみち
大津市葛川梅木町から伊香立途中町を結ぶコース。足利義政やその夫人の日野富子などの参籠札が残されていることで知られる明王院や同院の仏にたむける花を摘んだのでその名が付いたといわれる花折峠を訪ねるみち。コースの多くは安曇川沿いの旧道で、鯖街道の面影を残す山間の集落が点在する。


京都府
 山陰海岸国立公園と若狭湾国定公園に指定されている岩礁、砂浜や砂しなどの変化に富んだ海岸線の魅力を堪能できる日本海沿岸ルートと、丹後、丹波の峠や渓谷、社寺や城跡を巡り、京都の自然と歴史、文化に触れる丹後・大阪ルートの二つのルートを選定する。既に利用されている東海自然歩道などの歩道との連携にも配慮し、京都府全域での歩道のネットワーク化を図る。
日本海沿岸ルート
若狭湾に沿って多様な日本海の自然景観を楽しむ。宮津では、海中に伸びる砂し、天橋立を歩くほか、雪舟観や股覗きなどの眺望を楽しむ。丹後半島では、伊根の舟屋や、鳴き砂で有名な琴引浜などを楽しむ。途中、スイス村などの宿泊施設や温泉リゾートもあり、ゆっくりと楽しめる。大江山まで足を延ばして酒呑童子(鬼退治)の伝説にまつわる旧跡などを訪ね歩くのも楽しい。
丹後・大阪ルート
日本海沿岸ルートから丹波高地を西に抜け、るり渓自然公園より大阪府につなぐルート。丹波高地では、弥仙山や日吉ダム周辺の豊かな自然を満喫し、大堰川沿いの盆地部では氷室神社や園部城跡などの歴史を訪ねる。常照皇寺まで足を延ばせば、桂川源流の桜を楽しむこともできる。


大阪府
 里山の四季を楽しめる丹後箕面ふれあいルート。太平記で有名な金剛山、万葉集にも詠まれている二上山など自然と歴史資源の両方を楽しめる金剛生駒ふれあいルート。
 淡路島や遠く四国の剣山を一望できる和泉葛城山を中心に昔修験者の歩いた道をたどる紀泉伊勢南街道ふれあいルート。これらのルートは府の山々を環状に結ぶ「みち」である。
丹後箕面ふれあいルート
歌垣山から能勢の里山を満喫しながら、ブナ林や杉の古木に囲まれた能勢妙見山を訪ね、明治の森箕面国定公園に入り、エキスポ’90みのお記念の森や箕面の滝などで十分に自然を楽しみ東海自然歩道へと向かう。
金剛生駒ふれあいルート
奈良県との県境をとおりながら府民の森の6つの園地をとおり二上山、大和葛城山へと続く、大和葛城山から大阪側には西行法師の終焉の地として有名な弘川寺がある。大和葛城山から水越峠を越えると金剛山に着く、府民の森ちはや園地で自然を楽しみ、歴史資源を訪れながら太平記の里千早赤阪村へと至る。
紀泉伊勢南街道ふれあいルート
和歌山県との県境をとおりながら紀見峠、ススキの高原が広がる岩湧山、西国巡礼四番札所の槙尾山施福寺へと向かう。和泉葛城山から天然記念物のブナ林をとおり大阪平野や関西国際空港のパノラマ展望を楽しみながら犬鳴温泉、紀泉アルプス、孝子峠を経て友ヶ島へと向かう。


