(別紙)

特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する

   基本方針の骨子案に対する意見の募集結果について

平成11年6月21日

環       庁

 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づき策定することとされている特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する基本方針の骨子案を厚生省、通商産業省及び環境庁で作成し、平成11331日、公表しました。

 これについて、427日までの間、郵便、ファックス、電子メールによる意見の募集を行い、今般、その結果と寄せられた意見に対する環境庁の考え方を別添の通りとりまとめましたので、公表します。

 公表した骨子案に足りなかった部分についての御指摘や、既に盛り込まれている趣旨についての重要性についての御指摘など、貴重な御意見を頂きました。今後、これを踏まえ、関係省庁と共同して基本方針の策定及び公表を実施することといたします。御意見をお寄せいただいた方々の御協力に厚く御礼申し上げます。今後とも、環境行政の推進に御協力を頂きますよう改めてお願い申しあげます。

<寄せられた御意見>

  家電リサイクル法に基づく基本方針骨子案に対する意見:10件

  (うちファックス4件、電子メール6件)

※なお、上記意見募集と同日に開始し、420日までの間行った、特定家庭用機器廃棄物に係る廃棄物最終処分基準等の改正の骨子案に関する意見募集については、524日、既にその結果を公表しております。また、同月25日、廃棄物処理法施行令等の一部改正政令が既に閣議決定されております。(524日付け記者発表資料「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部改正について」参照。)


(別添)

 寄せられた意見及びそれに対する環境庁の考え方について、以下のとおりとりまとめました。なお、意見については、件毎に意見の要素を抽出し、同趣旨の要素の統合等の整理を行った上で、それに対する環境庁の考え方を示しております。

意見の概要

意見に対する考え方

1 全般的な意見

 

対象機器は4品目だけでなく、全ての家電製品とすべき。

4品目で廃家電の約8割を占めること等から、昨年施行した施行令において指定した4品目でスタートすることが適当であると考えています。

「大量生産・大量消費・大量廃棄型社会からの抜本転換」という言葉を入れるべき。

「環境への負荷の少ない循環型経済社会システムの構築」との記述で趣旨は十分に表現できていると考えています。

2 排出抑制の方策に関する意見

 

排出抑制・再使用を促進すべき。このため、利用しやすい修理サービスの提供、環境教育などが必要。

既に盛り込まれています。

排出抑制のための国の実効ある施策を記述すべき。

特定家庭用機器の購入・使用者として長期使用等に努めるとともに、耐久性の向上に関する調査研究、長期使用に関する普及・啓発等を講ずるよう努めることとしてます。

排出抑制を消費者が行うための情報提供が必要。

既に盛り込まれています。

3 収集・運搬に関する意見

 

「製造業者等に確実に引き渡す適正な者」を消費者はどのように判断するのか。

法に基づき引渡しが義務づけられている小売業者等がこれに該当すると考えています。

エアコンの取り外しの際の冷媒フロンの漏出防止を徹底することが必要。

既に冷媒フロンの漏出防止の必要性が盛り込まれています。

円滑な収集・運搬が行われるよう市町村と小売業者が協力体制を構築することとあるが、具体的に何を想定しているのか。

一般廃棄物の処理を担う市町村と特定家庭用機器廃棄物の収集を担う小売業者との間で、個別の地域的な特性、事情に応じた協力を行っていただくことを想定しています。

「適正な引渡に支障が生じている地域が生じた場合」は誰が判断するのか。

法の規定により、市町村の申し出に応じて主務大臣が判断し、必要な措置を講ずることとされています。

不法投棄防止のため、デポジット制度導入等の検討や、不法投棄された製品の製造業者が困るような広報の実施を盛り込むべき。

不法投棄については、廃棄物処理法で禁止されているほか、本法でも、マニフェスト制度の導入、適正な排出を妨げないような料金設定に係る規定等があります。さらに、不法投棄の防止に努める旨基本方針に盛り込むこととしています。

回収率、再商品化率の低い業者が不利になるような国の施策を示すことや、業者毎の回収率の把握・公表が必要。

引取り、再商品化等に必要な行為に関する基準の遵守は法の規定による義務です。

国の役割に、対象機器についての具体的な説明を行うことを追加すべき。

関係者への必要な情報の提供を行うこととします。

4 再商品化等に関する意見

 

再商品化が技術的困難性や環境への不可の程度等から適切でない場合について、国民参加で議論して決めるべき。

本基本方針、再商品化等に必要な行為に関する基準について、国民の皆様からの御意見を募集したところです。

再商品化されたものの利用拡大を図るという方向性は、大量生産を維持・拡大することになるのではないか。再商品化されたもので全ての家電製品を製造すべき。

そもそも特定家庭用機器廃棄物の排出抑制と再商品化等の促進により、循環型経済社会を形成することを目的としています。特定家庭用機器はもとより、他の製品においても、再商品化されたものへの原料の転換が図られることは循環型経済社会の形成のために有効であると考えています。

