2.調査結果

(1)振動苦情の状況

  1. 平成10年度に全国の地方公共団体が受けた振動に係る苦情の件数は2,124件であった。これは、平成9年度(2,257件)と比べて133 件、約5.9%の減少となる。

  2. 苦情件数を都道府県別にみると、東京都の546件が最も多く、次いで大阪府265件、神奈川県263件の順となっており、この3都府県で全国の振動苦情件数 の約50.6%を占めている。(表1参照)苦情件数の都道府県別対前年度増減状況をみると、減少件数の大きいのは、埼玉県、兵庫県等であり、増加件数の大きいのは、東京都等である。(表2参照)

  3. 苦情件数を発生源別にみると、建設作業が1,046件(約49.2%)で最も多く、次いで工場・事業場711件(約33.5%)、道路交通 239件(約11.3%)、鉄道63件(約2.9%)の順となっている。(図2参照)また、平成9年度と比較すると建設作業に係る苦情が 10件増加したが、それ以外の工場・事業場に係る苦情等は、全体的に減少している。

  4. 規制対象とそれ以外の苦情件数との比較工場・事業場に対する苦情総数711件のうち、法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、約 31.6%の225件であり、建設作業に対する苦情総数1,046件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約34.9%の365 件となっている。(表3参照)

(2)地域指定の状況 振動規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は平成10年度末現在 1,659(平成9年度1,653)で、全国の市区町村数の約51.0%に相当する。 (表4参照)

(3)工場・事業場に対する規制の状況

  1. 特定工場等及び特定施設の届出数振動規制法に基づき届出された特定工場等の総数は、平成10年度末現在119,762(平成9年度末現在118,466 )となっている。また、特定施設の総数は862,809(同861,053)となっている。特定工場等の内訳をみると、金属加工機械を設置しているものが約 35.0%と最も多く、次いで、圧縮機を設置しているものが約25.1%、織機を設置しているものが約17.6%の順となっている。特定施設の内訳をみると、織機が約 36.3%と最も多く、次いで、金属加工機械が約33.7%、圧縮機が約15.6%の順となっている。(表5−1、表5−2参照)
     特定工場等数及び特定建設作業件数については、工場・事業場の指標となる特定工場等の総数は119,762件(平成9年度118,466件)と微増の傾向が続き、 特定建設作業件数は25,358件(同26,727件)と平成9年度に引き続き若干減少した。(表6参照)

  2. 法に基づく措置等の状況指定地域内の特定工場等に係る苦情225件(平成9年度226件)に対して、平成10年度中に行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収 44件(同42件)、立入検査189件(同193件)、振動の測定109件(同115件)であった。振動測定の結果、規制基準を超えていたものは 26件(同20件)であった。改善勧告及び改善命令は行われていない。(平成9年度改善勧告1件)また、振動防止に関する行政指導が189件(同 198件)行われた。(表7参照)

(4)特定建設作業に対する規制の状況

  1. 特定建設作業の実施届出件数平成10年度中の特定建設作業実施届出件数は25,358件(平成9年度26,727件)であり、その内訳をみると、くい打機等を使用するもの 8,479件(同9,604件)及び、ブレーカーを使用するもの16,122件(同16,403件)が多くを占めている。(表8参照)

  2. 法に基づく措置等の状況指定地域内の特定建設作業に対する苦情365件(平成9年度328件)に対して、平成10年度に行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収 60件(同56件)、立入検査314件(同282件)、振動の測定99件(同75件)であった。振動測定の結果、基準を超えていたものは 34件(同10件)であった。改善勧告及び改善命令は行われていない。(同0件)なお、振動防止に関する行政指導が333件(同300 件)行われた。(表9参照)

(5)道路交通振動に対する措置の状況

 指定地域内の道路交通振動の苦情224件(平成9年度264件)に対して、振動の測定は113件(同145件)行われており、要請限度を超えていたものは3件 (同3件)であった。また、道路管理者に対する要請及び都道府県公安委員会に対する要請は行われていない。(同0件)なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、道路管理者に対する協力依頼等の 措置が85件(同96件)、都道府県公安委員会に対する同様の措置が7件(同11件)行われた。(表10参照)