兵庫県
 日本海、瀬戸内海、太平洋に開けた多彩な海と、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の5つの国を巡りながら、自然とふれあい、景勝地や史跡をたどる路線とする。日本海に沿ったルート、瀬戸内側を東西に横断するルート、子午線に沿って県内を南北に貫くルート、淡路島を南北に縦断するルートの4つのルートを幹線とし、いわば3つの海と5つの国を結びつける「みち」である。
日本海沿岸ルート(豊岡市〜浜坂町)
京都府から兵庫県最北端の猫崎半島をとおり、今子浦、但馬松島、鎧ノ袖、但馬御火浦など、日本海の荒波に削られてできた数々の洞門、奇岩、断崖や、磯浜など変化に富んだ海岸線の景色や漁村の風景を眺めながら、浜坂町の城山に至り鳥取県で中国自然歩道に連絡するルート。
沿線には温泉や海水浴場などもあり、豪快な自然とともに、海の幸や海岸でのレジャーの楽しめるルートである。
山陽路ルート(川西市〜上月町)
大阪府から能勢妙見山に入り、裏六甲の景色を眺望できる道を経て、三木へ至る。さらに播磨地域の丘陵地帯を西へ進み、法華山一条寺や書写山円教寺を訪れたのち、播磨の小京都と呼ばれる龍野の街並みを経て上郡町の皆坂の滝へ至り、中国自然歩道に連絡するルート。山陽の多様な歴史と里山や田園風景を楽しめるルートである。
子午線円山川沿いルート(城崎町〜明石市)
城崎から円山川に沿って南下し、玄武洞、コウノトリ飼育場を訪れた後、出石の城下町、糸井渓谷、竹田城址を経て丹波地方へ入る。水分れ公園(日本一低い中央分水界)、三尾山、多紀アルプスをとおって丹波篠山を訪れる。立杭陶の郷、日本へそ公園、五峰山、三草山を経て播磨平野に入り、明石の市街を抜けて明石港へ至る。但馬・丹波・播磨の三つの地域の自然・歴史・文化にふれることのできるバラエティに富んだルートである。
淡路島ルート(淡路町〜西淡町)(淡路町〜洲本市)
明石海峡大橋を経由して岩屋港から伊弉諾神宮を通り淡路島の西側に出る。高田屋嘉兵衛記念館、五色浜や慶野松原の美しい海岸線を訪れ、近郊農業地帯の三原平野をおのころ島神社へ至り、西へ向かうと、淡路人形浄瑠璃資料館、鳴門海峡へ至り、徳島県へ連絡するルート。途中灘黒岩水仙郷や沼島にも足をのばせる。おのころ島神社から東へ向かうと、鮎屋の滝、三熊山(洲本城址)を経て洲本港へ至り、和歌山県へ連絡するルート。
古代のロマンと四季折々の花景色や雄大な海岸風景を堪能できるルートである。


奈良県
 県の東部山麓には、すでに東海自然歩道が南北に通っている。一方西部山麓には、生駒山から金剛山にかけての、歴史と豊かな緑を有する青垣を背景としたルートや、葛城古道から吉野川沿いに伊勢南街道へ通じる「文学・歴史」と「自然」がマッチしたルートなど、各ルートの資源の特性を生かした「みち」が展開されている。
紀泉伊勢南街道ふれあいルート
三重県から高見峠、高見山を経て、伊勢南街道に沿い東吉野村を通り、吉野川を下って桜の名所吉野山に至る。吉野山からは、さらに吉野川を西に向かい、維新の町五條市を通過して、歴史の豊かな葛城古道を北上し香芝市に至る。また、吉野山で分岐し、役の行者の修行道を通り、洞川からみたらい渓谷を通って天川村川合に至る。
紀伊熊野路ふれあいルート
和歌山県から十津川村に入り、北山峡沿いを玉置山へ向かい、十津川温泉に至る。
金剛生駒ふれあいルート
大阪府から生駒市に入り、生駒山系を縦走し、二上山、葛城山、金剛山を経て五條市に至る。途中、暗峠、鳴川峠、十三峠、穴虫峠、竹内峠、平石峠、水越峠という、大和となにわを結ぶ、自然の豊かな数多くの歴史の残る峠を通過する。
高野龍神ふれあいルート
五條市から大和街道を通り和歌山県に至る。
大宇陀ふれあいルート
吉野町の津風呂湖で紀泉伊勢南街道ふれあいルートから分岐し、竜門岳から大宇陀町に入る。ダムサイド、かぎろひの丘を経て、江戸の町並みを抜け桜井市へ入り、東海自然歩道と連絡する。


