環境基本計画の見直しの論点と作業の進め方の整理について

平成11年10月1日
中央環境審議会
企画政策部会


1 計画見直しの基本的方向性

2 計画の構成

(参考) 「環境基本計画のフォローアップの総括について」3(1)イ
イ、 重点的に取り組むべき施策群の提示
   環境問題の適切な解決を図っていくためには、問題の性質や構造を明確にし、問題解決のための方策や道筋をわかりやすく提示し、コンセンサスを形成していくことが有効であると考えられる。
 そのための一助として、相互に関係の深い施策を適切にパッケージし、これを、総合的な枠組みの中に体系的に位置づけ、各主体の明確な責務と役割の分担の下に、整合性のとれた形で実施していくような枠組みを提供することを検討する必要がある。
 重点的に取り組むべき施策群の提示にあたっては、国民の要望や対応の緊急性等から特に重点的に実施して行く必要があると認められる事項について、国民の目から見たわかりやすさ、進捗状況や評価の容易さ、関係者間における合意形成の必要性等を勘案した上で、検討することが必要である。
 また、このような重点的に取り組む施策群について、環境基本計画の実効性確保のために考えられる方策を適用していくことを検討すべきである。

3 見直しに当たって特に留意すべき論点

(総論的事項)

(各論的事項) * 以上の検討に当たっては、以下の事項について留意する。 4 審議の進め方

(参考)各論的事項の検討の趣旨

※ 以下に記述する内容は、「各論的事項」の内容を補足するために、現時点において想定される検討すべき事項として付しているものであり、今後の議論によって適宜修正されるべきものである。

  1. 地球温暖化対策
     京都議定書に基づき、地球温暖化対策を推進するためには、国際交渉に積極的に参加し、そこで主導的な役割を果たし、国内においては国際的議論の進捗を踏まえつつ、実効ある対策を行うため、経済社会の仕組みやライフスタイルの見直しを含め、関係施策の総合的、戦略的推進を図る必要がある。

  2. 環境への負荷の少ない交通
     自動車交通をはじめとする交通の在り方は、大気汚染、騒音、振動、地球温暖化など環境に大きな影響を及ぼしており、その解決のためには、多様な交通手段から発生する環境への負荷の低減のための総合的な対策を講ずる必要がある。
  3. 環境保全上健全な水循環の在り方
     都市化等により自然の水循環系が損なわれることなどによって、水質の悪化、湧水の枯渇といった水環境上の問題が生じてきているが、その解決のためには、水質、水量等の個別要素にのみ着目した施策展開では足らず、地下水を含め、流域全体の視点から、健全な水循環の維持・回復を図っていく必要がある。
  4. 廃棄物対策等物質循環の在り方
     廃棄物・リサイクル対策については、個別の品目の特性を踏まえつつ、廃棄物の発生抑制、使用済み製品の再使用、回収されたものを原材料として利用するリサイクル、さらにそれが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合におけるエネルギーとしての利用を基調とし、最後に再使用、リサイクルできない廃棄物について適正に処理するとともに、製品の製造段階においてもその製品のリサイクルや処分について配慮を加えるなど、廃棄物・リサイクル対策を一体的に捉え、モノの流れの上流から下流まで環境保全上適切なとぎれのない物質循環の輪を構築する必要がある。
  5. 化学物質対策
     日常をとりまく化学物質は、環境に対する深刻な影響を及ぼすこともあり、そのリスク評価の進め方やリスク情報の開示等の課題を含め、化学物質の管理の在り方を基本に立ち返って検討する必要がある。
  6. 生物多様性の保全
     自然環境の保全については、二次的自然の保全等も含めた生物多様性の保全の観点から施策体系を再構築することが課題となっており、「生物多様性保全のための国土区分毎の保全」「国土レベルの生態系ネットワークの形成」「地域生態系の保全形成の促進」などを推進する必要がある。
  7. 国民の環境に対する意識を高め、行動を喚起するための政策の在り方(環境教育等)
     国民の環境に対する意識や知識は、環境に対する様々な取り組みの基盤となるものであり、これを高めるために行われる環境教育・環境学習や情報提供等は、持続可能な経済社会の構築のための不可欠な要素であるが、これが行われる場面は、義務教育課程における基礎的なものから企業における経営判断や技術開発に関連する専門的なものまで、国民生活のあらゆる場面に及び、内容も、地球環境、自然環境、生活環境など広範にわたる。このような事情を踏まえ、国民の環境に対する意識や知識を高めていくためには、どのような場面で、どのような対策を講ずるのが効果的かという観点から、環境教育等の裏付けとなる環境面の研究を含めて環境教育等の戦略的展開を図る必要がある。
  8. 経済社会のあらゆる場面に環境配慮を内在化させるための仕組み(経済社会のグリーン化メカニズム)の在り方
     今日の環境問題は、経済社会の在り方と密接に関わっており、その適切な解決を図っていくためには、経済社会のあらゆる活動に環境の視点を内在化していくことが重要である。このため、規制的手法、経済的手法の活用をはじめとして、環境管理システム、環境会計、自主的協定、戦略的環境アセスメント、環境負荷の低減に資する製品等の需要を促進させる仕組みの検討など環境配慮を経済社会に内在化させるための様々な手法について、幅広く検討を行い、これを経済社会システムの随所に戦略的に組み込んでいく必要がある。なお、率先実行計画の継承・発展については、行政への環境配慮の内在化ととらえ、その一環として検討する。
  9. 持続可能な経済社会の実現のための投資の在り方(環境投資)
     持続可能な経済社会の実現のためには、環境負荷の低減につながるインフラ整備や環境配慮型の製品・サービスの供給、生産の前段階の調査研究・技術開発等のための投資が行われることが重要である。このような観点から、あ環境投資の在り方について検討を行い、その推進を図る必要がある。
  10. 環境から見た地域づくりの在り方
     地域の環境問題を解決し、さらに持続可能な地域社会を構築していくためには、地域づくりに循環と共生の考え方を反映させ、国土・土地利用の在り方を環境保全の観点から捉えつつ、二次的自然の保全、景観、アメニティの問題や地域の資源を適切に取り入れた社会システムへの転換を含め、循環と共生を基調とする地域づくりのイメージとこれを実現するための施策についての基本的考え方を整理し、その推進を図る必要がある。
  11. 環境における国際的寄与・参加の在り方
     地球環境や我が国周辺の地域環境の保全は、我が国における健康で文化的な生活の将来にわたっての確保と深く関係しており、我が国の経済活動は地球環境に負荷を与えてきていることから、環境面で卓越した技術・経験等を有する国として、国際社会において環境面からの積極的な寄与・参加を行うことは我が国の責務でもある。このため、国際社会での環境に関連する新たな考え方や枠組みの形成への参画、政策面を含む研究、モニタリング、技術開発、開発途上国の支援、海外事業に係る環境配慮など、環境面における国際的寄与について、国際社会の動向を踏まえつつ、その方針とその在り方を幅広く検討し、我が国の環境政策に適切に位置づけていく必要がある。