沖縄宣言(仮訳)
国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)
 
第2回東アジア海地域会合

 1996年にバリ島で開催された国際サンゴ礁イニシアティブ第1回東アジア海地域会合において策定された「ICRI東アジア海地域戦略」を想起及び再確認し、
 UNEP第19回管理理事会において、地域海計画がICRIのもとでの地域的活動の発展、実施及び調整に関し、活動的かつ主導的な役割を果たし続けるべきであるという決定がなされたことを歓迎し、

 COBSEA第12回会合が、UNEP東アジア海行動計画地域調整ユニット(UNEPEAS/RCU)を東アジア海域におけるICRIのための適切な調整メカニズムであるとしている地域戦略を含め、ICRI第1回東アジア海地域会合の報告書を承認したことに留意し、

 日本国政府による沖縄国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター構想を歓迎するとともに、同センターによる東アジア海地域でのサンゴ礁及び関連する生態系の保全及び管理へのさらなる貢献を期待し、

 本地域がサンゴ礁及びそれに関連する生態系の動物相及び植物相の多様性を示す地球の中心地域であること、及び、サンゴ礁が支えている生態系及び生物多様性が有する社会的、経済的、生物学的な疑うべくもない重要性を再確認し、
  1. 本会合参加者は、ICRI東アジア海地域戦略の実施のため進行中の作業に関する報告を検討しかつ歓迎した。しかしながら、参加者は、現場及びもっとも関係が深い人間社会における行動の程度が、本地域でのサンゴ礁及び関連する生態系に対する厳しい脅威を除去するには不十分であることに留意する。
     
  2. 本会合は、ICRIの優先課題である「統合的沿岸域管理」「能力養成」「研究及びモニタリング」「実施及び評価」に効果を与えるために実施する必要のある、各国及び本地域での様々な優先事項の識別を行った。
     
  3. 本会合は、第2パラにおいて識別された「ICRI東アジア海地域戦略」に関するプロジェクトが実施されるよう、また、ICRIの「行動の呼びかけ」及び「行動の枠組み」に対する各国政府及び国際社会のコミットメントに効果を与える活動が達成されるよう、各国政府及び国際社会に要求する。
     
  4. 本会合は、本地域におけるCOBSEAの構成員の拡大が、ICRIの「行動の呼びかけ」、「行動の枠組み」及び「東アジア海地域戦略」の実施に関するCOBSEAの役割に対する、本地域内の各国の関与を推進し、能力を向上させることに留意する。
     
  5. 本地域での優先課題として、本会合は、
    a) 各国に対し、サンゴ礁域における統合的沿岸域管理に関するもっとも優れた国家レベルでの実績を代表するとともに、東アジア海地域及び他のICRI地域との協力の観点から、管理に関する専門的知見と実務的な能力養成のためのネットワークの基礎を形成するような実証地域(デモンストレーション地域)を選定するよう要求する。
    b) 地域レベルでの資源管理者、住民及びサンゴ礁利用者に対する適当な言語及び形式によるトレーニング及び公共教育材料を用意し、作成する必要性を、緊急の要請事項として認識する。
    c) EAS/RCUに対し、管理や技術的アドバイス及びICRIの目的を達成するための活動の策定や実施の見直しを各国から要請される、資源管理者及び科学者により構成される専門家集団の活動を確立及び支援するため、本地域内の各国とともに作業するよう要求する。
    d) UNEP及びEAS/RCUに対し、南シナ海に関し作成されるGEFの国境横断的分析的かつ戦略的行動計画が、ICRI/EAS地域戦略において識別され、かつ第2回東アジア海地域会合においてさらに詳細にされた管理上の必要及び優先事項を取り入れることとなるよう、COBSEA構成国と協力するよう要求する。
    e) UNEP EAS/RCUに対し、ICRIの目的を推進するために、2カ国以上での共同プロジェクトの確立及び実施を促進するよう、各国と協力することを要求する 。
    f) 各国に対し、ICRI「行動の呼びかけ」「行動の枠組み」及び「東アジア海地域戦略」の実施について、ICRIの資金提供者及び国際機関に優先的に推薦できるプロジェクトに関する特別な提案を、UNEP EAS/RCUを通じてICRIへ情報提供するよう要求する。
    g) COBSEAのフォーカルポイントに対し、ICRI第2回東アジア海地域会合の結果を、各国内の国家、地域、地方機関に知らせるようにすることを勧告し、また、
      各国の実証地域を選定すること
      ICRI第2回東アジア海地域会合で発表された各国の優先計画を確認すること
      実証地域が、統合的沿岸域管理に関するもっとも優れた実績を代表するようになるため、開始し、強化しあるいは続行する必要があるプロジェクト及び計画を識別すること
      各国内におけるサンゴ礁及び関連する生態系に関する、ICRIの目的を広めるため、統合的沿岸域管理の能力を養成するための拡大されるべきプロジェクトやプログラムを識別することを勧告する。
    h) 各国におけるサンゴ礁及びその利用についての状況や傾向を評価するため、各国が地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)に参加し、この情報を活用するように要請する。
    i) あらゆる国が、サンゴ礁域における統合的沿岸域管理を推進するためのデータや情報に対する緊急的な管理上の必要性を識別し、その必要性を呼びかける行動をとるため、地域社会、資源管理者及び科学者間に国家レベル及び地域レベルでのパートナーシップの構築を確保するよう奨励する。
     
  6. 本会合は、COBSEAに対し、そのEAS/RCUにおける計画の中に、従前の地域的優先事業を含めるよう要求する。