CSDハイレベルセグメント


CSDハイレベルセグメント
議長要旨
(環境庁抄訳)

A.全 般
1. CSD第6回会合は、閣僚、政府代表、国連機関、国際金融機関、及び産業、労働組合及びNGO等の主要グループの出席により開催。
2. 本会合では、主要グループや政府、国連機関によるサイドイベントや特別の催しが併せて開催。
3. ハイレベルセグメントの参加者は会期間の活動の重要性を認識し、これらの活動を支援してきた国や政府に感謝するとともに、これからの会期間活動のための新たなイニシャティブを歓迎。
4. 参加者は国家レベルでの持続可能な開発に向けたプログラムや戦略の進捗についての情報を提供。一方、持続可能な開発の学際的な性格から、環境関係閣僚だけでなく、経済や社会的課題を担当する閣僚のより多くの参加が必要であるとの感触を得た。
5. 気候変動、化学品等に係る国際レベルでの進捗が報告された。
6. 参加者は、多くの国が京都議定書に署名したことに着目。また、先進国が温室効果ガスの排出削減に率先して取り組んで行くべきであることを認識。

B.第6回会合の課題
7. 本会合は国連環境開発特別総会でアジェンダ21の更なる実施のためのプログラムが採択された後に初めて開催された会合。参加者は新たな5年間の作業計画を歓迎。
8. 参加者は主要な国連の会議で合意された人間開発の目標やターゲットの達成の重要性を強調。
9. 持続可能な開発の環境的側面を担当するUNEPの役割を強化する努力を歓迎。
10. 国際的、地域的な情報の共有の重要性を認識。CSDは地域のデータや経験を交換する場としてより大きな役割を果たしうる。
11. 持続可能な開発をモニターするための指標の策定と適用及び政策の効果の測定が重要。指標の策定については、既存の様々な取り組みの調整が有効。
12. 持続可能な開発のためには、各国に適した形の、政府、市場、自発的な取り組み等の適切な結合が必要。

財政資源:
13. ODAは依然減少傾向にあり、多くの国では国連目標のGNP比0.7%をはるかに下回っているのが現状。こうした国に対し、より多くの努力を要請。
14. 海外直接投資は持続可能な開発のために貢献すると認識するも、ODAの代替とはなり得ない。ODAの減少は多くの途上国において開発財源の減少を引き起こし、貧困や環境悪化につながっている。また、ODAは教育や環境上健全な技術の移転にも重要な役割。
15. 参加者は海外直接投資が正負両面の影響があることを認識。こうした影響を評価し、正の影響を拡大するような対策を採ることが必要。
16. GEFの第2次増資の成功及び手続き改善のための努力を歓迎。

淡水管理に対する戦略的なアプローチ:
17. 水は、基本的な社会のニーズを満たし、農業・産業生産を促進し、自然の生態系を保全するのに不可欠。多くの国で水需要増大に供給が間に合わず水不足が深刻化。
18. 適正な水供給を図る上で水管理の改善が必要。参加者は、ハラレ、ペテルスブルグ、パリで行われた淡水管理に係る会合を歓迎し、また今後の水関係会合の開催のアナウンスを歓迎。
19. 途上国の多くの人々が安全な水へのアクセスを欠く状況であり、こうしたBHN(人間の基本的ニーズ)を満たすことが緊急の課題であると強調。
20. 持続的な水管理には、価格と規制に関する統合的なアプローチが必要。また、利害関係者の参加と地域での計画に基づく統合的集水域管理が必要。
21. 全ての人にきれいな水が入手可能になるような水の分配と価格制度が必要。
22. 水の全コスト負担による価格設定の是非について熱心な意見交換が行われた。
23. 社会の全ての構成員にとっての水の社会的、文化的、経済的、及び生態学的な重要性に鑑み、公平かつ効率的な水管理制度の策定は全ての利用者の参画によってなされるべき。特に女性の参加拡大に努力すべき。
24. 集水域あるいは地下水域ベースでの水管理の重要性を認識。国際河川の場合は、流域国間の協力が必要。
25. デモンストレーションプロジェクトの実施や好事例に係る情報の普及により水資源管理を改善することが可能。訓練や技術協力も必要。

産業と持続可能な開発:
26. 参加者は、産業界、政府、労働組合及びNGOの代表者間の対話である産業セグメントは、多面的な利害関係者間の意見交換として今回会合への重要なインプットであると評価。今後も途上国からのより多くの参加者を得て実施して行くべき。
27. 参加者は、産業が経済開発のみならず社会開発や環境保護にも重要な役割を果たすと強調。
28. 参加者は、特に途上国の中小企業にとって国内及び国際基準の遵守及びクリーナープロダクションの好事例の適用が困難であることを認識し、こうした中小企業のよりクリーンで生産的かつ効率的な技術の採用と管理向上のための国内的及び国際的な支援を要請。
29. 参加者は、産業界が持続可能な開発への取り組みのパートナーとして益々重要になってきていると認識。資源・エネルギー効率の向上や大気・水質保全は産業界及び社会双方に裨益するもの。多くの参加者は、持続可能な開発のために、産業界による自主的イニシャティブの重要性を強調。主要グループによる自主的イニシャティブの持続可能な開発推進に及ぼす効果の分析を行うべきとの提案がなされた。
30. 政府に対し、責任ある企業家精神を奨励するために産業界と共同して取り組むことを要請。

