ラムサール条約第7回締約国会議における審議官発言(抄)


 
【感謝】
 わが国からの代表団を代表して、この会議にお招きいただいたことに対する深い感謝の意をコスタリカ政府に表明させていただくことを光栄に思います。また、条約事務局をはじめ会議開催のためにご努力下さった方々全員にも、感謝の意を表します。
 
【わが国における取組状況】
 ラムサール登録湿地における管理計画の状況について、わが国の登録湿地は法律に基づく地域指定により、将来にわたり自然環境の保全が図られており、そこでは法律に基づく鳥獣保護区設定計画、国立公園計画等により計画的な管理が行われております。また、国としての目録及び重要な湿地の総覧について、わが国はシギ・チドリ類以外の水鳥も含めた重要な湿地目録の作成を予定していることを報告します。
 本会議に際して、新たにわが国の11番目の登録湿地として-漫湖-が追加されようとしていること及び渡り性水鳥保全戦略に基づくガンカモ類重要生息地ネットワークが立ち上がろうとしていることを報告します。
 
【藤前報告】
 ご存じのとおり、わが国においては近年湿地の重要性及びその保全の必要性に関する認識が急速に高まっております。私はここに藤前干潟の埋め立て計画が地元名古屋市の英断により取りやめになったことを報告します。
 わが国のほぼ中央部に位置する藤前干潟は、環境庁が1993年に行った調査では、シギ・チドリ類が7,000羽以上確認されるなどわが国有数の渡来地です。地元名古屋市は、約20年前に増大する廃棄物の処分場を確保するため、藤前干潟の一部を埋め立てる計画を策定。その後、環境影響評価の結果を踏まえ、人工干潟の造成など代償措置を検討してきましたが、最終的に藤前干潟の保全を優先するため本計画を取りやめることを本年2月に発表した次第です。
 
【総括】
 締約国は、自然環境はもとより、文化、歴史、社会制度、経済の規模や状態などの点でそれぞれ固有の状況があります。こうした違いがあるとはいえ、湿地保全を促進しようという意志は我々全てに共通であると考えます。その意味で、そのための効果的な手段を検討し、意見・情報を交換する本会議は大変重要です。今回、この会議において有意義な議論がなされ、成功することを願っています。