(別添)
 
 
  • シカ、クマ、猛禽類のように種そのものに着目した取組と、里地里山のように生態系(生息環境)に着目した取組の両方が重要である。
  • 野生生物の生息地(ハビタット)としての重要地域の選定を検討する必要がある。イギリスのSSSIのように希少種の重要生息地を民有地を含めて指定し、土地所有者が土地を改変する際には3ヶ月前に行政機関に通知するというゆるやかな指定制度も参考にしてはどうか。
  • 民有地にもRDB種を始め多くの野生生物が生息しているが、土地制度において私有権が大きすぎるため種の保存に支障が生じる場合が見られる。
  • 平地から丘陵地にかけての民有地の多い地域でのRDB種の保全対策の検討が重要である一方、国立・国定公園等の保護地域についても生物の重要な生息地として自然の収容力を考慮した保護の強化が必要。
  • RDBはリストに載せるのが目標ではなく、種の個体数を回復させ、リストからダウン(削除)させることを目標とすべき。
  • 希少種対策としては、種の保存法による種指定、保護区指定等の拡大が必要である一方、絶滅要因を把握し、それを取り除くための施策が必要。保護方策の検討の際には、生物により、個体や生息地の大きさ、生活の態様等が大きく異なることを十分踏まえる必要がある。
  • 生物多様性は、国土の豊かさを示し、人間生活を豊穣にするものと言えることから、生物の生息状況等の質の高いデータを恒常的に収集するためのシステムが必要である。例えば、全国の1kmメッシュ(38万箇所)毎に野生動植物をモニタリングする観測ポイントを、国と自治体の連携、NPOとの協力により設定しデータを収集してはどうか。
  • 調査やモニタリングを委嘱やボランティアに頼っている現状には限界がある。調査やモニタリングに関わる人材育成と、その業務が職業として成り立つような仕組みづくりが必要。
  • 日本はアジアのリーダーとして猛禽類を始めとする自然情報の収集と発信の拠点としての役割を果たしていくことが重要。
  • イヌワシ、クマタカとも近年繁殖率が低下しており、要因としては開発行為や環境汚染物質等が考えられる。猛禽類の保護には、人工繁殖等の個体の保護、地元の協力による生息環境の保全、一般への啓発・教育が必要である。
  • 鳥獣保護は農林水産業の枠組みに位置付けるのではなく、国民の共有財産としての位置付けが必要。鳥獣の個体群管理に不可欠な個体数推定には未だ不確実性があり、今後さらに技術開発を進めることが必要。
  • 野生生物保全に資する地域への直接支払制度や税制優遇など、経済的手法により生物多様性維持が促進されるようなシステムを検討する必要がある。
  • 浅海域も野生生物の生息環境として重要な要素であり、今後の大きな課題になろう。
     
     
(以上、委員、ゲストコメンテーター等発言:順不同 文責:事務局)