別添2 |
事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針 |
(平成8年9月制定) (平成9年9月改正) (平成13年6月改正) |
本指針は、有害大気汚染物質が継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあることにかんがみ、有害大気汚染物質の製造、使用等を行う事業者(以下、事業者という。)がその事業活動に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出(飛散を含む。以下同じ。)を抑制することを目的とするものである。 事業者は、本指針に定めるもののほか、「指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針(平成12年3月30日 環境庁、通商産業省告示第一号)」に従い、有害大気汚染物質の大気への排出を抑制するとともに、その排出状況の把握に努めなければならない。 なお、本指針における有害大気汚染物質とは、別表1に記載した化学物質をいうものとする。 |
1. | 自主管理計画の策定等 | |
1) | 自主管理計画の策定 | |
事業者は、有害大気汚染物質について、これまでに措置した対策の内容、大気への排出量の削減実績及び地域の大気環境濃度の他、事業者が属している業界団体の「自主管理計画」等を踏まえ、平成11年度の年間大気排出量を基準とし、平成15年度の年間大気排出量を指標とする管理目標値を設定するとともに、これを達成するための具体的方策を定めた事業者毎の「自主管理計画」を策定すること。 また、別表2に定める有害大気汚染物質について、別表3に定める業界団体に属する事業者のうち、別表4に定める地域に事業所を有し、かつ当該化学物質を排出する事業者は、単独に又は当該地域の他の事業所と共同して、当該地域に係る自主管理計画(以下、「地域自主管理計画」という。)を策定すること。「地域自主管理計画」を策定する場合には、当該地域に係る大気環境濃度に配慮しつつ、各々の事業所からの年間大気排出量の総和を指標とする管理目標値を策定する等により、関係する事業所が密接な連携を図り対策を実施するよう努めること。 |
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2) | 自主管理計画の実施のための体制整備 | |
事業者は、必要な資源の適正な分配、計画実施の内容を具体的に定めた作業要領の策定、有害大気汚染物質を排出する工程に従事する者等に対する教育、訓練の実施その他「自主管理計画」に盛り込まれた措置が確実に実施される体制を整備すること。 |
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3) | 実施状況の評価 | |
事業者は、その属している業界団体において策定されている「自主管理計画」及び「地域自主管理計画」における進捗状況等を踏まえ、毎年度、管理目標値に対する達成状況を評価すること。 |
2. | 排出抑制対策の実施 |
事業者は、管理目標値の達成を図るため、製造工程の見直し、施設・設備等の改善、回収・処理設備の設置、代替物質の使用、工程・作業管理の適正化その他の適切な排出抑制対策を実施すること。その際、事業者は、別表5に示された排出抑制技術のほか、その属する業界団体、国等から提供される排出抑制技術に関する情報等に留意しつつ、有害大気汚染物質の取扱い実態に即して、技術的かつ経済的に最も適切な排出抑制技術の導入に努めること。 なお、特に代替物質を使用する場合においては、事業者は、当該代替物質の物理化学的性状、有害性及び排出の状況、並びに経済性等を総合的に評価することにより、その適切な使用に努めること。 また、事業者は、大気への排出抑制対策の実施にあたり、有害大気汚染物質の水及び土壌への流出を防止する等の措置を講ずることにより、大気以外への有害大気汚染物質の排出の抑制に努めること。 |
3. | 排出量等の情報の把握等 | |
1) | 有害大気汚染物質の大気への排出量等の把握 | |
事業者は、有害大気汚染物質の取扱量等(製造量、使用量、貯蔵・保管量等)を把握するとともに、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則」に規定する排出量の算出方法を用いることにより、有害大気汚染物質の大気への排出量を把握すること。 |
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2) | 事業所周辺濃度の把握 | |
