a) |
予測の地域的範囲
[現行閣議決定要綱における基本的事項]
5 |
予測に係る基本的事項
(4) |
予測すべき地域(以下「予測地域」という。)の範囲は、対象項目に関する調査地域の範囲内で指針において定めるものとする。 |
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○ |
予測の空間的範囲は一定の影響の及ぶ範囲とされているが、酸性降下物のような長距離の汚染物質の移動は現在あまり考慮されていない。一方、河川横断構造物が水系全体の生態系に及ぼす影響、渡り鳥の採餌地・繁殖地の消滅が渡り鳥の生存に関わる影響など広域的な影響が考慮されるようになってきている。【総合研究会技術専門部会報告書10頁】 |
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b) |
予測の地点
○ |
実際の環境影響評価では、航空機騒音の地上騒音の予測、大気汚染の高さ方向の予測、鉄橋等の特殊音の予測等がなされていない場合に問題になることがある。【総合研究会技術専門部会報告書9頁】 |
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c) |
予測の時期
[現行閣議決定要綱における基本的事項]
5 |
予測に係る基本的事項
(3) |
予測の対象時期は、対象事業の特性に応じ環境影響を的確に把握できるよう指針において定めるものとする。 |
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○ |
予測の時期については、工事、存在、供用の各段階が対象となっており、一般的には、影響が最も大きくなる時期が選択されている。景観や自然環境の代償措置については、長時間にわたって変化が生じるが、このような長期的変化は考えられていないことが多い。時間経過に従って予測を行うべき事例もあるとの指摘もある。【総合研究会技術専門部会報告書10頁】 |
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d) |
予測の前提条件の明確化
○ |
データや手法の出典等、調査・予測・評価の基礎となった技術的情報についての記載が行われることが適当。<2(4){3}d)に再掲>【答申II.5.(3)】 |
○ |
数理モデルは、一般的な単純化された条件を前提として開発されたものが多く、地形・構造・要素等の条件が特殊で適用が困難なケースも多く残っている。このような場合、新たなモデルの開発や実測による補正等による努力が続けられているが、その一方で、大気汚染の拡散や騒音予測等において、数理モデルがその適用範囲を逸脱して使われていることもある。【総合研究会技術専門部会報告書11頁】 |
○ |
数理モデルの入力条件として、汚染物質の排出量や騒音のパワーレベル等が必要となるが、これらは発生源単位に事業活動の規模を乗じて算出されることが多い。【総合研究会技術専門部会報告書11頁】 |
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e) |
予測手法の検証
○ |
数理モデルを補完する手法としての大気汚染、水質汚濁、騒音等における模型実験、大気汚染における現地実験の手法は数理モデルの開発や検証に用いられている。【総合研究会技術専門部会報告書12頁】 |
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f) |
バックグランドの設定のあり方
[現行閣議決定要綱における基本的事項]
6 |
評価に係る基本的事項
(4) |
評価に当たっては、必要に応じ、当該対象事業以外の事業活動等によりもたらされる地域の将来の環境の状態(国又は地方公共団体から提供される資料等により将来の環境の状態の推定が困難な場合等においては、現在の環境の状態とする。)を勘案するものとする。また、国又は地方公共団体等が実施する公害の防止及び自然環境の保全のための施策を勘案することができるものとする。 |
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○ |
大気汚染、水質汚濁等では、対象事業以外の活動による環境影響を含んだ環境の状態(いわゆるバックグランド)の予測が一般に必要とされる。また、動物、植物、野外レクリエーション地等では、保全対象と同様のものの事業対象地域以外における分布やその将来動向が、保全対象の価値付け、予測結果の評価において重要な意味を持っている。景観においても、対象事業以外の背景や視点場の将来変化も重要な意味がある。【総合研究会技術専門部会報告書19頁】 |
○ |
対象事業以外の影響を予測することは事業者にとって困難であることも多く、現況と同じと仮定することも多く行われている。一方、行政等の環境保全対策を勘案して将来のバックグランドを設定すること、地方公共団体が地域の将来予測結果や予測モデルを持っている場合は、これを用いて予測することなども行われる場合がある。【総合研究会技術専門部会報告書19頁】 |
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g) |
不確実性の検討
○ |
科学的知見の限界に伴う予測の不確実性の存在に関する記載の必要性【答申II.5.(3)】 |
○ |
知見や情報が限られていること、予測結果も統計的な推計値であること、自然環境の条件が変わりうること、多様な地域条件を予め全て勘案することは困難なこと、事業者による管理が困難な要因があること、他の事業に起因する影響の累積は予測困難なこと、面整備事業において上物が決まらない段階での正確な予測が困難なこと、などから予測には一定の不確実性が伴うことは避けられない。【総合研究会技術専門部会報告書14頁】 |
○ |
不確実性の程度や内容を評価するための方法として、不確実性を持つ予測条件に関し、感度分析を行う方法、予測結果を幅で示す方法、不確実性をもたらす要因とその不確実性の程度を整理して示す方法などがある。また、意思決定において不確実性を適切に扱うため、調査対象国等では、アセスに情報や技術的困難点の記載を求めている例がある。【総合研究会技術専門部会報告書14頁】
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