(別紙4)知的研究基盤の整備の方向と目標(案)

知的研究基盤整備の方向と目標
1.環境標準試料及び分析用標準物質の作製、並びに環境試料の長期保存(スペシメンバンキング)  化学物質モニタリングの精度管理に資するために、要望の多い環境標準試料の再調整も含め、5年間で5試料の環境標準試料を調整することを目標とする。また、社会的な要請に応じて可能な範囲で分析用標準物質を作製、提供する。
 環境試料の長期保存については、所内外の長期環境モニタリング事業と連携を図りながら、これまでの試料及びデータの収集、保存を継続するとともに、より長期的、広域的な視野に立った環境試料の長期保存のあり方を検討する。
2.環境測定等に関する標準機関(リファランス・ラボラトリー)としての機能の確保  以下の業務を行うことにより、標準機関(リファランス・ラボラトリー)としての機能を果たす。
[1]分析精度管理手法の改善の検討や、必要に応じて分析法のクロスチェックなどを行う。
[2]微細藻類や実験生物の分類学的同定手法の改善の検討や、タイプ株、リファランス株や特殊な機能を持った株(系統)等の維持・管理・提供を行う。
3.環境保全に有用な環境微生物の探索、収集及び保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培のための基本業務体制の整備、並びに絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存  環境微生物について、現在1000株が保存されているが、5年後に1500株を保存することを目標とする。さらに、300株の環境微生物について分類と遺伝子及び有用機能の解析を実施し、得られた情報のデータベース化を行うとともに、それらの凍結保存技術を開発する。
 微生物以外の試験用生物については、それらの遺伝子解析、有用遺伝子のストック、スクリーニング、純化等基礎研究を実施して、高品質の生物資材を選抜するとともに、それらの効率的な提供体制を構築し、生物資源に係わる国内外のネットワークに位置づける。
 また、5年間で200種類の絶滅の危機に瀕する野生生物の体細胞、生殖細胞及び遺伝子並びに50種類の絶滅の危機に瀕する水生植物を保存することを目標とする。
なお、これらの知的業務と並行して、生物資源に係わる情報・分類・保存に関する省際的・国際的協力活動を展開し、国内外の生物資源情報ネットワーク体制を構築する。
4.地球環境の戦略的モニタリングの実施、地球環境データベースの整備、地球環境研究の総合化及び支援  地球環境に関する最新の研究動向や社会情勢を踏まえて、国際的な連携の下で先端的な地球環境モニタリング事業を実施するとともに、観測データや地球環境研究の成果を国際ネットワークなどから提供されるデータと統合し、様々なレベルに加工・解析し、地球環境に係わる基盤データとして整備、広く提供・発信する。
 また、多様なモニタリングプラットフォームやスーパーコンピュータにより地球環境研究を支援するとともに、地球環境研究者の相互理解、研究成果の交流、地球環境問題の国民的理解を求めるための研究成果の普及などを行い、関連する観測研究との連携・協力を得て、モニタリング技術やデータベースの高度化、国際ネットワークの中核拠点としての機能を強化する。