環境上健全な技術の移転:
31. 環境上健全な技術の開発途上国への移転は、途上国、先進国双方の官民、及び研究・開発機関、教育機関や国際機関のパートナーシップが必要。産業界は実際的なノウハウや技術の提供に重要な役割を果たすことができ、政府は民間のそうした取り組みを促進する環境づくりをすべき。
32. 参加者は、英国及び韓国で開催された会合を技術移転に係る本会合への重要な貢献として認識。
33. 参加者は、最貧途上国が環境上健全な技術を各国に適合したものとして活用していくためには、ODAが重要な役割を果たすことを強調。


教育及び意識啓発:
34. 参加者は現代の子供たちが小学校で環境問題について学ぶ機会を得ており、将来の国民の意識の向上に貢献するものであると認識。また、持続可能な開発のための教育は生涯を通じて、全てのレベルで行う必要がある強調。持続可能な開発のための戦略において、教育や意識啓発は重要な構成要素となるべきであり、また持続可能な開発という課題は既存の教育のカリキュラムにも統合されて行くべき。
35. 参加者は、持続可能な開発に係る国民の意識啓発の強化が必要であることを認識。そのための手法を探るタスクフォース等の設置に係る提案があった。
36. 参加者は、教育と持続性に係る国際会議を共催したギリシャ政府とUNESCOに感謝。国連システム内での教育に係る取り組みの連携・調整を図るための一層の努力を要請。

科 学:
37. 参加者は、科学教育の強化、全ての国における科学的能力の向上、及び科学研究の持続可能な開発の優先課題への取り組みの必要性を認識。UNESCOとハンガリー政府が1999年に開催する世界科学会議に注目。参加者は、CSDが分野別テーマを検討するのに科学的アドバイスを考慮すべきことを強調。

C.将来の取り組み
海 洋:
38. 参加者は、第7回会合のテーマである海洋について、海洋・沿岸資源の持続可能な活用、海洋・沿岸汚染に注目すべきことを強調。また、陸上起因の海洋汚染から海洋環境を保全するための世界行動計画の重要性を強調。
39. 数人の参加者は、第7回会合の準備として既存の海洋に関する国際取り決めの分析を提案。また、英国の海洋に関するワークショップの開催提案を歓迎。

観 光:
40. 参加者は、観光産業が強大かつ成長している経済分野であり、重要な経済的、社会的、環境的影響を与えるものであることに注目。観光産業は適切に管理すれば持続可能な開発に寄与しうるが、多数の観光客はまた深刻な環境影響の原因ともなっている。
41. 観光分野において多くの環境保全のための自発的イニシャティブが採られていることを認識。CSD第7回会合での、こうしたイニシャティブの効果の検討、持続可能な観光のための戦略策定、観光に係る利害関係者の対話の開催等が提案された。

消費・生産パターンの変更:
42. 持続可能な消費・生産パターンの取り組みには先進国が率先して取り組むことを強調。また、全ての国は、先進諸国における経験や、よりクリーンで生産的かつ効率的な生産プロセス及びより持続可能な消費パターンの開発・移転により利益を得ることができることを認識。
43. 参加者は、消費・生産パターンの変更のための指標開発に係る進捗を認識し、各国にその指標のテストへの参加を要請。参加者は、新興諸国の消費パターンについての会期間専門家会合を主催するとの韓国政府の提案を歓迎。
44. 参加者は、国家消費者保護政策が持続可能な消費の推進に重要な役割を果たしうることを認識。第7回会合において、1985年の国連消費者保護ガイドラインを検討するべき。

小島嶼途上諸国:
45. 数人の参加者は、小島嶼途上国の将来が気候変動等の環境問題によって脅威にさらされていることを強調し、早急に人的資源開発や制度作りを進めていくことが必要であると強調。参加者は、1999年の国連総会で行われる予定の小島嶼途上国のためのバルバドス行動計画の5年後レビューの重要性を強調。

エネルギー:
46. 参加者は、2001年のCSD第9回会合においてエネルギーについて検討するためには、十分な事前準備が必要であることを強調。参加者は、再生エネルギーについての会合を行うとのオーストラリア政府の発言及び持続可能なエネルギーについてのワークショップを行うとのチェコ政府の発言を歓迎。CSD第7回会合において、持続可能なエネルギー世界戦略のための政府間専門家会合の計画を明確にすべき。

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47. 参加者は、次回の会合開催のためにダイナミックで参加型の準備を進めていくことを要請。数人の参加者は、CSDがその参加型の取り組みを強化し、率直な討議の機会を拡大するよう、今後とも革新的な作業手法を採っていくべきであると提案。