議長サマリー(仮訳)
第8回環日本海環境協力会議
1999年11月14日〜17日
舞鶴市, 京都府, 日本



 第8回環日本海環境協力会議は、日本国京都府舞鶴市において開催された。本会議は、日本国環境庁、京都府、舞鶴市及び環日本海アカデミックフォーラムにより共同で組織された。本会議には、中華人民共和国、日本、モンゴル、大韓民国、ロシア連邦の中央及び地方政府、並びに、国連環境計画及びアジア太平洋経済社会委員会の代表が出席した。
 北東アジア地域における環境協力では、地方自治体が重要な役割を果たしている背景から、全体のテーマを「環境保全に関する国と地方自治体の取組と環境協力への反映」として開催した。
 初日には、市民、NGO、地域社会、地方自治体、国における環境保全のための取組及び連携について、一般市民を交えて理解を深める公開シンポジウム「新たな地域連携と環境問題への取組:京都からの発信」を開催した。また、2日目以降は、各国及び国際機関の代表による基調講演の後、分科会として以下の議題による議論を行った。
  (1) 地方自治体における環境保全への取組
  (2) 環境協力における地方自治体の取組
  (3) 気候変動問題への対策に関する国内及び環境行政機関の事業者・消費者としての対策
  (4) 環境協力におけるインターネットの活用
 公開シンポジウムでは、「美しい風景を感じるとき 〜それぞれの国の文化が創る村のデザイン〜」と題した記念講演が行われ、伝統的農業による環境保全手法が紹介された。また、パネルディスカッション1「国際的な地域連携による環境問題への取組の可能性」では、地方自治体における情報及びコミュニケーションの欠如を克服することが今後の課題であること、地域社会のイニシアティブによる”市民連携”が北東アジア地域及び地球規模の環境問題の解決に貢献することなどが議論された。また、パネルディスカッション2「地域としての環境問題・環境協力への対応。今、何をすべきか」では、地域社会、国、北東アジア地域、地球規模のそれぞれのレベルでの、産官学の連携の重要性が議論され、同時に環境にやさしいライフスタイルの形成の重要性が強調された。
 各国及び国際機関の代表による基調講演では、環日本海環境協力会議が、本地域内での環境問題に関する情報及び意見交換のための重要なフォーラムであると位置付け、今後とも本会議を継続させ、またその役割を強化することの重要性が指摘された。また、各国政府及び各国際機関が近年実施してきた、地域社会、国家及び北東アジア地域のそれぞれのレベルにおける環境保全のための様々な取組みについて報告された。また、これらの取組みの連携の強化が強調された。
 分科会1「地方自治体における環境保全への取組」では、参加国の地方自治体による環境保全に関する様々な取組が報告された。また、市民、事業者及び地方自治体の参加が環境保全には不可欠であること、ローカルアジェンダ21の策定、実施が三主体が環境保全への取組みを促進すること、参加国の実施している活動の経験を共有することが不可欠であることなどについて議論された。
 分科会2「環境協力における地方自治体の取組」では、参加国の地方自治体による国際環境協力に関する様々な取組が報告された。また、地方自治体による環境協力には大きな可能性があることが指摘されるとともに、環境管理に関する情報、経験、技術の交換に関する姉妹都市関係などの具体的事例が紹介された。また、こうした地方自治体の環境協力の経験は、次回のアジア太平洋地域環境開発閣僚会合に向けての準備過程において、十分貢献しうるとの指摘があった。
 分科会3「気候変動問題への対策に関する国内及び環境行政機関の事業者・消費としての対策」では、参加国の気候変動問題に対する対策、及び参加国の環境行政機関が率先的に取り組んでいる様々な事例が報告された。また、来年は京都議定書の発効にとって重要な年であることから、参加国の気候変動問題に関する情報交換をより緊密にすることの必要性が提案された。さらに、本会合を通じた気候変動問題に関する協力ネットワークの整備は緊密化を促進することが提案された。
 分科会4「環境協力におけるインターネットの活用」では、参加国が環境行政機関におけるインターネットの活用事例、及び、将来の活用の可能性について議論がなされた。 インターネットによる自由な対話は環境問題に関する関心を高めることが指摘された。また、課題としてネットワークの拡張にかかるコスト及び翻訳の必要性が議論された。さらに、今後の本会合の準備においてインターネットが活用できることが指摘された。
 次回会合及びその他議題の中では、参加者は、第9回環日本海環境協力会議を2000年にモンゴルで主催するというモンゴル政府の申し出、及び、これに対する日本からの旅費及び日当の支援の表明を歓迎した。また、次回会合は7月末を目標として開催されることで合意した。その他議題の中では、以下の提案が参加国からなされた。
  (1) 本会議の明確な進展を示すため、UNEP,ESCAP,GEF等の既存のメカニズムを活用した具体的な事業実施を目指すべきである。
  (2) 本会議の準備のため、事務レベルでのインターネットを活用すべきである。
  (3) 次回会合では、「地方自治体と協力した環境ビジネス」及び「水質汚濁及び浄化」を取り上げるべきである。
  (4) 次回会合では、以上の提案を踏まえて、「北東アジア地域における環境協力のレビュー」及び「今後の環日本海環境協力会議」を取り上げるべきである。
  (5) 環日本海環境協力会議は、環境保全及び環境協力における地方自治体と市民連携の果たす重要な役割を今後とも評価すべきである。
10  参加者は、日本国環境庁、京都府、舞鶴市及び環日本海アカデミックフォーラムによる、歓待と、第8回環日本海環境協力会議を成功裏に主催したことに対し、深い感謝の意を表明した。