(別添)

廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(案)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第五条の二第一項の規定に基づき、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を次のように定めたので、同条第四項の規定に基づき、公表する。

 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
 
 近年、我が国における社会経済活動が拡大し、国民生活が物質的に豊かになる一方で、廃棄物の排出量の高水準での推移、最終処分場の残余容量のひっ迫、廃棄物の焼却施設からのダイオキシン類の発生、不法投棄の増大等、廃棄物をめぐる様々な問題が指摘されてきた。これらの問題に対応するため、近年、数次にわたる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)の改正及びリサイクルの推進に係る諸法の制定等の対応が図られている。
 今後は、循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号。以下「基本法」という。)の趣旨を踏まえ、これらの法制度の適切な実施とあいまって、大量生産、大量消費、大量廃棄型の従来の社会の在り方や国民のライフスタイルを見直し、物質循環を確保することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される、いわゆる循環型社会の実現を図ることが必要である。
 このため、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策においては、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、廃棄物となったものについては不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用(再使用、再生利用及び熱回収をいう。以下「適正な循環的利用」という。)を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、適正な処分を確保することを基本とする。    
 まず、廃棄物の排出抑制、再生利用等による減量化を促進するためには、国民、事業者、国及び地方公共団体がそれぞれの適切な役割分担を踏まえた取組を積極的に行うことが必要である。
 また、循環型社会を構築する基盤として、廃棄物の適正な処理体制の確保は必要不可欠である。特に産業廃棄物については、適正に処理するために必要な施設の整備が進まず、悪質な不法投棄等の不適正処理が増大し、これにより産業廃棄物処理に対する地域住民の不信感が増大し、処理施設の設置や運営をめぐる反対もあることから、さらに施設整備が困難となって焼却施設や最終処分場等の産業廃棄物処理施設の設置許可件数が急激に減少しており、このままではその適正な処理に著しい支障をきたし、生活環境の保全はもとより、経済活動にも重大な影響をもたらすおそれがあることから、適正な処理体制の確保が急がれている。
 このため、事業者の責任において適正に処理しなければならないという原則の下で、産業廃棄物の排出量、処理量等の見通しを踏まえ、排出抑制及び適正な循環的利用を促進しつつ、全国的に均衡のとれた産業廃棄物の処理体制を確保する観点から、必要と認められる場合は、公共の関与による安全で安心できる処理施設の整備を促進することも検討する。
 このほか、国民の環境に関する意識の高揚等に対応して、廃棄物の処理体制の確保に当たっては、施設の安全性等に関する情報公開を一層進め、地域住民の理解を深めていくことが必要である。
 
 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
 
 1 廃棄物の排出量、再生利用量、中間処理量、最終処分量その他その処理の現状
 現状(平成9年度)における我が国の廃棄物の排出量、再生利用量、中間処理による減量及び最終処分量(埋立処分及び海洋投入処分の量をいう。以下同じ。)は次のとおりである。
 

(百万トン/年)

[1]一般廃棄物  排出量   53
 再生利用量    5.9
 中間処理による減量   35
 最終処分量   12
[2]産業廃棄物  排出量  410
 再生利用量  168
 中間処理による減量  175
 最終処分量   66
(注)小数点以下の数字を四捨五入しているため、合計が合わない場合がある。
 
 2 廃棄物の減量化の目標量
   廃棄物の減量化の目標量については、「ダイオキシン対策推進基本指針」(平成11年3月ダイオキシン対策関係閣僚会議決定)に基づき、平成11年9月に設定した「廃棄物の減量化の目標量」の考え方を踏まえ、当面、平成22年度を目標年度として進めていくこととする。
 なお、この目標量については、中間目標年度を平成17年度とし、その達成状況や社会経済情勢の変化等を踏まえて必要な見直しを実施するものとする。
  [1] 一般廃棄物の減量化の目標量
     一般廃棄物については、現状(平成9年度)に対し、平成22年度において、排出量を約5%削減し、再生利用量を約11%から約24%に増加させるとともに、最終処分量をおおむね半分に削減する。
  [2] 産業廃棄物の減量化の目標量
     産業廃棄物については、現状(平成9年度)に対し、平成22年度において、排出量の増加を約12%に抑制し、再生利用量を約41%から約47%に増加させるとともに、最終処分量をおおむね半分に削減する。
 
