大沼国定公園の公園計画の変更(点検)に関する意見の募集について


 大沼国定公園の公園計画の変更について,意見を募集します。


〈大沼国定公園の概要〉
  1. 区域
     大沼国定公園は,北海道の南西部渡島(おしま)半島の中央部に位置します。
     面積は9,083ヘクタールで,4町(亀田郡七飯町並びに茅部郡鹿部町,砂原町及び森町)にまたがっています。
     
  2. 景観の特徴
     大沼,小沼,蓴菜(じゅんさい)沼などの湖と活火山の駒ヶ岳(標高1,133m),砂原岳(1,113m)など,閑静な湖沼景観と秀麗な山岳景観を誇る道南随一の景勝地で,大沼には120余りの小島しょが点在するなど,変化の多い景観を呈しています。
     
  3. 動植物
     植生は,駒ヶ岳を中心とした火山植生と,山麓に広がる落葉広葉樹林に大別されます。
     駒ヶ岳の火山活動は明治以降も活発に続き,平成8年の噴火では泥流が発生するなど,今も盛んです。周辺部では,ミネヤナギ群落,イヌコリヤナギ群落,ススキ群落,ドロノキ群落,ウダイカンバ群落,シラカンバ群落,ウラジロタデ群落などが見られます。南側斜面では,シラカンバ,カラマツ,ヤナギ類などの二次林へ植生の回復が進んでおり,火山噴火後の植生変化を見る上でも貴重です。
     大沼湖畔など山麓の落葉広葉樹林の大部分は,昭和4年の大爆発以前からの残存木で,樹林の構成樹種も複雑です。代表的な樹種としては,ダケカンバ,シナノキ,ミズナラ,カシワなどで,特にミズナラ林は山麓の全斜面の広大な面積に分布しています。
     
  4. 利用形態
     自然探勝,登山など,年間利用者数は約276万人(平成11年)です。
     特に,利用拠点の大沼付近では,定期遊覧船が就航しており湖上からの展望を手軽に楽しめるほか,カヌーやボート,湖畔周遊のサイクリング,冬季の歩くスキー,スノーシューなど,四季を通じて利用が盛んです。
 
〈変更案の概要〉
 
 大沼国定公園は,昭和33年7月1日,網走国定公園とともに北海道で最初に指定された国定公園です。
 昭和55年3月に公園計画の全般的な見直し(再検討)を,平成元年1月には公園区域及び公園計画の変更(第1回点検)を行いました。
 また,平成3年12月には,駒ヶ岳山麓に車馬等の乗入れ規制地域の指定を行っています。
 今回は,第1回点検以降12年が経過していることから,この間の社会条件等の変化を踏まえ,公園計画の変更(第2回点検)を行うものです。
  1. 保護計画
    (1)保護規制計画
     大沼,小沼,蓴菜(じゅんさい)沼や駒ヶ岳などの雄大な風景の一望できる日暮(ひぐらし)山(303m)山頂部(2ha)について,自然環境保全の充実を図るため,第3種特別地域から第1種特別地域に保護規制の強化を図ります。
     
    位置 変更内容 面積(ha)
    北海道亀田郡七飯町字大沼町の一部 第3種特別地域 → 第1種特別地域 2
     
  2. 利用計画
    (1)利用施設計画
     ア  集団施設地区
     本公園の代表的な利用拠点である亀田郡七飯町の南大沼集団施設地区について,自然環境の保全と適正な利用の促進を図るため,区域を指定するとともに,整備方針などを決定します。
     単独施設
     亀田郡七飯町(大沼)の大沼に点在する島しょの自然探勝を主とする園地計画を追加します。
     また,亀田郡七飯町(砂崎)の園地計画,同町(吉野山西麓)のスキー場計画及び同町(東大沼)の園地計画については,利用の実態上,将来的に整備の見込みが乏しいため,削除します。
     道路(車道)
     平成8年の駒ヶ岳噴火以降,泥流流出の危険により閉鎖されている駒ヶ岳登山線(1号線)車道計画について,再開の見込みが乏しいことから,削除します。
     なお,駒ヶ岳登山線(1号線)車道計画の削除に伴い,駒ヶ岳登山線(2号線)車道計画を駒ヶ岳登山線車道に改め,その一部区間を変更します。
     道路(歩道)
       砂崎周回線歩道計画は,立地的に駐車場の確保が困難など将来的に整備の見込みが乏しいことから,削除します。
     
    計画名 位置 ・ 区間  
    〔集団施設地区〕 面積(ha)
    南大沼集団施設地区(変更) 【変更前】  
    (位置)  
     北海道亀田郡七飯町(南大沼)
     
