別紙

      国連持続可能な開発委員会第7回会合(CSD7)各テーマの概要


1.海洋
   4月22日に我が方を含め約30ヶ国が海洋に関するステートメントを行った後、以下の4テーマについてディスカッションが行われた。閣僚レベルの議論を踏まえて報告書案の詰めが行われ、30日に採択される見通し。
(1)  海洋から持続的な食糧供給を受けることは貧困の撲滅の観点から非常に重要であること、同時に海洋生物の多様性を保護することが必要であることについて認識が共有された。特に、過剰漁獲と不要漁獲の廃絶が緊急の課題であるとの指摘が多くの国からなされた。
  a) FAOが策定した「違法な、報告されない、規制されない漁業(IUU)の撲滅のための行動計画」に沿って、各国が自国の旗を掲げる船に対して国際法を遵守させる責任があることが強く求められた。
  b) 補助金の削減は過剰漁獲の削減に寄与するとの主張に対して、我が国は、補助金が社会経済的な目標の実現を助け過剰漁獲能力の削減に寄与する場合もある旨指摘し、議長からもテイクノートされた。
  c) サンゴ礁は、海洋の健康のバロメーターであり貴重な観光資源であることからCSDが国際珊瑚礁イニシアティブを支援することが求められた。我が方からも、ICRIの一環として「国際サンゴ礁研究モニタリングセンター」を沖縄県に建設中であることを紹介した。
(2)  「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界計画(GPA)」の実施の加速化が必要であるとの認識が共有された。我が国を含め数ヶ国は、リージョナルな取組が重要であり、UNEPの地域海計画の促進に努めている旨発言した。
 また、難分解性有機汚染物質(POPs)に関する条約を早期に策定することの重要性が強調された。
(3)  海洋科学の推進について、健全な政策決定のための基礎として、エルニーニョ現象の解明など海洋を科学的に理解することの重要性が強調された。
(4)  海洋問題に関する国際的な調整・協力について、国連海洋法条約の枠組みの下で、既存の組織と財源を使用しつつ、国連総会での議論の効率を高めることが望ましいとの線で理解が得られつつある。
 
2.観光
   4月19日(月)から21日(水)にかけて、観光に関する4つのマルチステイクホルダー(企業、労働組合、地方自治体及びNGO)を中心にメンバー国を含めた討議並びに閣僚級会合が開催された。テーマは、「持続可能な観光のための企業のイニシアチブ」、「消費者行動への感化」、「観光を通じての広範な持続可能な開発の促進」及び 「観光の沿岸地域への影響」の4つに絞られた。
  閣僚ステートメント及び討議での主なポイントは以下のとおり。
 
  • 持続可能な観光に関して、どのような行動を誰がどこでいつ、といったワークプログラムが必要
  • その中への企業や自治体の役割の反映
  • 観光に関するキャパシティービルディングの手段が必要
  • 適切な観光計画及び管理が重要
  • 沿岸問題への取組を促進
  • 観光に関する研究を促進
  • セックスツーリズムの撲滅に対する各国及びILOの積極的取組が必要
3.消費生産パターンの変更
   4月23日(金)午後に、消費生産パターンの変更に関する閣僚級会合が開催され、12カ国の閣僚級参加者が演説を行った。引き続き討議が行われ、政府施策の統合的調整、自然資源の有効活用、グローバリゼーションといったテーマについて議論が行われた。
 演説や討議で表明された主な見解は以下のとおり。
 
  • 持続可能な消費を盛り込むための国連消費者保護ガイドラインの改訂を支持
  • 消費生産パターンの変更に関する原則として多主体が取り組みに関わること、南北の連携、貧困の撲滅、技術協力の進展が必要。また伝統的な価値観を見直すことも重要。
  • 横断的な政策として、炭素税といった経済的手法が有効。また投資における環境配慮が必要であるとともに、次期WTO交渉で環境について考慮することが不可欠。
  • 消費生産パターンの状況をとらえる指標づくりが今後必要になる。
  • 生産者側の対策としてエコエフィシエンシー、クリーナープロダクション、ファクター10が重要。
  • 消費者側の対策として情報提供、ラベリング、公的調達のグリーン化が重要