調査結果 |
1. | 自治体におけるフロン回収への取組状況 |
家庭用冷蔵庫からのフロン回収が実施されている自治体数は、平成8年度末において、全市区町村の約61%に達しており、平成9年度以降開始予定のものを含めると、全市区町村の約77%に達する。 |
フロン回収実施市区町村数 | 全市区町村数に対する割合(%) | |
平成6年度末までにフロン回収を開始した市区町村 | 400 | 12.3 |
平成7年度末までにフロン回収を開始した市区町村 | 1,051 | 32.3 |
平成8年度末までにフロン回収を開始した市区町村 | 1,986 | 61.0 |
平成9年度以降開始予定を含む | 2,515 | 77.3 |
(注) | 平成8年度末の全市区町村数は、3,255(区 23、市 664、町村 2,568) |
2. | 都道府県・政令指定都市におけるフロン回収推進のための協議会等の設置状況 |
フロン回収を推進するため、関係者の参画した協議会等を設置する都道府県・政令指定都市は、着実に増加しつつある。これらの協議会では、フロン回収システム形成のための関係者間の役割分担の検討を行うこと等を主な設置目的としている。 |
協議会等設置の都道府県・政令指定都市数 | 全都道府県・政令指定都市数*1に対する割合(%) | |
平成6年度末までに設置した都道府県・政令指定都市 | 18*2 | 31 |
平成7年度末までに設置した都道府県・政令指定都市 | 34*3 | 58 |
平成8年度末までに設置した都道府県・政令指定都市 | 42*4 | 71 |
平成9年度以降設置予定を含む | 59 | 100 |
(注)*1 | 都道府県・政令指定都市の数:59 |
*2 | 県の協議会に参加する1政令指定都市を含む。 |
*3 | 県の協議会に参加する2政令指定都市を含む。 |
*4 | 県の協議会に参加する5政令指定都市を含む。 |
3. | フロン回収に係る状況 |
3.1 | 回収台数等について把握している都道府県・政令指定都市 |
都道府県・政令指定都市においては、自治体による家庭用冷蔵庫からのフロン回収の状況については把握しているのに対し、事業者により実施されている冷蔵庫、カーエアコン及び業務用冷凍空調機器からのフロン回収状況については、十分に実態を把握していないのが現状である。 |
機器の種類 | フロン回収主体 | フロン回収がなされた機器の台数について回答のあった都道府県・政令指定都市数 | 廃棄された機器の台数について回答のあった都道府県・政令指定都市数 |
家庭用冷蔵庫 | 市町村・一部事務組合 | 57 | 52 |
家電販売店 | 15 | - | |
廃棄物処理業者 | 16 | 13 | |
カーエアコン | カーディーラー | 17 | 15 |
中古車販売業者 | 3 | 2 | |
整備業者 | 8 | 6 | |
電装品業者 | 4 | 3 | |
解体業者 | 7 | 4 | |
市町村・一部事務組合 | 3 | 3 | |
その他 | 4 | 4 | |
業務用冷凍空調機器 | 設備業者 | 11 | 11 |
廃棄物処理業者 | 2 | 2 | |
フロン回収事業協会 | 1 | 1 | |
市町村・一部事務組合 | 1 | 0 |
3.2 | フロン使用機器からのフロン回収の状況 |
(1) | 家庭用冷蔵庫からのフロン回収状況 |
平成8年度において、フロンが回収された家庭用冷蔵庫数は、年間約78万台(平成7年度は約39万台)、回収されたフロンの量は、約54トン(平成7年度は約26トン)であり、平成7年度と比べてほぼ倍増している。回収されたフロン量の内訳は、市町村によるものが約46トン(全体の86%)、廃棄物処理業者によるものが6.8トン(全体の13%)、家電販売店によるものが0.8トン(全体の1.5%)であった。 市町村ルートにおける家庭用冷蔵庫からのフロン回収率は、台数ベースで56.2%、フロン量ベースで24.0%となっている。 また、市町村以外のルートにおけるフロン回収率は、台数ベースで約2.4%、フロン量ベースで約2.0%となっている。 さらに、家庭用冷蔵庫全体としては、台数ベースで20.3%、フロン量ベースで9.3%となっている。 なお、家庭用冷蔵庫中の冷媒フロン充填量は約150g/台であるが、市町村による家庭用冷蔵庫1台当たりのフロン回収量は平均で約64g/台であった。 |
