「日光の社寺」の世界遺産推薦について


         「日光の社寺」の世界遺産推薦について


1.名称
   日光の社寺(Shrines and Temples of Nikko)

2.所在地
   栃木県日光市

3.資産の範囲
 推薦資産は「4(2)」に掲げる二社一寺及びそれらの境内地からなり、その中には国宝9棟、重要文化財94棟の計103棟の建造物群が含まれている。
 また、周囲の山林等を含め、史跡指定の手続きが進められているほか、日光国立公園にも指定されており、文化的景観の保全が図られている。
  推薦資産の面積   50.8ha
  緩衝地帯の面積  373.2ha
  合 計      424.0ha

4.推薦に際して該当する資産の種別とその内容
(1) 世界遺産条約上の区分
   文化遺産 建造物群(条約第1条による)
        遺跡(文化的景観)(条約第1条、「作業指針」第39節)

(2) 推薦資産の内容
 (a) 建造物群
  {1}二荒山神社
 日光の山岳信仰の中心として古くから崇拝されてきた神社であり、中世には多数の社殿が造営された。また、江戸時代に入り、徳川幕府によって、新たに本殿や諸社殿が造営された。本殿や神橋など23棟が重要文化財に指定されている。

  {2}東照宮
 徳川家康の霊廟として1617年に創建され、主要な社殿は、三代将軍家光によって1636年に造営された。東照宮の建築により、「権現造」様式や彫刻、彩色等の建築装飾の技法が完成された。本殿・石の間・拝殿、陽明門など8棟が国宝に、34棟が重要文化財に指定されている。

  {3}輪王寺
 8世紀末に日光開山の勝道が創建した四本竜寺に起源をもち、日光山の中心寺院として発展してきた。1653年には三代将軍徳川家光の霊廟である大A院霊廟が造営され、輪王寺は徳川幕府の尊崇を受けた。大A院霊廟本殿・相の間・拝殿が国宝に、37棟が重要文化財に指定されている。

 (b) 遺跡(文化的景観)
 推薦資産は、徳川将軍家の祖を祀る霊廟の地として、諸国大名の参拝はもちろん、歴代の将軍の参拝や朝廷からの例幣使の派遣、朝鮮通信使の参詣などが行われ、江戸時代の政治体制を支える重要な歴史的役割を果たした。また、日光山内の建造物群周辺の山林地域は、日光の山岳信仰の聖域とされ、自然と社殿が一体となった文化的景観を形成する不可欠な資産である。