「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」
試行に係る事業
実施要領

 
平成13年7月
環境省総合環境政策局環境経済課
 




「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」の試行に係る事業
実施要領


 
 

 環境省では、事業者の環境パフォーマンス評価の手法について検討を進めてきており、本年2月に評価すべき環境パフォーマンス指標のガイドラインとして「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」を策定したところです。このガイドラインを事業者の環境保全活動の一層の促進に資するものとするため『「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」の試行に係る事業』を下記のとおり実施することとしました。
 
 

 
1. 事業名
 「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」の試行に係る事業(以下、「EPIパイロット事業」という。)
 
2. 事業の目的
 企業等が環境保全活動を適切に進めるに当たっては、自らがかけている環境負荷やその低減対策の効果(環境パフォーマンス)を的確に自己評価すること、そして、その結果を公開し、外部の利害関係者(投資家、地域住民、NGO等)の外部評価を得ることが求められています。この環境パフォーマンス評価のプロセスのガイドラインとしては、国際標準化機構(ISO)よりISO14031(JISQ14031)が発行されており、評価すべき環境パフォーマンス指標のガイドラインとして、環境省は「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」を策定しています。これらの両ガイドラインを実際に事業者に試行していただき、その結果のフィードバックを得ることによって、環境パフォーマンス評価の課題を整理し、ガイドラインの改善、及びより適切な環境パフォーマンス評価手法の確立に向けた知見を得ることを目的とします。
 なお、EPIパイロット事業は、ガイドラインの内容の適否の吟味を行うものであり、参加事業者の外部評価や格付けを行うものではありません。
 
3. 事業実施期間
 平成13年8月から平成14年2月まで
 
4. 事業内容
  (1) EPIパイロット事業の視点
     EPIパイロット事業では、以下の3つの視点から「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」の問題点の抽出及び課題の整理を行います。
    [1] 「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」に提示している各指標の、事業者における導入状況の把握
    [2] 自己評価のための環境パフォーマンス指標のあり方の検討
    [3] 環境パフォーマンス指標の国際比較
 
  (2) EPIパイロット事業の実施手順及び考え方
    [1] 参加事業者の環境パフォーマンス指標の導入状況に関する基本調査
「事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)」が提示する各指標について、下記の調査票(イメージ)をもとに、参加事業者の現時点におけるデータ算定状況及び環境パフォーマンス指標としての選択状況(現状及び意向)のとりまとめ、整理を行います。
 
      調査票における主な調査項目と留意点は以下のとおりです。
      ⅰ) 環境パフォーマンス指標としての選択状況
      参加事業者における共通的主要指標、業態別主要指標の選択状況を把握する。
      現状では選択していないものの、将来は選択する意向のある指標についても把握する。
      指標の定義・対象領域を把握する。
      算定方法を把握する。
      ⅱ) バウンダリー
      指標の値を集計している事業活動の範囲を把握する。特に、環境会計、財務会計、連結決算対象などとの関係について留意する。
      異なる業種を抱かえている参加事業者は、その内訳も把握する。
      ⅲ) 主要指標の追加
      共通的主要指標や業態別主要指標以外で、参加事業者が重要と判断する指標を追加する。
      ⅳ) 時系列での比較評価
      過去からの改善状況、将来目標と現状との比較評価が可能かどうかを把握する。
      ⅴ) ベースラインとの比較評価
      環境負荷低減対策を講じた結果としての環境負荷と、仮に対策を講じなかった場合に想定される環境負荷(ベースライン)との差の算出による評価が可能かどうかを把握する。また、その算出方法は第三者による検証が可能なものであるかについても把握する。
      ⅵ) 経営指標との関連づけ
      売上高等の経営指標と環境パフォーマンス指標を関連づけた指標(環境負荷集約度や環境効率の指標)の活用状況について把握する。
 
 

 
      [2] 参加事業者による環境パフォーマンス指標の導入状況に関する整理
 以上の調査から各指標を次の観点から4種類に分類し、各カテゴリー毎に問題点・課題の整理を行います。