市町村 | 家電販売店 | 廃棄物処理業者 | その他 | 合計 | |
1 年間フロン回収台数 (千台) |
719 | 8.7 | 51.3 | 0.1 | 779 |
2 年間フロン回収量(トン) | 46.0 | 0.8 | 6.5 | 0.0 | 53.3 |
3 冷蔵庫1台当たりのフロン回収量 (g/台) |
64.0 | 88.1 | 127 | 70.3 | 68.4 |
4 年間冷蔵庫廃棄台数推定値 (千台) |
1280 | 2550 | 3830 | ||
5 台数ベースでのフロン回収率 (1 ÷4 ) ( )内は平成7年度の値 |
56.2% (32%) |
2.4% (0.1%) |
20.3% (11%) |
||
6 年間冷蔵庫冷媒フロン廃棄量推定値 (トン) | 192 | 383 | 575 | ||
7 フロン量ベースでのフロン回収率 (2 ÷6 ) ( )内は平成7年度の値 |
24.0% (15%) |
2.0% (0.1%) |
9.3% (5%) |
(注) | 1 及び2 はすべての回答を単純に合計したもの。 |
3 は、1 及び2 のうち一方しか回答の無かった場合の値を取り除き、1 及び2 がともに回答があった場合の値により、2 ÷1 で算出した。 | |
4 、6 は当庁による推計値。 |
(2) | カーエアコンからのフロン回収状況 |
平成8年度において、フロンが回収されたカーエアコン数は、年間約15万台(平成7年度
は約32万台)であり、回収されたフロンの量は約88トン(平成7年度は約230トン)であ
る。また、フロンの回収率については、回答のなかった都道府県・政令指定都市では全く
回収の取組が行われていないとして計算した場合は、台数ベースで3.4%(平成7年度は7
%)、フロン量ベースで2.7%(平成7年度は7%)となっている(試算1)。このよう
に、平成7年度と比べると、カーエアコンの回収の取組は大きく後退しており、台数ベー
スでは半減、フロン量ベースでは半減以下となっている。 なお、回答のあった都道府県・政令指定都市のみについて計算した場合は、台数ベースで7.2%、フロン量ベースで5.7%となる(試算2)。 |
表3-3 カーエアコンからのフロン回収状況(平成8年度推計値)
カーディーラー | 中古車販売業者 | 整備業者 | 電装品業者 | 解体業者 | その他 | 合計 | |
1 年間フロン回収台数(千台) | 74.2 | 3.8 | 35.0 | 21.4 | 13.8 | 0.7 | 149 |
2 年間フロン回収量 (トン) | 33.9 | 1.3 | 34.4 | 16.2 | 1.5 | 0.3 | 87.6 |
3 カーエアコン1台当たりのフロン回収量 (g/台) |
533 | 346 | 1,000 | 757 | 194 | 420 | 683 |
(注) | 1 、2 は、使用過程車の冷媒交換時におけるフロン回収も含めた数値で、すべての回答を単純に合計したもの。 |
3 は、1 及び2 のうち一方しか回答の無かった場合の値を取り除き、1 及び2 がともに回答があった場合の値により、2 ÷1 で算出した。 |
4 年間カーエアコン廃棄台数推定値 (千台) |
4,390 |
5 台数ベースのフロン回収率 (1 の合計÷4 ) |
3.4%(平成7年度は7%) |
6 年間フロン廃棄量推定値 (トン) |
3,290 |
7 フロン量ベースノフロン回収率 (2 の合計÷6 ) |
2.7%(平成7年度は7%) |
(注) | 4 、6 は当庁による推計値。6 には、使用過程車の漏洩フロン分は含めていない。 |
8 年間カーエアコン廃棄台数推定値 (千台) |
2,060 |
9 台数ベースのフロン回収率 (1 の合計/8 ) |
7.2% |
10 年間カーエアコンフロン廃棄量推定値 (トン) |
1,550 |
11 フロン量ベースのフロン回収率 (2 の合計/10) |
5.7% |
(注) | 8 、10は、カーエアコンからのフロン回収を実施した都道府県等の全国に対する人 口比率(47%)を用いて推定。 |
