別添1
 
「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針(改正案)」について寄せられた意見に対する考え方・対応
 


 1.自主管理計画等
  1)自主管理計画の策定について

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  平成10年度及び11年度において、ベンゼンについて環境基準を超過していた高砂市周辺の工場・事業場に対し、関係市と連携し排出抑制指導を行った結果、平成12年度環境調査においては、年平均値2.6μg/m3と環境基準を下回っており、今後も、関係市と連携し、周辺工場・事業場に排出抑制指導を行い、引き続き環境基準が達成できることから、ベンゼンに関し、高砂市・加古川市について国の地域指定は必要なし。  1  指針案別表4に示す地域のうち、東播磨地区を除外することとします。
<理由>
 ベンゼンについて地域単位で自主管理計画を策定すべき対象となる地域の選定については、平成10年度及び平成11年度におけるベンゼン濃度の年間平均値が、継続して概ね環境基準値の1.5倍以上の固定発生源周辺の測定局を有する地域であることを要件として選定したものです。
 本指針の当初案の別表4に示していた東播磨地区においては、[1]当該地域における関係事業者が、平成12年から兵庫県や関係市との連携のもとに、排出抑制対策を実施する等、本指針が目指すスキームに準じた形で既に取組がなされていること、[2]これにより、兵庫県が実施した平成12年度のモニタリング結果(暫定値)においてベンゼン濃度が大幅に改善され環境基準を下回ることとなったと報告されていること、[3]今後とも環境基準が達成できるとの判断を兵庫県が示していることを踏まえて、当該地域については除外することが適当と考えます。
 なお、その他の5地域については、改善傾向にあるものの引き続き環境基準を上回っており、また当該地域を含む都道府県も地域的な取組が必要と判断していることから、当初案通り、地域単位での自主管理計画の策定対象地域とすることが適当と考えます。
 2  ベンゼン濃度の年間平均値が、継続して概ね環境基準値の1.5倍以上の6地域のうち3地域は、公健法の旧指定地域である。環境基準を直ちに達成すべきである。そのための平成13年度に達成すべき目標値は、国が示すべきである。国が示す目標値は環境基準の達成を前提にしたものとすること。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 地域を単位とした取組の対象物質であるベンゼンの環境濃度については、自動車等の移動発生源からの寄与も大きいと考えられることから、各々の排出実態に応じた対策を総合的に推進することにより環境基準の達成を図るべきと考えております。
 事業場等における対策については、画一的な手法によらず、事業者がその実態・状況に応じて目標を定め適切な対策を取り入れていくという柔軟性の高い手法をとることが有効であり、国が一方的に目標値等を定めることは適切ではないと考えます。
 なお、ベンゼン濃度が改善傾向にあるものの継続的に高濃度となっている地域においては、地域ごとの自主管理計画を策定するなど、業種横断的に他の事業者と密接な連携を図りながら、地域濃度や事業場での取扱実態に応じた対策を地域一体となって取り組むことが、環境基準の達成に向けた大気環境濃度の改善に有効であると考えます。
 3  指針別表4の地域において環境基準が常時達成されるだけの排出削減が全事業者により行われること。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 地域ごとの自主管理計画策定対象地域においては、業種横断的に他の事業者と密接な連携を図りながら、地域濃度や事業場での取扱実態に応じた対策を地域一体となって取り組むことにより、環境基準の達成に向けた大気環境濃度の改善が図られるものと考えます。

 
 