再商品化で得られた物の利用の促進について、これを後押しする具体的な施策を記述すべき。

再商品化で得られた物の利用の促進のについては既に盛り込まれています。また、法の規定においても、再商品化等により得られた物を利用することができる事業者は、再生資源利用促進法に定めるところにより、これを利用する義務を課せられるものとする旨の規定があります。

再商品化率の向上(特にプラスチック)のためには、素材メーカーの協力が不可欠。

御指摘を踏まえ、基本方針に反映させることとします。

金属、ガラスについて利用の拡大のみならず、原材料の統一化等の製品設計の段階からリサイクルを念頭においた製品設計をすべき。

既に盛り込まれています。

プリント配線板に含有される鉛等の金属類の再商品化という記述は削除すべき。

廃棄物の減量等による廃棄物の適正処理の確保等の観点から、プリント配線板の金属を回収・再商品化することは必要と考えています。

プラスチック類のリサイクルを考慮した製品設計が必要。また、プラスチック類の利用の拡大の方向も記述すべき。

リサイクルに考慮した設計等については既に盛り込まれています。また、プラスチック類の利用の拡大については、御指摘を踏まえ、基本方針に反映させることとします。

プラスチックも金属、ガラス同様再商品化を原則とすべき。

金属、ガラス、プラスチックいずれも、再商品化を行い、それが技術的困難性等から適切でない場合熱回収を行う、という原則は同じです。

オゾン層破壊物質はリサイクルせずに破壊するという原則を盛り込むべき。

オゾン層破壊物質や温室効果ガスについては、大気中に放出させないことが必要であり、その方策を破壊のみに限定する必然性はないものと考えています。

冷媒用フロンの回収について、冷媒容器の経済性に優れた物流体制の構築、冷媒容器に係る高圧ガス保安法の規制緩和を盛り込むべき。

能率的な再商品化等の実施に努めるべき旨既に記述してあります。また、高圧ガス保安法による規制については、安全性の確保等本法とは別の観点・法的枠組みによるものです。

冷媒フロンについて、全量回収に向けた具体的な目標を示したり、業者毎に回収率を報告させ、公表するなどをすべき。

本法においては、製造業者等に対して特定家庭用機器廃棄物の引取りを義務としており、また、その再商品化等に必要な行為を実施する場合には冷媒フロンの回収等も義務としています。さらに、基本方針案においても、回収効率の向上、再商品化等の状況について公表する際における排出者の理解を得る努力等について記述を盛り込むこととしています。

断熱材について、燃焼無害化技術の早期開発を盛り込むべき。

御指摘を踏まえ、「適正かつ」能率的な技術の開発という趣旨を基本方針に反映させることとします。

断熱材フロンも義務化すべき。

断熱材について、法施行当初からその破壊等の処理体制を整備することは困難なため、まずは技術開発や施設整備を促進することが適当であると考えています。

製造業者等について、設定料金は適正原価を勘案して設定されるため、その内容の詳細な説明は不要で、かつ、企業秘密の公開にもつながりかねない。

料金の内容について必要な情報の提供に努めるとともに、再商品化等の状況について公表する際には排出者の理解を得るよう努めることは、排出者による適正な排出の促進に資するものと考えています。

製品製造に当たっての材質の表示、原材料の統一化などが消費者及び事業者の責務として記述されているが、これは製造業者等の責務ではないか。

御指摘を踏まえ、基本方針に反映させることとします。

国が行う取組について、購入・使用者としての取組は当然として、調査研究と普及啓発しかないのは不十分。

情報提供や技術的支援等も講ずることとしています。

製造業者の再商品化等を実施する者として取り組むべき事項を後押しするような国の施策が必要であり、課徴金等の施策が必要。

ここに盛り込まれている製造業者等の取り組むべき事項は、いずれも法の義務として実施する再商品化等について、その円滑な実施のための取組の事例を示したものであり、これを後押しする施策としては基本方針案に既に盛り込まれている技術的支援や研究開発等が有効であると考えています。

5 知識の普及に関する意見

 

国は、本法に基づき実施されるリサイクルに要する費用負担の妥当性について理解を得られるよう広報活動等を行うべき。

適切な料金の支払いの重要性にかんがみ、法の趣旨及び内容について広報活動等を行う旨既に盛り込まれています。

普及啓発の方法について、ラベル、指標の開発により環境保全に資する効果がわかる仕組みや、家電製品に関する資源利用・処理状況等を示すことを検討すべき。

普及啓発の具体的方策については、御意見も参考にしつつ今後検討してまいりたいと考えています。

6 その他の事項に関する意見

 

LCAの手法のみに関する情報提供ではなく、LCAについてより幅広い情報提供(取組事例の紹介等)を行うべき。

情報提供に際し「手法そのもの」のみに限定するものではなく、例えばLCA手法の活用事例等もあり得ると考えています。

LCA手法の検討に当たっては、市民の意見を採り入れながら行うべき。

LCA手法の確立の具体的方策については、今後も検討してまいりたいと考えています。