【 参 考 2 】
   
環境影響調査書に対する環境庁長官意見 平成12年2月
 
1.  計画地及びその周辺においては、学術的に貴重とされているカクメイ科の貝類等の野生動植物が確認されており、事業の実施に当たっては、以下に掲げる措置を講じ、自然環境の保全に配慮する必要がある。
(1)  カクメイ科等の貝類やスナメリについては、既存の調査事例が少ないことにかんがみ、追加調査及び事後調査の実施に当たっては、専門家の指導・助言を得ながら慎重に進めること。
 また、自然環境への影響が確認された場合においては、専門家の意見を聴取するとともに、関係機関と調整し、適切な対策を講じること。
[1]  計画地及びその周辺において学術的に貴重とされているカクメイ科等に属する貝類が確認されていることから、埋立予定地及びその近傍のタイドプールについては、引き続き調査を実施した上で予測及び評価を行い、専門家の意見を踏まえ必要に応じて適切な対策を講じること。また、追加調査の内容、その結果、評価及び対策を講じる場合にはその内容並びに事後調査を行うに当たってはその計画を評価書に記載すること。
[2]  計画地の周辺海域において遊泳が確認されているスナメリについては、引き続き繁殖期を含め生息状況の調査を行い、専門家の意見を踏まえ必要に応じて適切な措置を講じること。また、追加調査の内容、その結果、評価及び対策を講じる場合にはその内容並びに事後調査を行うに当たってはその計画を評価書に記載すること。
[3]  計画地周辺においてハヤブサの生息が確認されていることから、ハヤブサの生息状況等の調査を継続するとともに、専門家の意見を聞き、ハヤブサの生息環境の保全に配慮すること。また、追加調査の内容、その結果、評価及び対策を講じる場合にはその内容並びに事後調査を行うに当たってはその計画を生息環境に支障を及ぼすおそれのない範囲で評価書に記載すること。
(2)  工事中において、新たに希少な動植物が確認された場合は、専門家の意見を聴取し、現地調査を実施した上で、これらの種の生息、生育環境に対する影響が最小限となるよう、適切な保全対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
 
2.  計画地の周辺海域は、閉鎖性が高く一部で水質環境基準を超過している瀬戸内海であることから、発電所の取放水による水質及び海生生物への影響について、慎重な検討が必要である。このため、周辺海域の水温、水質及び海生生物の監視において、発電設備の運転状況を考慮しつつ、取放水量、水温の変化と水質及び海生生物の状況との関係について検討することにより、影響予測の妥当性を確認し、必要に応じて適切な対策を講じること。
 また、その旨、評価書に記載すること。
 
3.  海域での工事により付加される濁りが10mg/l以上となる場合には、汚濁防止膜の設置等所要の対策を講じること。また、その旨、評価書に記載すること。
 
4.  工事に伴い発生する残土について、具体的な処分方法を検討するとともに、その結果を評価書に記載すること。
 
5.  本計画については、事業の着工時期が未定であることから、着工に至るまでの期間において、事業実施区域及びその周囲の環境の状況について関係地方公共団体が有する資料等により把握し、環境の状況が変化している等の場合においては、所要の検討を行い、必要に応じて適切な対策を講じること。
 また、その旨、評価書に記載すること。