 2)実施状況の評価

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  改正案では毎年自主評価し、「情報提供等に努める」としているが、毎月実施状況をまとめて直ちに公表することとすべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 ベンゼン等の有害大気汚染物質の大気環境中の濃度については、国及び地方公共団体におけるモニタリング調査等においても年平均値で評価することから、自主管理計画の実施状況については年間で把握し評価を行うことが適当と考えます。
 2  自主管理計画が達成されなかった時の措置を明らかにすべき。  3  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 将来における対策については、今後の3ヶ年の取組の結果を踏まえて対応すべきものと考えます。
 3  国は環境基準未達成地域で、事業所ごとの計画及び計画の達成度について定期的に公表すること。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 地域自主管理計画策定対象の地域においては、業種横断的に関係事業者等が一体となって対策を講じていくことが効果的であることから、当該地域ごとに自主管理計画を策定することとしています。
 従って、排出削減目標や排出実績の評価についても、自主管理計画の策定単位で行うことが適切と考えます。なお、計画の実施状況は、地方公共団体及び国の関係審議会において評価を行い、その結果を公表することとしています。
 4  事業者は、計画とその実施状況について外部監査を行うこととし、住民団体、公害被害者団体やその推薦する専門家を加えることとすべきである。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 これまでの3カ年の自主的取組により、目標を大きく上回る排出削減が達成されるとともに、大気環境濃度も改善が図られました。したがって、事業者ごとに外部監査を導入しなければ、自主的取組が有効に機能しないということは考えられず、必ずしも個々の事業者に外部監査を義務づける必要はないと考えています。




 2.排出抑制対策の実施について

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  事業者は代替物質がある場合には代替、ない場合には現在入手可能な最高の技術を用いて排出ゼロ、排出の最小化を確実に実現すべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 有害大気汚染物質対策においては、各事業所毎の規模、使用状況、排出形態、立地環境等に応じた多種多様な排出抑制対策技術が存在します。
 このような中から、事業者が対策を選択していくに当たっては、個々の事業者にとって、当該対策が一時的な回避措置ではなく、継続的な取組を可能とするものか否かを見極めることが重要な観点の一つであることから、指針にも、技術的側面に加えて、費用対効果(経済性)も評価することについて記述する必要があると考えています。
 改正案にある「経済性」は、私たち公害被害者や住民の健康を犠牲にすることを省みず事業者が経費節減を行うものと受け取れ、不適切である。こうした記述がある限り、事業者は「経済性」を理由に対策を怠るものと考えられるので、削除すべき。  1

 
 
 3.排出量等の情報の把握等
  1)有害大気汚染物質の大気への排出量等の把握について

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  事業者が排出量を把握するのは当然であるが、加えて直ちに国及び自治体に通報させるものとすべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 ベンゼン等の有害大気汚染物質の大気環境中の濃度については、国及び地方公共団体におけるモニタリング調査等においても年平均値で評価することから、排出量の実績を含めた自主管理計画の実施状況の報告についても年間で把握し報告を行うことが適当と考えます。
 2  国は環境基準未達成地域で、事業所ごとの排出量を常時住民に公表すること。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 地域自主管理計画策定対象の地域においては、業種横断的に関係事業者等が一体となって対策を講じていくことが効果的であることから、当該地域ごとに自主管理計画を策定することとしております。
 従って、排出実績の報告・評価についても、自主管理計画の策定単位で行うことが適切と考えます。なお、計画の実施状況は、地方公共団体及び国の関係審議会において評価を行い、その結果を公表することとしています。

 
  
  2)事業所周辺濃度の把握について

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  事業者が濃度を把握する際には、事業者が排出量の多さ等により、費用の一部を負担し、地方公共団体等が地域性を踏まえて、体系的に調査を実施する方法により効果を把握すべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 事業者は、自主管理計画に基づき実施した措置の効果を的確に把握するため、国及び地方公共団体が事業所周辺で大気環境濃度測定を実施している場合には、その結果を活用するとともに、必要に応じて、措置の実施前後の敷地境界濃度の測定その他の方法により、事業所内外での大気環境濃度の把握に努めることが必要と考えられます。
 事業者に敷地境界濃度の測定までを一律に求めることには反対。  1
 2  事業者が濃度を把握するのは当然であるが、加えて直ちに国及び自治体に通報させるものとすべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 事業者が把握に努めた事業所周辺濃度は、自主管理計画に基づき実施した措置の効果を事業者自らが的確に評価する際に必要になるものと考えており、当該結果を国及び自治体に報告する旨定めることは必ずしも必要ではないと考えます。
 なお、国の審議会等において、国等が行う大気環境モニタリング結果と併せて評価することが有効な場合には、その把握に努め、国の関係審議会のチェックアンドレビュー等に反映させていくことも重要と考えます。
 3  特殊な気象条件などで排出削減が達成された場合でも環境基準を上回る濃度になった際の緊急対策(操業の一時停止など)を含むこと。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 ベンゼン等の有害大気汚染物質は、長期的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質であり、大気環境中の濃度については年平均値で評価することから、一つの測定値での環境基準超過により緊急時の措置を事業者に課すことは適切ではないと考えます。
 なお、ベンゼンを発生する施設について故障、破損その他の事故が発生し、ベンゼンが大気中に多量に排出されたときの事業者の講ずる措置については、既に関係法令で規定されています。
 国は環境基準未達成地域で、自治体との協議の上、緊急時の対策を事前に明らかにすること。  1
 濃度が環境基準を超えた場合には直ちに周辺住民にも通報し、操業の可否などについて自治体の指示を持つ協定を自治体と締結することとすべき。  1

