(別添)


「鳥島のアホウドリ新繁殖地で生まれた雛、初めて帰還」


 

(財)山階鳥類研究所


 (財)山階鳥類研究所は環境省の「平成12年度希少野生動植物保護増殖事業(アホウドリ)」東京都委託による現地調査を伊豆諸島鳥島において2月19日から26日までの8日間行ない、アホウドリの繁殖状況を調査した。
 その結果、燕崎地区ではこれまで最高の157羽の雛を確認した。
 初寝崎地区では新繁殖地に飛来するアホウドリの終日調査をおこなった結果、昨年11月3日に産卵を観察した巣では、孵化後1ヶ月半の大きさの雛1羽を確認した。
 また、2月22日午後4時33分頃、新繁殖地の雛の近くに着陸した3歳くらいの若いアホウドリが観察され、この個体の左足に白色のカラーリングと番号「101」が確認された。この番号は1998年5月18日に初寝崎で生まれた雛につけられたもので、その後同年6月2日午前9時頃に巣立ちが観察されていた。これは鳥島のアホウドリ新繁殖地で生まれた雛の初めての帰還の記録である。
 その後「白101」は3歳くらいの足環のない若いアホウドリとディスプレイダンスを行なったのが観察され、日没まで留まり、夜間をすごしたと考えられた。23日、25日、26日も複数回新繁殖地で観察され、デコイに近寄ったり、ディスプレイダンスも観察された。
 「白101」のこれらの観察から、アホウドリが生まれ育った巣の近くに再び帰ってくることが改めて確認されたことになった。この個体は性別不明、年齢もまだ3歳であるが、今回の観察で生まれ育った初寝崎にかなり執着していると判断された。また、同年齢の若いアホウドリとのディスプレイダンスが観察されたことから、今後初寝崎に定着する可能性も出てきた。
 ちなみに、これまで新繁殖地の初寝崎から巣立った雛は1996、1998、1999、2000年に各1羽の合計4羽である。

(山階鳥類研究所 平成13年4月3日)