和歌山県
和歌山市から大阪府・和歌山県の府県境にある和泉葛城山系を縦走し紀見峠から金剛山へと修験道のみちをたどる紀泉伊勢南街道ふれあいルート。
和歌山市から紀伊路を海岸沿いに南下し、本州最南端の潮岬を経由し、熊野三山に至る熊野古道:大辺路をたどる紀伊熊野路ふれあいルート。
田辺市から熊野古道を内陸部を進み熊野三山を巡る中辺路をたどる中辺路ふれあいルート。
高野町石道から和歌山県最高峰の護摩壇山を経て、日本三大美人湯の一つ龍神温泉に至る高野龍神ふれあいルートの4ルートを設ける。4ルートとも、中世より栄える「巡礼・信仰のみち」である。
熊野古道
中世以来、熊野三山(本宮・速玉・那智大社)へ参詣する人々が通った街道。熊野詣では平安時代後期、上皇や貴族がたびたび三山に参詣したことをきっかけに盛んになり、室町時代には先達や比丘尼の布教活動もあって、室町時代には「蟻の熊野詣で」いわれるほど多くの人々が熊野に押し寄せた。熊野に向かう道には紀伊路と伊勢路とがあり、紀伊路のうち田辺から先は、山中を本宮へと進む中辺路と、海岸線を迂回し那智・新宮へと進む大辺路とがある。街道沿いには、王子と呼ばれるほこらや社殿が祀られている。特に、中辺路は今も中世以来の古道景観をよくとどめている。
高野町石道
高野山に登る7つの登山道のうち中世のメインルート。政所の置かれた慈尊院から地主神丹生都比売神社のすぐ東側を通過し、高野山大門に至るコース。山上までの道順と距離を示すために町石と呼ばれる180本の石の卒塔婆が建てられていることから町石道と呼ばれている。


鳥取県
 県の東端、陸上岬から西は駟馳山峠に至る山陰海岸国立公園の中心地であり、数々の奇岩、岩礁が散在して海の大庭園となっており、別名「山陰の松島」ともいわれる浦富海岸の絶景を眺めながら探勝する「みち」であり、西は既に整備されている中国自然歩道に接続する。
日本海ふれあいルート(浦富海岸のみち)
兵庫県境から遠浅で知られた東浜海水浴場、浦富海水浴場を経て、「山陰の松島」の中心地、城原海岸の景勝を眺めながら中国自然歩道の駟地山峠に至る。


通過する主な峠
(福井県) 馬背峠
(三重県) 朝熊峠、馬越峠、八鬼山峠、高見峠、ツヅラト峠
(滋賀県) 花折峠
(京都府) 栗田峠、大内峠、普甲峠、海老坂峠、紅葉峠
(奈良県) 高見峠、暗峠、鳴川峠、十三峠、穴虫峠、竹内峠、平石峠、水越峠
(和歌山県) 蔵王峠、紀見峠、藤白峠、箸折峠、三越峠、小雲取越、大雲取越

通過する国民休暇村
(兵庫県)
・休暇村 竹野海岸 ・休暇村 南淡路
(和歌山県)
・休暇村 南紀勝浦 ・休暇村 加太

通過する自然公園
○国立公園
・伊勢志摩国立公園
・吉野熊野国立公園
・山陰海岸国立公園
・瀬戸内海国立公園
・高野龍神国定公園

○国定公園
・若狭湾国定公園
・室生赤目青山国定公園
・明治の森箕面国定公園
・金剛生駒紀泉国定公園

○府県立自然公園
(三重県)
・赤目一志峡県立自然公園 ・香肌峡県立自然公園 ・奥伊勢宮川峡県立自然公園
(滋賀県)
・朽木・葛川県立自然公園
(京都府)
・るり渓府立自然公園
(兵庫県)
・出石糸井県立自然公園 ・朝来群山県立自然公園 ・多紀連山県立自然公園
・猪名川渓谷県立自然公園 ・清水東条湖県立自然公園
・播磨中部丘陵県立自然公園 ・西播丘陵県立自然公園
(奈良県)
・県立吉野川津風呂自然公園  ・県立矢田自然公園
(和歌山県)
・紀仙郷 ・かつらぎ高野山系 ・煙樹海岸 ・田辺南部海岸 ・熊野枯木灘海岸

主な旧街道
・若狭街道 ・丹後街道(福井)
・大和街道(三重、奈良、和歌山)
・参宮街道 ・熊野街道(三重)
・葛城古道 ・竹内街道 ・伊勢南街道 ・東熊野街道(奈良県)
・熊野古道(三重、和歌山県)