環 境 省 の 政 策 体 系



I  環境への負荷が少ない循環と共生を基調とする経済社会システムの実現
 
1.地球規模の環境の保全
 
  (1) 地球温暖化対策
    <目標>
     地球温暖化の防止
    [1]  京都議定書に定められた温室効果ガスの6%削減目標を達成する。
 (当面の目標;2008〜2012年)
    [2]  更なる長期的・継続的な排出削減へと導くため、温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会を構築する。
 (中長期的目標;2012年以降の第2約束期間)
    [3]  気候系に対する危険な人為的影響を及ぼすこととならない水準において、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる。(究極的な目標)
 
  (2) オゾン層保護対策
    <目標>
     オゾン層の保護・回復
       オゾン層の状況等の監視を行うとともにオゾン層破壊物質の大気中への放出を抑制する。
 
  (3) 酸性雨等に係る対策
    <目標>
     酸性雨による環境影響の防止
       東アジア地域を中心に、国際的な連携の下でのモニタリング、調査研究等の国際協力を進める。
 
  (4) 海洋環境の保全
    <目標>
     海洋環境の保全
       国際的な連携の下で油や有害液体物質、廃棄物等による海洋汚染防止対策を推進するとともに、油等の流出事故に対する緊急時体制の整備を図る。
 
 
2.大気環境の保全(地球規模の大気環境の保全を除く。)
 
  (1) 大都市圏等への負荷の集積による問題への対策
    [1]  窒素酸化物対策
    <目標>
       環境基準の達成・確保
 
    [2]  浮遊粒子状物質対策
    <目標>
       環境基準の達成・確保
 
    [3]  スパイクタイヤ粉じん対策
    <目標>
       スパイクタイヤ粉じんからの国民の健康の保護と生活環境の保全
 
    [4]  硫黄酸化物対策等
    <目標>
       環境基準の達成・確保
 
  (2) 多様な有害物質による健康影響の防止
    <目標>
       環境基準の達成・確保
 
  (3) 地域の生活環境に係る問題への対策
    [1]  騒音対策
    <目標>
       環境基準の達成・維持
 
    [2]  振動対策
    <目標>
       地域住民の大部分が日常生活において振動による支障を生じない程度の一般環境の確保
 
    [3]  悪臭対策
    <目標>
       地域住民の大部分が日常生活において悪臭を感知しない程度の一般環境の確保
 
    [4]  その他大気に係る生活環境保全対策
    <目標>
    大気生活環境の質を星空観察ができる透過度に向上
    地域住民の大部分が日常生活において暑熱による顕著なストレスを感じない程度の一般環境の確保
 
  (4) 光化学オキシダント対策
    <目標>
       環境基準の達成・確保
 
  (5) 大気環境の監視・観測体制の整備
    <目標>
       大気環境の状況の体系的な監視・観測体制の整備
 
3.水環境の保全
  <目標>
     水環境の安全性の確保を含めた水利用の各段階における負荷を低減し、環境基準を達成・確保するとともに水域生態系を保全する。
 
4.土壌環境の保全
  <目標>
   土壌環境基準の達成・確保
     土壌汚染を未然に防止し、汚染土壌を回復・保全する。
 
5.地盤環境の保全
  <目標>
   地盤沈下の防止
     環境保全上健全な水循環の確保
 
6.廃棄物・リサイクル対策
  <目標>
(1) [1]  廃棄物の排出量の削減
 平成22年度において、平成8年度に対し、一般廃棄物については排出量を約5%削減、産業廃棄物については排出量の増加を約12%に抑制する。
[2]  廃棄物の再生利用率の向上
 平成22年度において、平成8年度に対し、一般廃棄物については再生利用量を約11%から約24%に増加、産業廃棄物については再生利用量を約41%から約47%に増加させる。
[3]  廃棄物の最終処分量の削減
 平成22年度において、平成8年度に対し、一般廃棄物、産業廃棄物とも最終処分量をおおむね半分に削減する。
 
(2) [1]  不法投棄件数及び投棄量の減少
 廃棄物処理法に基づく規制の徹底、不法投棄の監視体制の強化等により不法投棄の発生防止及び拡大防止を図り、平成11年度に対し、平成22年度において、廃棄物の不法投棄件数及び不法投棄量をおおむね半分に削減する。
[2]  廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量の削減
 一般廃棄物焼却施設、産業廃棄物焼却施設等について、平成14年度末において、ダイオキシン類対策特別措置法第33条第1項の規定に基づく計画に定めるダイオキシン類の排出量に関する削減目標量を達成する。
[3] 適正処理に必要な廃棄物処理施設の整備
(最終処分場、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設等)
 再生処理施設や焼却施設については、廃棄物の減量化の目標年度である平成22年度において必要な処理能力を確保できるよう、その整備を促進する。
 一般廃棄物の最終処分場については、地域ごとに必要となる施設を今後とも継続的に確保し、産業廃棄物の最終処分場については廃棄物の減量化の目標年度である平成22年度において要最終処分量の5年分程度を確保できるよう、その整備を促進する。
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設については、全国に5か所程度、環境事業団を活用して広域的な処理施設の整備を図る。
[4] 合併処理浄化槽の整備
 生活排水対策を強化するため合併処理浄化槽の整備を促進する。
 
7.化学物質対策
<目標>
(1) 環境リスクの評価
[1]  有害性の高い物質の環境残留状況の監視、PRTR高排出量物質の環境汚染状況の把握、未知の汚染物質の同定等に重点を置いて、化学物質の環境モニタリング等を計画的に進め、基礎的知見を拡充する。
[2]  SPEED98掲載の65物質を中心とした40物質以上について、平成12年度から3カ年で有害性評価に取り組むとともに、OECDの試験法の開発に協力する。
[3] PRTR法対象物質のうち、農薬を除く約300物質を対象として、平成13年度から平成16年度までに220物質を目標としてヒトの健康及び生態影響に関するリスク評価を推進する。
 