 
 

  3)情報の提供について

No 意見の概要 件数 意見に対する考え方・対応
 1  「情報の提供」の全文削除を要望する。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 事業者による有害大気汚染物質の適正な管理を図っていくためには、事業者の取組に対する周辺住民等の理解の増進が極めて重要と考えられることから、そのための措置の一つとして、自主管理計画による取組の状況等についての情報提供に努めるよう示すことが適切と考えます。
 2  住民等の理解の増進を図る等のための報告書の作成及び配布、説明会の実施等は、真に実効あるものとするため事業者の責任を明確にしておくべき。  1  原案どおりとすることが適当と考えます。
<理由>
 事業者が報告書の作成及び配布、説明会の実施等による情報提供等に努めるべきことは、既に指針に明記されています。

  

 今回求めた指針の内容には直接関係しないものの、その他の意見等として以下のものを頂戴しております。これらご意見等については、必要に応じ今後の施策の推進に当たって参考にさせて頂きたいと考えます。
 
No 意見の概要 件数
 1  環境基準を超えた状態が続くことは許されず、ましてベンゼンのような猛毒物質について1.5倍の高濃度が続くことは環境行政の怠慢ともいわれるべきものであり、排出差し止めを含む厳しい措置を用意し、また速やかに排出規制の抜本的強化がなされるべき。当該指針だけで解決しようとするのではなく
・排出基準の抜本的強化
・環境基準を超えた場合の(操業停止などを含む)緊急 対策の制度化
・常時監視、公表の制度化
を実施すべき。また、当該指針は制度改正までの過渡的なものとすべきである。
 1
 2  自主管理計画により環境基準が速やかに達成されるためには、計画が「自主」ではなく国との契約にならなければならない。また、契約を結ぶに値する判断基準について国が予め示すことが必要である。  1
 3  特にどこが、ということはないのですが、「努めること」が事業者にとって損にならない、もしくは得になるような環境を提供することも必要だと思います。  1
 4  改正案のタイトルにある「抑制」は、「削減」よりかなり甘く、環境基準も守れず私たち公害被害者や住民の健康が日々侵害されている現状に鑑み甚だ不適切である。「排出ゼロにむけた対策」などの表現が妥当である。  1
 5  国は環境基準未達成地域で、事業所の工程ごとに、トップランナーの排出抑制技術を用いた場合と比べて当該事業所の技術がどのレベルにあるのか、排出予測はどうなる見込みか、について調査・予測し、公表すること。  1
 6  国は指針別表4の地域の汚染物質排出量についてはPRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)を前倒しして適用すると共に、当該法の適用除外となっている業種、中小企業についても適用し、自治体に通知すると共に結果を公表すべき。  2
 7  自主的取組の効果を評価するに際し、自主管理実施地域間である程度の統一性を図るため、自動車等の民生と企業発生源からの大気環境濃度に対するそれぞれの寄与度についても、設備対策技術と同様に、国・地方行政あるいは業界から提供される情報を加味し、適正に評価するよう要望する。  1
 8  国は環境基準未達成地域等において、環境中の濃度を常時監視し、住民に公表すること。  2