事業者は、自主管理計画に基づき実施した措置の効果を的確に把握するため、地方公共団体が事業所周辺で大気環境濃度測定を実施している場合には、その結果を活用するとともに、大気汚染防止法の常時監視に係る法定受託事務の処理基準(平成13年5月21日制定)に定めた測定方法を参考としつつ、措置の実施前後の敷地境界濃度等の測定その他の方法により、事業所内外での大気環境濃度の把握に努めること。 |
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3) | 情報の提供 | |
事業者は、地域の住民等の理解の増進を図る等のため、自主管理計画による取組の状況等について、報告書の作成及び配布、説明会の実施等による情報提供等に努めること。 |
別表1 |
アクリロニトリル |
アセトアルデヒド |
塩化ビニルモノマー |
クロロホルム(トリクロロメタン) |
1,2-ジクロロエタン |
ジクロロメタン(塩化メチレン) |
テトラクロロエチレン |
トリクロロエチレン |
1,3-ブタジエン |
ベンゼン |
ホルムアルデヒド |
二硫化三ニッケル及び硫酸ニッケル |
別表2 |
ベンゼン |
別表3 |
社団法人日本化学工業協会 |
社団法人日本鉄鋼連盟 |
石油連盟 |
別表4 |
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室蘭地区(室蘭市民会館測定局) | ||
・ | 北海道室蘭市陣屋町一丁目、幌萠町、本輪西町一丁目、港北町一丁目、仲町、御崎町一丁目、茶津町及び入江町の区域 | |
鹿島臨海地区(神栖測定局) | ||
・ | 茨城県鹿嶋市北浜山、字南浜山及び字海岸砂地、大字泉川字北浜山、字南浜山、字浜屋敷及び字沢東、大字新浜、大字光字光の区域 | |
・ | 茨城県鹿島郡神栖町大字光、大字居切字海岸砂地、大字深芝字海辺、字藤豊及び字原芝、大字北浜、大字奥野谷字浜野及び字東和田、大字東和田、大字東深芝の区域 | |
京葉臨海中部地区(市原市岩崎西、川岸測定局) | ||
・ | 千葉県千葉市の区域のうち次の区域 | |
美浜区新港の区域 | ||
中央区川崎町の区域 | ||
中央区新浜町及び村田町の区域のうち京葉臨海鉄道用地及びこれと海岸線との間の区域、同区蘇我町二丁目の区域 | ||
・ | 千葉県市原市の区域のうち次の区域 | |
一般国道16号線と海岸線との間の区域 | ||
五井南海岸及び千種海岸の区域 | ||
・ | 千葉県袖ヶ浦市の区域のうち次の区域 | |
北袖の区域のうち一般国道16号線と海岸線との間の区域 | ||
長浦字拓1号及び字拓2号並びに中袖の区域 | ||
水島臨海地区(松江測定局) | ||
・ | 岡山県倉敷市の区域のうち次の区域 | |
呼松町稲浦、児島宇野津字長島新田、児島塩生字天神新田、字柚山、字西浦、字新浜、児島通生の区域 | ||
潮通1丁目、潮通2丁目、松江4丁目、潮通3丁目、南畝4丁目の区域 | ||
水島海岸通1丁目から水島海岸通5丁目まで、水島中通1丁目から水島中通4丁目まで、水島西通2丁目、水島西通一丁目、水島川崎通1丁目の区域 | ||
玉島乙島字高後沖、字新湊の区域 |
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大牟田地区(明治測定局) | ||
・ | 福岡県大牟田市の区域のうち、準工業地域、工業地域及び工業専用地域の区域 |
別表5 有害大気汚染物質の主たる排出抑制技術 |
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1. | 施設・設備の密閉化等による工程改善対策例 |
・ | 浮屋根式構造を有する貯蔵設備 |
・ | 炉蓋等の空冷設備 |
・ | 低溶剤消費型洗浄・脱脂設備(密閉式、冷却ガス吸引式、真空超音波方式、多段式等) |
・ | 遠心分離・ブラスト設備 |
・ | 脱塩素化漂白設備 |
2. | 排ガス処理・回収装置の設置例 |
・ | 還流装置(ベーパーリターンライン) |
・ | 排ガス回収処理設備(活性炭等による吸着式、冷却凝集式等) |
・ | 再生処理設備(ろ過式、蒸留式等) |
・ | フレアースタック設備 |
・ | 排ガス燃焼処理設備(直接燃焼式、触媒燃焼式等) |
3. | 代替物質の使用例 |
・ | 純水洗浄 |
・ | 水/アルカリ系溶剤による洗浄 |
・ | 炭化水素系溶剤による洗浄 |
・ | アルコール系溶剤による洗浄 |
・ | 上記の混合溶剤による洗浄 |
4. | 設備/工程管理の適正化その他の措置例 |
・ | パイプ接続部等のシール等による密閉化 |
・ | 反応/燃焼条件の改善(還流比/圧力等の適正化、脱水強化等) |
・ | フリーボード比の適正化 |
・ | 乾燥/洗浄温度の適正管理 |
・ | 溶剤/原材料等の使用量の適正管理(塗膜厚の管理、切削屑の発生抑制等) |