(3) | 業務用冷凍空調機器からのフロン回収状況 |
平成8年度において、フロンが回収された業務用冷凍空調機器台数は、年間約7千台(平
成7年度は約1万台)であり、回収されたフロンの量は約68トン(平成7年度は約134ト
ン)である。このように、平成7年度と比べると、カーエアコンと同様に、回収の取組は
大きく後退している。 また、フロンの回収率については、回答のなかった都道府県・政令指定都市では全く回収 の取組が行われていないとして計算した場合は、フロン量ベースで5.2%(平成7年度は10%)となっている(試算1)。このように、平成7年度と比べると、業務用冷凍空調機 器の回収の取組は大きく後退しており、フロン量ベースではほぼ半減している。 なお、回答のあった都道府県・政令指定都市のみについて計算した場合は、フロン量ベー スで18.1%となる(試算2)。 |
設備業者 | その他 | 合 計 | |
1 年間フロン回収台数(千台) | 5.9 | 1.0 | 6.9 |
2 年間フロン回収量(トン) | 58.0 | 10.2 | 68.2 |
(注) | 1 、2 は、使用中の機器の冷媒交換時におけるフロン回収も含めた数値で、すべて の回答を単純に合計したもの。 |
3 年間フロン廃棄量推定値(トン) | 1300 |
4 フロン量ベースノフロン回収率 (2 の合計÷3 ) |
5.2%(平成7年度は10%) |
(注) | 3 は当庁による推計値。 |
5 年間フロン廃棄量推定値(トン) | 377 |
6 フロン量ベースノフロン回収率 (2 の合計÷5 ) |
18.1% |
(注) | 5 は、業務用冷凍空調機器からのフロン回収を実施した都道府県等の全国に対する 人口比率(29%)を用いて推定。 |
4. | フロンの破壊処理状況 |
表4に示すように、平成8年度の破壊処理量は、平成7年度の破壊処理量に対して2倍以上に増大している。 |
平成7年度実績値 | 平成8年度推計値* | 平成9年度予定値 | |
破壊処理量 (トン) |
45.7 | 101 | 119 |
(注) | 平成8年度推計値とは、平成8年12月末までの実績値に、平成9年1月から3月までの予定量を加えた値。 |
5. | 機器から回収されたフロンの保管状況(平成8年12月1日現在) |
今回の調査により得られた結果において回収されたとされるフロンの平成8年12月1日現 在の保管状況は、家庭用冷蔵庫からの回収分が約0.5トン(平成7年度は約11トン)、カー エアコンからの回収分が約57トン(平成7年度は約90トン)、業務用冷凍空調機器からの 回収分が約63トン(平成7年度は約56トン)、その他の機器からの回収分6.5トンの合計約127トン(平成7年度は157トン)となっている。このうち家庭用冷蔵庫については、フロ ンの破壊処理が進展したことから、その保管量が大幅に減少している。 |
回収元機器 | 回収保管主体 | 保管量 kg |
再利用の予定 のもの kg |
家庭用冷蔵庫 | 販売店 | 130 | 0.0 |
廃棄物処理業者 | 248 | 41.3 | |
その他 | 74.0 | 0.0 | |
小計(%) | 452(100) | 41.3(9.1) | |
カーエアコン | カーディーラー | 18,700 | 16,300 |
中古車販売業者 | 572 | 392 | |
自動車整備業者 | 20,800 | 18,700 | |
解体業者 | 1120 | 980 | |
電装品業者 | 15,700 | 15,600 | |
その他 | 40.5 | 40.5 | |
小計(%) | 56,900(100) | 52,000(91.4) | |
業務用冷凍空調機器 | 設備業者 | 59,400 | 48,600 |
廃棄物処理業者 | 180 | 0.0 | |
フロン回収事業協会 | 3,130 | 2,070 | |
小計(%) | 62,700(100) | 50,700(80.9) | |
その他の機器 | 小計(%) | 6,470(100) | 4,220(65.2) |
合計(%) | 127,000(100) | 107,000(84.3) |