 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
 
  1 施策の基本的枠組み
   廃棄物の排出を抑制し、適正な循環的利用を促進するためには、国民、事業者、国及び地方公共団体が適切な役割分担の下でそれぞれが積極的な取組を図ることが重要である。
 このため、基本法、廃棄物処理法、資源の有効な利用の促進に関する法律(平成三年法律第四十八号)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)等の法制度に基づく施策について、国民、事業者、国及び地方公共団体の適切な役割分担により、円滑な実施を図るものとする。
 
 2 国民、事業者、地方公共団体及び国の役割
(1)  国民の役割
     国民は、商品の購入にあたっては、容器包装廃棄物の排出の少ない商品、繰り返し使用できる商品、耐久性に優れた商品及び再生品の選択に努めるとともに、商品の使用に当たっては、故障時の修理の励行等によりなるべく長期間使用することに努め、自ら排出する一般廃棄物の排出抑制に取り組むものとする。また、国民は、一般廃棄物の排出に当たっては、市町村が設定する分別区分に応じて分別排出を行うことにより、市町村による適正な循環的利用に対する取組に協力するとともに、廃家電製品を小売業者等に引き渡し、その求めに応じた料金の支払い、建築物等の解体工事に要する費用の支払い等により、事業者が法律に基づいて行う措置に協力するものとする。
(2)  事業者の役割
     事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないことから、原材料の選択や製造工程を工夫する等により、自ら排出する廃棄物の排出抑制に努めるとともに、自ら排出する廃棄物の再生利用を他の事業者と連携して行う等により、その廃棄物の適正な循環的利用に努めるものとし、その上で、処分しなければならない廃棄物について、適正な処理を確保しなければならないものとする。
 また、事業者は、物の製造、加工、販売等に際して、その製品や容器等が廃棄物となった場合に排出抑制、適正な循環的利用及び処分が円滑に実施できるよう、容器包装の簡素化、繰り返し使用できる商品及び耐久性に優れた商品の製造又は販売、修繕体制の整備、建物の長寿命化、適正な処理が困難とならない商品の製造又は販売、必要な情報の提供等に努めなければならないものとする。
 さらに、自らが製造等を行った製品や容器等が廃棄物となったものについても、極力これを自主的に回収し、再生利用等を推進するよう努めるものとする。
(3)  地方公共団体の役割
     市町村は、その区域内における一般廃棄物の排出抑制に関し、住民の自主的な取組を促進するとともに、分別収集の推進及び一般廃棄物の再生利用により、一般廃棄物の適正な循環的利用に努めるものとし、その上で、処分しなければならない一般廃棄物について、適正な中間処理及び最終処分を確保するものとする。また、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たっては、他の市町村との連携等による広域的な取組を検討するとともに、社会経済的に効率的な事業となるよう努めるものとし、必要に応じて手数料の徴収やPFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二条第二項に定める特定事業をいう。)の活用を行うものとする。
 都道府県は、その区域内における産業廃棄物の排出抑制及び適正な循環的利用を促進するとともに、適正な処分が確保されるよう事業者に対して必要な指導監督を実施するものとする。また、産業廃棄物の適正な処理を確保するために必要と認められるときは、事業者の責任において適正に処理しなければならないという原則の下で、廃棄物処理センター制度を活用する等により、産業廃棄物処理施設を整備することも検討する。
(4)  国の役割
     国は、国民及び事業者の自主的な取組を促進するため、先進的な事例に関する情報提供等により普及啓発に努めるとともに、事業者による廃棄物の円滑な再生利用を図る観点から、生活環境の保全上支障のない再生利用であって不適正処理のおそれがない確実な再生利用が確保されることを前提として、廃棄物処理法に基づく許可を不要とする措置の対象品目や要件を明確化する等、廃棄物の適正かつ円滑な処理が行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
 また、市町村及び都道府県が行う、その区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、技術的及び財政的な支援に努めるとともに、全国的に均衡のとれた産業廃棄物の処理体制を確保する観点から、都道府県相互間の調整を図ること及び情報交換の促進等に努め、産業廃棄物の適正な処理体制の確保に向けての国の役割も引き続き検討する。
 また、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理体制の整備を図るため、地方公共団体と連携しつつ、環境事業団を活用して広域的な処理施設の整備を進めていくものとする。
 