    -  
    ※区域未指定
    (整備方針)  
     本公園の利用拠点として,点在する島しょを橋により結んだ園地を主体に,宿舎,舟遊場等の施設内容の充実を図る。
     
       ↓  
    【変更後】  
    (区域)  
     北海道亀田郡七飯町字大沼町の一部
     
     
    22.4  
    (計画目標)  
     南大沼集団施設地区は,北海道の玄関口である函館市街から北方へ約20kmの大沼南岸に位置し,大沼に点在する小島しょや駒ヶ岳の展望が素晴らしい。
     地区の周囲は,ミズナラを主とする落葉広葉樹林に被われており,春の新緑,秋の紅葉は見事で,繊細で柔和な風景が楽しめる。
     既に,園地,舟遊場,駐車場などを整備しており,民間の宿舎や商店などがJR函館本線の大沼公園駅前から東方に向けて集中している。
     本公園を代表する利用拠点であり,今後とも豊かな自然環境の保全と快適な利用環境の維持を図るため,園地,宿舎,駐車場,舟遊場,博物展示施設などの施設を総合的に整備する。
     
     
    (整備計画区及び基盤施設)  
    *北部(北西)整備計画区
    *南部(南東)整備計画区  
    *道路(車道)
    *道路(歩道)  
    *給水施設
    *排水施設
     
     
    (6.2)
    (16.2)
    (整備方針)
    *北部(北西)整備計画区  
     大沼に点在する小島嶼など,繊細で柔和な風景の楽しめる地区である。
     自然探勝のための園地及び舟遊場,あるいは,利用者の利便性を向上させるための駐車場,博物展示施設などを整備する。
     なお,整備にあたっては,豊かな自然環境の保全に十分配慮するものとする。
    *南部(南東)整備計画区  
     JR函館本線の大沼公園駅前から東方に向けて,民間による宿舎や商店などの施設が集中している。
     このため,主に民間による既存施設の整備充実を図り,利用者のための利便性の向上を促す。
     なお,建築物の整備にあたっては,形状,高さなどの考慮とともに,修景緑化など風致の維持に十分配慮するものとする。
    *道路(車道)  
     主に南部(南東)整備計画区内において車道を整備する。
     なお,整備にあたっては,歩行者の安全及び風致の維持に十分配慮するものとする。
    *道路(歩道)  
     集団施設地区内の利便性の向上のため,北部(北西)整備計画区と南部(南東)整備計画区を結ぶ歩道を整備する。
    *給水施設  
     集団施設地区内の諸施設に飲料水などを供給するため,給水施設を整備する。
    *排水施設  
     大沼をはじめとする豊かな自然環境の保全を図るため,排水施設を整備する。
     
     
    〔単独施設〕
    大沼園地(追加) 北海道亀田郡七飯町
    砂崎園地(削除) 北海道亀田郡七飯町
    吉野山西麓スキー場(削除) 北海道亀田郡七飯町
    東大沼園地(削除) 北海道亀田郡七飯町
    〔道路(車道)〕
    駒ヶ岳登山線(1号線) 
    (削除)
    起点−北海道茅部郡森町(駒ヶ岳南西麓・国定公園界)
    終点−北海道茅部郡森町(駒ヶ岳中腹)
    駒ヶ岳登山線(2号線)
    (変更)→ 駒ヶ岳登山線


    【変更前】 
    起点−北海道茅部郡森町(宿野辺川・大沼周回線分岐点)
    終点−北海道茅部郡森町(駒ヶ岳中腹)
    【変更後】
    起点−北海道茅部郡森町(宿野辺川・車道分岐点)
    起点−北海道茅部郡森町(駒ヶ岳南西麓・国立公園境界)
    終点−北海道茅部郡森町(駒ヶ岳中腹)
    〔道路(歩道)〕
    砂崎周回線(削除) 起点−北海道亀田郡七飯町(砂崎北口・車道分岐点)
    終点−北海道亀田郡七飯町(砂崎南口・車道合流点)

〈スケジュール〉
 
 ・  平成13年3月12日(月)  意見募集開始(環境省ホームページに掲載)
 平成13年4月11日(水)  意見募集の締め切り
 平成13年5月下旬(予定)  中央環境審議会(自然環境部会)に変更案を諮問
 平成13年5月下旬(予定)  中央環境審議会(自然環境部会)より答申
 平成13年8月下旬(予定)  中央環境審議会の答申を踏まえて,公園計画の変更概要について官報告示
 平成13年8月下旬(予定)  南大沼集団施設地区の指定の概要について北海道公報に告示