(2) 環境リスクの管理
[1]  ダイオキシン排出量について平成14年までに平成9年比約9割を削減する。
[2]  平成15年頃に予定されているWHOのTDIの再検討等に資するため、ダイオキシン類の低濃度影響等について、動物実験により調査・研究を行い、健康影響について検討を進める。
[3]  農薬による環境リスクの適切な評価と管理を推進することにより、農薬による環境汚染の未然防止を図る。
[4]  化学物質審査規制法の新規化学物質(年間の届出、約300物質)について、環境保全の観点から試験結果を総合的に審査し、その結果に応じ指定化学物質等に指定して必要な規制を行う。
[5]  約2万種の既存化学物質についても、リスク評価や安全性の点検を生産量・輸入量の多いもの等を優先して計画的に実施し、その結果に応じ化審法に基づく指定化学物質等に指定して、必要な規制等を行う。
[6]  現行の化学物質審査・規制体系について、生態系保全の視点追加、試験項目や規制手法の見直し、既存化学物質対策の強化等の観点から、国際的な整合性を図りつつ、化審法の改正を含めた見直しの検討を進める。
 
(3) リスクコミュニケーションの推進
[1]  PRTR制度により得られる354の化学物質の環境排出量等について、平成14年度後半に第1回の集計・公表を行うとともに、環境リスクの理解に有用な諸情報を併せて提供する。
[2]  地方自治体の第一線にいる職員や、民間にあって意欲と潜在能力を有する人材をリスクコミニュケーションの担い手として活用できる制度の構築を行う。
 
(4) 国際協調による取組の推進
[1]  本年5月採択予定のPOPs条約について、関係行政部門の協調により国内体制を整え、平成16年までの締結を目指す。
[2]  OECD等が進める化学物質対策の国際協力活動に積極的に参画するとともに、アジア太平洋地域においても我が国の有する知見の共有や情報交換など国際協力活動の推進を図る。
 
8.自然環境保全と自然とのふれあいの推進
<目標>
(1)  貴重な自然の保全、二次的自然環境の維持管理、自然的環境の回復及び野生生物の保護管理など、保護あるいは整備などの形で環境に適切に働きかけ、社会経済活動を自然環境に調和したものとしながら、自然環境の賢明な利用を図る。
 
(2)  様々な自然とのふれあいの場や機会を確保するなど自然と人との間に豊かな交流を保つ。
 
9.国際的取組に係る施策
<目標>
 環境関係の広い分野でわが国の国際的な地位と能力に照らして十分な貢献を行う。
 
 
II  各種施策の基盤及び各主体の参加に係る施策
 
1.環境基本計画の効果的実施
  <目標>
     環境基本計画を効果的に実施するとともに、その実施状況を点検する。
 
2.環境教育・環境学習の推進
  <目標>
     環境に対する共通の理解を深め、意識を向上させ、問題解決能力を育成し、取組の基礎と動機を形成する。
 環境政策推進のための職員研修を実施する。
 
3.環境と経済の統合に向けた取組
<目標>
 社会経済システムへの環境配慮の織り込みを図る「社会経済のグリーン化」を進める。
 
4.環境パートナーシップの形成
<目標>
 環境パートナーシップの形成を推進する。
 
5.環境影響評価等
<目標>
 国の施策の策定等に当たって、環境保全上の適切な配慮を確保する。特に、環境影響の程度が著しいおそれのある事業については、環境影響評価の実施・充実を図る。
 
6.環境に配慮した地域づくり
<目標>
 環境に配慮した地域づくりを支援する。
 
7.試験研究、監視・観測等の充実、適正な技術の振興等
<目標>
 環境研究及び環境技術開発の促進を図るための基盤整備を行うとともに、その振興を図る。
 
8.環境情報の整備と提供
<目標>
 環境保全施策を科学的・総合的に推進するため、環境の状況、環境への負荷などの環境情報を体系的に整備し、国民にわかりやすく提供する。
 国民ニーズに対応した環境情報の効率的な整備・提供。
 環境政策推進のための基礎的事務の実施及び知見の収集。
 
9.公害防止計画
<目標>
 公害の著しい地域等を解消する。
10.環境保健対策
<目標>
 健康被害の救済及び予防
(1)  公害健康被害補償法に基づき、今なお約6万の認定患者が存在することを踏まえ、公正な補償給付等の実施を確保する。
 
(2)  自動車排出ガス等に係る大気汚染対策の強化と併せて、公健法の旧指定地域等における健康被害予防の事業を推進するとともに、地域人口集団の健康状態と環境汚染との関係について継続的な監視及び調査研究を行う。
 
(3) [1]  水俣病問題の解決に当たっての平成7年12月の閣議了解等を踏まえ、総合医療対策、地域再生・振興等を継続的かつ着実に実行する。
[2]  水俣病の経験を国内外に情報発信するとともに、世界各地で顕在化している水銀汚染問題について、我が国の経験と技術を活かした国際共同研究や国際協力を進める。
 
(4)  国民的な関心事となっている花粉症と大気汚染との関係、電磁波による健康影響等の諸問題について、環境行政の立場から必要な調査研究を推進する。
 
11.環境政策の基盤整備
<目標>
環境政策推進のための知見を収集し活用するとともに、研修を実施し職員の識見向上、専門的知識・技術を習得させる。