 3 廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制の確保
(1)  一般廃棄物の処理体制の確保
     一般廃棄物については、市町村が、その定める一般廃棄物処理計画に従って、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、運搬し、及び処分しなければならない。
  一般廃棄物処理計画の策定に当たっては、市町村は、循環型社会の実現のために必要な施策を踏まえたものとし、中長期的な一般廃棄物の発生量及び質の変化と整合のとれたものとすることが必要であり、一般廃棄物の発生量及び質に即して適切な処理を行うことができる体制を整備することが必要である。
 また、収集に関しては、処分及び再生利用の方法に配慮し、一般廃棄物の種類に応じて分別収集する等、適切な収集を行うことが可能な体制を確保するものとする。
 運搬に関しては、当該市町村の地勢及び人口分布に応じて効率的な運搬が行えるよう、運搬車の配車体制を整備するものとし、必要に応じて、中継基地の配置による大型運搬車への積替え等を行うものとする。
 処分に関しては、一般廃棄物の発生量及び質に応じて、再生利用、中間処理及び埋立処分等のうち、焼却処理量、最終処分量及びダイオキシン類の発生量が抑制されるように配慮しつつ、最適の方法を選択するものとする。
 一方、他の市町村との連携等による広域的な取組を行うに当たっては、必要に応じ、都道府県域を超えた広域化についても考慮することが適当である。
 また、一般廃棄物の処理に当たっては、排出者である住民及び事業者等の協力が不可欠であるので、排出者の理解が得られるよう、処理体制の十分な周知を図るものとする。
 一般廃棄物のうち特にし尿については、合併処理浄化槽及び下水道等の整備状況を勘案しつつ、その衛生的な処理を確保するため、処理体制の維持等を図ることが必要である。
 なお、当該市町村の区域内で処理できず、他の市町村の一般廃棄物処理施設において処理を行う場合等にあっては、当該他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めるとともに、都道府県においても、一般廃棄物の適正な処理に配慮して都道府県廃棄物処理計画を定めるよう努めることが必要である。
(2) 産業廃棄物の処理体制の確保
     産業廃棄物については、処理責任を有する事業者において、排出抑制及び適正な循環的利用を最大限に行った上で、必要となる産業廃棄物の焼却その他の中間処理及び埋立処分が適正に行われるようにしなければならない。
 特に、多量に産業廃棄物を生ずる事業者は、処理計画を策定し、産業廃棄物の排出抑制及び排出された産業廃棄物の適正な循環的利用に計画的に取り組まなければならない。
 また、事業者は、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、その産業廃棄物の発生から最終処分(再生を含む。)が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。すなわち、  適正な委託契約の締結及び産業廃棄物管理票の使用により、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われることを確保しなければならない。
 一方、都道府県は、産業廃棄物の適正な処理が確保されるよう、事業者、産業廃棄物処理業者及び産業廃棄物処理施設に対する指導監督に努めるものとする。
 また、適正な処理を確保するためには、安全で安心できる産業廃棄物の処理施設の確保が極めて重要であることから、産業廃棄物処理施設の確保については事業者がその責任により施設の確保を図ることが原則であるが、最終処分場  等の施設については、必要な産業廃棄物処理施設を新たに確保することが極めて困難な状況となっていることにかんがみ、都道府県は、その区域内の産業廃棄物の適正な処理を確保するために必要と認められる場合は、最終処分場及び焼却施設を中心として、公共関与による産業廃棄物の処理施設の整備を図ることも検討する。
 なお、焼却施設については、こうした公共関与による施設が整備されるまでの間、中小事業者が排出する産業廃棄物の適正な処理に支障が生ずるおそれが高く、市町村が必要と認める場合にあっては、市町村の全連続炉において一般廃棄物とあわせて焼却処理することができる産業廃棄物について、事業者の責任において適正に処理しなければならないという原則の下で、市町村が必要な費用を徴収しながら処理することも検討する。
 また、産業廃棄物の発生量が大きく、都道府県の区域を越えて一体的に経済活動が行われている大都市圏においては、広域的に、圏域内での処理施設の整備を図ることも検討する。
(3) 廃棄物の不適正処理の防止
       廃棄物の処理は、その性状に応じた適切な方法により行わなければならない。
   特に、有害な性状により  特別管理廃棄物とされた廃棄物については、人の健康や生活環境に支障を生じさせることがないよう、その性状に応じた適正な処理を確実に行わなければならず、  事業者は、排出した特別管理廃棄物の処理を他人に委託する場合においては、他の廃棄物との分別を徹底するとともに、委託基準を厳格に遵守しなければならない。
   廃棄物の処理基準に適合しない処理に対しては、一般廃棄物については市町村、産業廃棄物については都道府県において、生活環境保全上支障が生じることを未然に防止するため、行政命令を適正かつ迅速に行うとともに、行政命令違反、不法投棄、焼却禁止違反等の行為については、都道府県警察との連携を強化し、厳正に対処しなければならない。特に、事業者の責めに帰すべき事由があると認められる産業廃棄物の不適正処理に対しては、事業者に対する措置命令を厳格に行う必要がある。さらに、都道府県は、産業廃棄物の不適正処理の早期発見による生活環境保全上の支障の拡大を防止するため、不適正処理に対する監視活動の充実に努めるとともに、関係機関や住民と連携した監視体制の構築を推進するものとする。
   また、国は、地方公共団体における監視活動に対する支援、産業廃棄物管理票に係る電子情報化の普及啓発、情報通信技術等を活用した不法投棄等の監視に関する新たな技術の開発促進等に取り組むものとする。
 
