報道発表資料本文


別添1〜3

(別添1)「街路照明器具のガイド」

ガイドライン (対象)
自治体、施設管理者、施設整備者、照明環境設計者、照明機器メーカー

第1項 推奨性能項目

 本章においては、街路照明の単体基準として以下の項目における推奨基準を設定する。

(評価項目) (1)照明率
(2)上方光束比
(3)グレア
(4)省エネルギー性

第2項 関係者の責務

(1) 製品情報の提供
照明機器メーカーは、推奨項目に関連する街路照明器具の性能の情報提供に努めるとともに、推奨基準に適合する照明機器の選定が容易になるように、積極的なカタログ記載事項の工夫などを行う。
(2) 購入、整備基準の見直し(行政等)
街路照明の購入(設備工事契約)について技術的基準を設ける場合に当たっては、照明環境類型への適合性も考慮しつつ、本章を適用するための検討を行う。

第3項 照明率

(1) 照明率が高くなるような機器の設置を推奨する。
(2) メーカーにおいても、設置された状態で、高い照明率を確保するための機器開発が行われることを推奨する。

第4項 上方光束比

(1) 「あんしん」の街路照明器具は、設置された状態で、上方光束比が5%以 下であることを推奨する。
(2)

照明環境[3]及び[4]の状態において、「たのしみ」の照明器具は、設置された状態で、以下の上方光束比であることを暫定的に許容する。

・短期目標としての指針 0〜15%(照明環境[3])
0〜20%(照明環境[4])
・行政(率先実行)による公共街路照明整備に関する指針 0〜15%(照明環境[3]・[4])

第5項 グレア

(1) 基本的には既存JIS、技術指針に従う。
(2) ハイウェイ灯の場合は、JIS C8131「道路照明器具」における光特性の項目に従う。
(3) 街路灯などは、照明学会・技術指針「歩行者のための屋外公共照明基準」における「グレアの制限」の項目に従う。
(4) それぞれの設置条件に応じて、環境への影響の有無を「屋外照明等設置チェックリスト」において確認する。
(5) HIDランプを使用する場合には、器具の透過材を通して、通常の通行に際し、光源が目に入らないように配慮する。

第6項 省エネルギー性の高い光源の使用(総合効率の向上)

 街路照明機器の効率は、その設置目的に応じて、照明率、ランプ効率、点灯装置の効率などによって、総合的に評価されるものである。省エネルギーの観点から、街路照明について、ランプ入力電力が200W以上の場合には総合効率60[lm/w]以上、ランプ入力電力が200w未満の場合には50[lm/w]以上であることを推奨する。

第7項 特殊事例における配慮事項

 上記の推奨項目における推奨基準を満たす状態においても、居住者、天体観測への影響、動植物・生態系への影響が大きいと懸念される地域・状況においては、個別事情に応じて、フード、ルーバ、遮光板等を設置するなどの追加装備による対策を行う。


(別添2)屋外照明等設置チェックリスト」

ガイドライン (対象)
施設整備者、施設管理者、照明環境設計者、市民

 照明環境に配慮した照明整備を行うに当たっては、その施設用途及び周辺環境に即し、必要十分で効率的な照明がなされるための検討が必要である。
 この検討に際しては、個々の照明の目的を明確化することが重要であり、これは「漏れ光」(ひいては障害光)の抑制、照明設備の効率化につながるものである。
 本章は、屋外照明設備の設置目的を明確にし、施設管理者、施設整備者等が周辺環境に配慮しつつ、適切な照明機器の設置・運用を行う過程における基本的なチェック手法を示すものである。

注)本章は、景観照明等に対しても、環境配慮についての基本的考え方を示すものであるが、大規模な景観照明やスタジアム等の施設については、本章で示されるよりも高度な知見に基づく、厳格な配慮がなされねばならない。(特にこのような場合には、対象案件に固有の照明環境配慮手法が検討されるべきである。)

