世界環境デーに向けたクラウス・トプファー国連環境計画(UNEP)事務局長のメッセージ(仮訳)

 

 

 毎年6月5日、全世界は世界環境デーをともに祝福します。この祝福の中核にあるものは、すべての人々がきれいな空気、水、そして生物多様性の恩恵に浴する権利を有するという信念です。

 

今年の「地球の生命のために:わたしたちの海を救おう」というテーマは、最も適したテーマです。このテーマは国連国際海洋年に敬意を表すとともに、地方レベル、国家レベル、地域レベルあるいは国際レベルで私たちが直面している問題や、持続可能な開発の達成を巡る継続した議論の特徴である複雑さと微妙さを示すものです。

 

 海は生命の源であり、その資源は無限ではありません。海は無尽蔵という単純な割り切った幻想は変えなければなりません。汚染された川の水は海に流れてしまえば汚れが取り除かれ、都市の下水道システムが整備されればすべての廃棄物は簡単に無限の海に消え去るものだという安易な発想を、私たちは改めなければなりません。

 

 わたしたちの海は、わたしたちが考えるよりはるかに脆弱であり、限りあるものなのです。国連事務総長が世界環境デーのメッセージの中でこのように述べています。「私たちの自己中心的なアプローチと海の容量の無視が、私たちの健康、生態系及び経済生産性を含む、私たちの生存の多くの側面に悪影響を及ぼしています。海洋環境の悪化をくい止めるための、意味があり、かつ、効果的な規制のためのアプローチは、政治的、社会的、経済的、管理的、技術的、科学的、法的、そして制度的な措置を総合的に組み合わせたものでなければなりません。」

 

 本年の世界環境デーにあたり、この一年を海洋環境の保護に対する意識高揚を図るための年以上のものとすることを目指そうではありませんか。地球の存続は私たちひとりひとりの個人と日々の行動にかかっていることを思い起こしましょう。そして、さらに重要なことですが、現実に成果をもたらすような確実な計画を立てようではありませんか。