 4 処理業者に関する情報公開及び優良な処理業者の育成
    事業者が信頼し得る処理業者を選定することを通じて、市場競争の中で適正な処理を確実に実施する能力を有する優良な産業廃棄物処理業者の育成が自律的に図られることが基本である。
  このため、国は、適正処理推進センターを活用して、事業者による処理業者の選定に資する情報を、インターネット等を通じて提供する体制の整備及び充実に努める等、産業廃棄物処理業者に関する情報公開の一層の推進を図るものとする。
 
 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的事項
 
 1 今後の要最終処分量と全国的な施設整備の目標
(1) 一般廃棄物処理施設
  [1] 中間処理施設
     廃棄物の減量化の目標量を達成するため、焼却、脱水等に係る中間処理施設の計画的な更新、改良等により必要な施設を確保するとともに、再生に係る施設について効率的な立地等にも配慮しつつ必要な施設の整備を推進する。
  [2] 最終処分場
     平成10年4月1日現在の一般廃棄物の最終処分場の残余容量は1億6,431万立方メートルで、残余年数は11.2年である。しかしながら、地域によっては一般廃棄物の最終処分場の残余容量がひっ迫している場合があることにかんがみ、地域ごとに必要となる最終処分場を今後とも継続的に確保するよう整備するものとする。
 なお、本基本方針による減量化を推進することにより、最終処分場の延命化に努める必要がある。
(2) 産業廃棄物処理施設
  [1] 中間処理施設
     産業廃棄物の中間処理施設については、本基本方針による廃棄物の減量化の目標年度である平成22年度において必要な処理能力を確保できるよう、その整備を推進する。
 このうち、再生に係る施設については、効率的な立地等にも配慮しつつ必要な施設の整備を推進する。
 また、焼却施設については、地域ごとの発生量のばらつきを考慮しつつ、必要な焼却量を適正に焼却できる処理能力を確保できるよう整備することを目標とする。
 さらに、民間事業者による適正に焼却処理できる施設の更新及び新設による整備を推進しつつ、これらの整備状況を踏まえ、必要と認められる処理能力について公共関与による施設整備で確保することも検討する。
  [2] 最終処分場
     産業廃棄物の最終処分場については、本基本方針による廃棄物の減量化の目標年度である平成22年度において、要最終処分量の5年分程度を確保できるように整備することを目標とする。
 平成22年度までに新たに整備が必要な産業廃棄物の最終処分場の総容量は約5億立方メートルと推定される。現状では、民間事業者により整備された最終処分場の施設容量が2/3程度、公共関与により整備された最終処分場の施設容量が1/3程度となっており、民間事業者による施設の整備を基本として推進しつつ、これらの整備状況を踏まえ、必要と認められる容量を公共関与による施設整備で確保することも検討する。
 