  今後、指標として選択する意向がある。 指標として選択する意向はない。
既に指標としてデータが算定されている。 I
指標として算定はしていないが、社内データとして存在している。 I III
指標として算定していないが、簡単な方法又は既存の設備機器などの利用により算定可能。 II IV
指標として算定困難又は不能。 IV IV

   _   ⅰ) カテゴリーIについては、各参加事業者による算定方法、集計範囲、算定単位、算定の精度、算定上の留意点、当該指標を環境報告書に盛り込んで外部へ公表することの可否などの点について現状の整理を行います。
      ⅱ) カテゴリーIIについては、参加事業者とともに具体的な算定の可能性を探り、必要に応じて以下の[3]において実査を行います。
      ⅲ) カテゴリーIII及びIVについては、参加事業者へのヒアリング等を通じて、指標として選択しない又は算定できない理由、原因の分析を行います。
 
    [3] 自己評価における環境パフォーマンス指標のあり方の検討
       算定された環境パフォーマンス指標の数値について、事業所単位あるいは事業者の総体を単位として施策の効果や結果の確認に用いるだけではなく、環境パフォーマンス指標の算定過程や分析を通じて、より的確に環境負荷発生原因の特定や環境保全対策の効果の把握ができるような、付加価値の高いものとする工夫が必要であると考えます。これにより、より的確な環境パフォーマンス指標の自己評価が可能になると同時に、新たな環境保全対策立案のヒントを得ることができると考えます。
      ⅰ) 先行事例などによる環境パフォーマンス指標自己評価方法の整理
         事務局が、国内外の環境パフォーマンス指標に関する算定方法や分析、評価に関する手法について、環境報告書などから収集した情報をもとに先行事例のとりまとめを行い、参加事業者と情報の共有化を図ります。
      ⅱ) 算定過程、分析方法の見直し
         先行事例の整理をふまえ、カテゴリーIに分類した指標のうち、可能なものについては、既存データの集計単位や算定方法を見直し、分析を行います。カテゴリーIIに分類した指標については、可能なものについて新たに測定・算定のうえ、分析を行います。
      ⅲ) 事業者による環境パフォーマンス指標を利用した環境保全対策立案の試行
         既存のデータ及び新たに算定されたデータをもとにした環境パフォーマンス指標を用いて、分析、自己評価を行い、環境負荷の低減や環境効率改善など、環境対策の立案を試みます。
    [4] 環境パフォーマンス指標の国際比較
       事務局が、欧州を中心とした環境格付け機関や機関投資家などの外部機関に対して、ステークホルダーとしての視点から事業者に求めている環境情報の開示水準や参照する環境パフォーマンス指標に関する調査を行い、参加事業者と情報共有を行います。これにより、外部機関から見た環境パフォーマンス指標の問題点、課題の整理を行います。
 
5. 実施体制
   環境省環境経済課の指導のもとに、株式会社日本総合研究所が事務局となり、参加事業者にガイドラインの試行をしていただきます。月1回程度の割合で参加事業者にお集まりいただき、試行に関する問題点の抽出やその解決策についての情報共有、とりまとめを行っていきます。必要に応じて、参加事業者への情報提供、アドバイスを行います。
 
6. 事業実施にかかる経費
   支給しません。
 
7. 報告書の作成
   EPIパイロット事業を通じて得られたガイドラインに関する問題点や課題は、次年度以降のガイドラインの改訂等の参考とするほか、報告書としてとりまとめ公表する予定です。
 
8. 問い合わせ先
 
環境省総合環境政策局環境経済課 川浪
TEL  03-5521-8240
FAX  03-3580-9568
e-mail MAKOTO_KAWANAMI@env.go.jp
 
事務局
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 佐藤/足達
TEL  03-3288-4984/4624
FAX  03-3288-4689
e-mail sato@ird.jri.co.jp
adachi@ird.jri.co.jp