(別添)
 
<日本の生物地理学的位置付け、自然環境分野の国際協力>
日本の生物多様性を論じる場合、アジアの中での日本という視点は大変重要。日本に生息生育する多くの動植物のルーツをアジアの国々と共有しているということを踏まえる必要がある。 
東アジアは、世界で唯一極地から熱帯まで森林がつながっているという重要な地域である。その観点から、DIVERSITAS(国際生物多様性科学研究計画)のDIWPA(西大西洋アジア地域部門:事務局京大)における学術分野からの貢献は注目すべき。
生物多様性条約については、同じリオの地球サミットで採択された温暖化防止条約に比べ日本において盛り上がりが少ないのが問題である。
ラムサール条約など、条約に基づく地域指定をすることが環境保全に万能であるとの誤解を生じやすいが、条約の意味や内容をよく認識し政策の中にどのように位置付けていくかの検討が必要。
 
<これまでの懇談会発言の論点整理>
持続可能(な利用)の概念は、当面の目標より上位の理念に位置付けるべき。
政策実現手段としての環境教育のあり方について十分検討する必要がある。学校教育を含めた組織的な取組・検討が必要。
野生生物と人間活動の平衡状態を目標とする考え方はよいが、単に昔に戻るというのではなく、科学的な知見に基づく個体群管理手法を広く導入するなど現在の科学の進歩を織り込んだ考え方が必要ではないか。
ヨーロッパにおける森林に代表される自然破壊は、日本では水面・湿地の開発が相当するとの見方もあり、それらを回復させることが重要。
国土をマクロに捉え、源流部から沿岸域まで流域単位で関係省庁(森林、河川、農地、都市、港湾、海岸等)が連携した施策を打ち出せないか。
国家戦略に生物多様性保全上の地方公共団体の役割をきちんと位置付けるべき。
都市的自然や里山の保全に注目することは重要なことだが、全てを一律に扱うのではなく、科学的観点やふれあいの観点といった複数の評価軸の設定が必要ではないか。(これらを通じて、)国家戦略の考え方が地方の計画にも織り込まれるような工夫が必要。
都市においても鎮守の森等のように原生的・本物の自然を混在させることが必要ではないか。
国土をマクロに捉える上で、海岸植生など海岸の分析が十分ではない。200海里内の海洋も含めて取り上げるべき。
移入種問題に対応するためには新たな枠組み(法律等)が必要ではないか。
保全の手法として、ゾーニング手法に加え、戦略的アセスメントや経済的手法、自主的取組の促進等が必要。
地域の保全活動を担う専門家を含むコアグループを地域毎に形成することが重要。
 
 (以上、委員等発言:順不同 文責:事務局)