 2 一般廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な一般廃棄物処理施設の整備
   一般廃棄物の減量その他その適正な処理を確保するため、市町村の定める一般廃棄物処理計画に従って、必要な処理施設の整備を推進する。
 具体的には、一般廃棄物の適正な処理体制が確保されるよう、中間処理施設及び最終処分場等の整備に取り組むものとし、特に中間処理については、焼却処理(溶融処理を含む。)、ごみ燃料化処理、高速堆肥化処理、ごみ飼料化処理、メタン発酵処理等があり、地域における最適な処理方法を、これらを組み合わせることも含めて選択することが必要である。
 また、他の市町村との連携等による広域的な処理は、再生利用が可能な一般廃棄物を広域的に集めることにより再生利用がより容易になる場合があること、焼却処理を選択している場合にはごみ焼却施設の集約化による全連続炉化によりダイオキシン類の排出を抑制することが可能となること、広い敷地を要する最終処分場の確保がより容易になること、高度な処理が可能な小規模処理施設を個別に整備するよりも施設を集約化した方が全体として整備費用が安くなること等の長所があるため、地域の社会的・地理的な特性を考慮した上で適正な施設の規模を確保し、広域的な処理に対応するものとする。
 また、全連続炉を導入する場合においては、ごみ発電等の余熱利用が効率的に実施可能であるので、その導入について積極的な取組を図る。
 なお、離島や過疎地域等広域的な処理が困難な地域において焼却炉を整備する場合は、全連続炉でない焼却施設の整備もやむを得ないが、極力ダイオキシン類の排出を抑制できる焼却施設を整備するものとする。
 ダイオキシン類の排出抑制対策は当面の緊急課題であり、広域的な処理の計画に基づき、中小規模の焼却施設を廃止及び集約化して全連続炉化を図る場合には、これをできるだけ速やかに実施することが必要である。
 また、中長期的には、再生利用の推進による焼却量の減量化も踏まえ、必要な中間処理量、最終処分量を予測し、これらに応じて、目標年度以降における適正な施設配置も念頭に置いて、目標年度までの広域的な施設整備を計画するものとする。
 
 3 産業廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な産業廃棄物処理施設の整備
   産業廃棄物の減量その他その適正な処理を確保するため、公共関与による処理施設の整備を含め、必要な処理施設の整備を推進する。
 具体的には、適正な循環的利用の促進を図るため、廃棄物の再生利用等に必要な施設の整備の促進を図るなど、再生に係る施設の整備促進を図る。また、最終処分場について、都道府県ごとに地域で発生する産業廃棄物の適正な処理のために確保すべき最終処分場の必要量を算出し、民間による処理施設の整備の見通しを勘案しつつ、必要と認められる場合は、廃棄物処理センター制度等を活用した最終処分場の整備も検討する。
 また、産業廃棄物の発生量が大きく、都道府県域を越えて一体的に経済活動が行われている大都市圏においては、大都市圏で震災が発生した場合の大量の廃棄物に備える必要性も勘案し、圏域内での産業廃棄物処理施設の整備を図ることが重要である。このため、広域臨海環境整備センター法(昭和五十六年法律第七十六号)に基づく大阪湾広域臨海環境整備センターによる施設整備を引き続き進めるとともに、その他の大都市圏においても、必要と認められる場合は、同法の活用や広域的な廃棄物処理センターの活用により、産業廃棄物の処理体制を構築することも検討する。
 産業廃棄物の焼却施設については、都道府県ごとに施設の廃止の増加、将来の焼却施設の処理能力及び要焼却量を勘案しつつ、必要と認められる場合は、極力ダイオキシン類の排出を抑制することに留意しつつ、廃棄物処理センター制度等を活用した産業廃棄物焼却施設の整備も検討する。 
 また、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設については、当面、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の大部分を占め、緊急に対応が必要な高圧トランス・コンデンサを中心として、全国に5カ所程度、環境事業団を活用して広域的な処理施設の整備を進めるとともに、安全かつ効率的な収集・運搬体制の整備を進める。
 その他の施設についても、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に規定する特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するために必要となるコンクリート塊、建設発生木材等の建設廃棄物の処理施設の整備促進をはじめ、適正処理に必要な施設の確保を促進する。
 
 4 優良な廃棄物処理施設への支援
   国は、税制上の優遇措置、政府系金融機関の融資、環境事業団の実施する建設譲渡事業等を積極的に活用することにより、優良な廃棄物処理施設の整備を促進するものとする。
 また、都道府県においても、必要かつ優良な施設の 事業者又は産業廃棄物処理業者による整備を促進するため、国とともに、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成四年法律第六十二号)に基づく施設整備を促進するものとする。
 
 5 地域住民に対する情報公開の促進
   廃棄物処理施設の立地に関する地域住民の信頼を確保し、理解を得ていくためには、施設の立地、処理の方法、維持管理の計画等に関し、情報公開を積極的に行うことが重要である。また、廃棄物処理施設に対する信頼性を高める上で、現在運転中の廃棄物処理施設の維持管理に関する情報を積極的に公開することも重要である。特に、一般廃棄物処理施設の立地に際しては、地域住民自身も廃棄物の排出や処理に関わる当事者として、十分な関心と理解が求められる。  
 海面埋立処分を行う場合には、廃棄物処理法に基づく施設設置手続及びその後に進められる公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)に基づく埋立免許手続が必要であるが、これらの施設設置手続の有機的な連携を図り、環境保全に関する取組について十分な説明を関係者に対して行うことが適切である。
 
