(参考2)
 
「ミレニアム生態系評価」(MA)の概要
 
 
1. 目的
 
 MAは、政策決定者に対し、世界の生態系の変化がもたらす人間生活や環境にかかわる影響について、総合的な科学的知見を提供ことによって、生態系管理を改善させることを目的としている。
 特に、3つの生態系関連条約(生物多様性条約、ラムサール条約、砂漠化防止条約)を主要なユーザーとして想定しているが、これに加えて、各国政府、民間、地方政府等の幅広い対象をユーザーとして想定している。
 
2. 内容
 
 MAは、世界の草地、森林、河川、湖沼、農地および海洋などの生態系に関して、水資源、土壌、食料、洪水制御など生態系機能が社会・経済にもたらす恵み(財とサービス)の現状と将来の可能性を総合的に評価しようとするものである。本プロジェクトの総予算は2,100万ドルであり、4年間にわたり世界の1,500人の代表的な自然科学および社会科学者が参画して実施される。
 MAでは、これまで前例がない「マルチスケール」アセスメントが実施されることとなっている。これは、全地球規模のアセスメント、地域レベルのアセスメント、さらにはより小規模な地方規模のアセスメントを含んでいる。
 このうち、地域レベルのアセスメントでは、南アフリカ、東南アジア、中国西部等の10カ所程度を対象とする予定であり、上記の方法論を具体的な地域に適用して詳細な分析を行うことにより、地球規模の知見を補強することを目指している。
 
3. 期待される成果とその普及
 
   MAにより、政府、民間、学界、市民社会等の様々なレベルにおいて生態系の重要性について認識が高まることが期待される。また、政策決定に必要となる利益とコストのトレードオフの分析等を行うに当たって重要な情報、手段、選択オプションを提供することにより、政策決定者の意志決定に影響を与え、将来の環境問題の改善に大きく貢献することが期待される。
 なお、MAの成果については、インターネットサイト、技術レポートおよびその「政策決定者向け要約」などを作成し、政府、民間、学界、市民社会に対して普及する。