 その他廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
 
 1 廃棄物処理に関する技術開発及び調査研究の推進
   廃棄物は、その種類に応じ種々の形状及び性質を有し、また、新たな製品開発等に伴い、これまで自然界に存在しない化学物質等を含む廃棄物も排出されてくることとなる。 こうした中で、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量化を進めるとともに、多様な廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないよう適正に処理するためには、事業者が自ら、製品の製造工程において、製品の長寿命化や素材別に分離が容易な構造、材料の工夫、材質の表示等の推進、残さ物の発生量の少ない製造技術の開発等を一層進めるとともに、多様な性状を有し、多種類の化学物質を含む廃棄物を適正に再生及び処分できるようにするための処理技術の研究や技術開発及び循環型社会にふさわしい最適な廃棄物処理システムに関する調査研究の一層の推進が重要である。
 このため、現在、再生利用がほとんど進められていない廃棄物について、再生利用する技術はもとより実用化されている技術についても、選別技術の向上や再生品の品質の安定化・高品質化及び低コスト化を図り、再生品の利用を促進するための技術開発が必要である。
 また、再使用や再生利用が困難であり処分を行う場合の適正処理を確保するためには、処理の安全性、安定性及び確実性を高めるための研究及び技術開発を一層推進することが必要である。特に、有害な性状を有する特別管理廃棄物の無害化技術及びダイオキシン類等廃棄物処理に伴い非意図的に発生する化学物質の廃棄物処理施設からの排出抑制を一層図るための処理技術の開発を推進するとともに、より的確な施設の運転管理技術や管理指標等の研究開発を行うことが必要である。また、条約により国際的取組が見込まれている残留性有機汚染物質については、処理基準の調査検討及び処理技術の開発が必要である。
 さらに、情報通信技術、衛星技術等を活用して、廃棄物の収集・ 運搬から処分に至るまでの状況を把握・管理し、不適正処理を防止するためのシステムや廃棄物に係る各種の情報を提供するためのシステム等の開発を進めていくことが必要である。
 
 2 廃棄物の排出の抑制及びその適正な処理を確保するために必要な知識の普及等
   廃棄物の減量、環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への排出の抑制等を通じて、環境への負荷が少ない循環型社会を構築していくためには、広範な国民及び事業者の協力が不可欠であることから、国及び地方公共団体は、廃棄物の排出の抑制及びその適正な処理を確保するための知識の普及及び意識の向上を図ることが重要である。具体的には、環境教育、環境学習、広報活動等を通じて国民の理解を深めるとともに、廃棄物の排出が抑制され、及びその適正な処理が図られるよう、関係者の協力を求めることとする。
 
 3 その他配慮すべき事項
   廃棄物処理計画の策定に当たっては、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に規定する国土利用計画、国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)に規定する国土総合開発計画、地域の振興又は整備に関する計画及び環境の保全に関する国又は地方公共団体の計画との調和を図るものとする。また、海面埋立処分を行う場合は、公有水面埋立法に基づく手続に先立って廃棄物処理法に基づく所要の手続を完了させるものとする。このほか、廃棄物処理計画及び一般廃棄物処理計画を定めるに当たって関係する港湾の港湾計画その他港湾の開発、利用及び保全並びに港湾に隣接する地域の保全に十分配慮する。また、計画の推進に当たっては、交通の安全及び円滑化並びに災害の防止に十分配慮するものとする。



(参考)

一般廃棄物の減量化の目標量 (百万トン/年)
 平成9年度平成17年度平成22年度
 排出量
 再生利用量
 中間処理による減量
 最終処分量
 53
  5.9(11%)
 35 (66%)
 12 (23%)
 51
 10 (20%)
 34 (67%)
  7.7(15%)
 49
 12 (24%)
 31 (63%)
  6.4(13%)
(注) 1. 小数点以下の数字を四捨五入しているため、合計が合わない場合がある。
  2. ( )内は、各年度の排出量を100としたときの割合である。

産業廃棄物の減量化の目標量 (百万トン/年)
 平成9年度平成17年度平成22年度
 排出量
 再生利用量
 中間処理による減量
 最終処分量
 410
 168(41%)
 175(43%)
  66(16%)
 439
 205(47%)
 197(45%)
  36( 8%)
 458
 217(47%)
 211(46%)
  30( 7%)
(注) 1. 小数点以下の数字を四捨五入しているため、合計が合わない場合がある。
  2. ( )内は、各年度の排出量を100としたときの割合である。