第8項 チェック手順

1.「全体照明計画」の策定

 (1) 施設類型の把握
施設類型 (6類型:住居系、ビジネス系、公共施設系、公園・広場系、商業施設系、ドライブイン系)
 (2) 照明グループの選択
機能類型 (4類型:「歩行・通行」「防犯」「誘引・演出」 「景観」)
 (3)

周辺環境の把握

  照明グループの適合性のまとめ(施設適合性、周辺環境への適合性)
  「総合チェックシート」、「照明グループ配置図」の作成

2.「照明グループチェックシート」の作成

 (1) 照明グループ毎に「照明設置チェックリスト」による確認作業
 (2) 「照明グループチェックシート」の作成

3.照明整備後の実測による確認(可能な場合)

第9項 施設類型と本章の作業の必要性

 特に、公共施設系〜ドライブイン系に属する類型の施設においては、多様な照明目的が考えられることから、本章に沿った適切なチェックが行われることが望ましい。

注)本章における施設類型は、(夜間の)施設開放性等による分類であり、施設の業態と必ずしも対応するものではない。(例:公開空地を有するオフィスビル、夜間営業を行わない商業施設等)

第10項 環境教育的側面

 本章は、関係者の責務に基づくチェック作業を提示するだけのものではなく、環境に配慮した照明整備に対する基本的考え方を提案するものである。一般家庭における照明設置や住民による防犯灯の整備等の際にも問題点を整理するために広く活用されることが望ましい。

(周辺施設同士の協議の出発点として)

 良好な照明環境実現に向けた取組の出発点として、関係者による周辺環境配慮の責務に基づき個々の施設整備が行われることは、非常に重要である。しかし、本章における「周辺環境の把握」は、一施設整備上の立場による実測等のみでは十分であるとは言えない。周辺の照明環境も個々の照明目的に基づくものであるから、周辺施設同士が相互に配慮事項を確認し合うことも、個々の照明環境の向上に重要な役割を果たすと考えられる。その意味において、今後作成されるチェックシート類は、積極的に公開されることが望ましい。さらに、近い将来において、「夜間の街づくり」を広く議論するための材料としても、多くの関係者が活用することが望まれる。

(チェックシート類公開・保存の利点)

 ○周辺施設管理者(周辺住民)との協議の材料

  • 計画段階でのトラブルの防止
  • 周囲施設の照明目的設定との整合性の向上
  • 設置後の軽微な変更による配慮(従前の資料整備により、問題点が明確になっている)

 ○チェック手法普及の材料として

  • 啓発主体(行政・メーカー)による実施例の収集

(照明環境類型に基づく見直し、適切な運用管理方針の検討のために)

 既存施設においても、「3.地域特性に応じた照明環境について」の考え方に沿って、環境配慮に向けた積極的な見直しが、本章に基づき行われる必要がある。
  また、施設管理方針に基づく適正な減光時間(及び減光率)を設定すること及び照明システムのメンテナンス(清掃、適切な器具更新、全般的管理)についても、積極的に検討されねばならない。


(別添3)「広告物等のガイド」

ガイドライン (対象)
施設管理者、広告物製造・設置事業者、照明環境設計者

 

第11項 ガイドラインの必要性

 屋外において人工光を発するランプは、一般に照明と呼ばれるものだけでなく、屋外広告物等にも付帯設置される。これらの人工光についても大気生活環境保全上の課題として適切な光害に対する配慮、対策が行われる必要がある。

第12項 本章で配慮を行う範囲

 人工光を利用する、

  1. 屋外広告物全般
  2. 屋外広告行為(移動式看板、自動販売機、サーチライト等)

第13項 主な配慮事項

(1)

「漏れ光」に対する配慮(「障害光」は未然に防ぐものとする)

{1}

照度、輝度を与える範囲の適正な設定を行う

  • 特に、サーチライト、レーザー等を広範囲に光が漏れ、影響が大きいものは許容しない。
{2}

発光方式の適切な選択を行う

  • 適切な発光、投光によるものを推奨する。
  • 内照式看板や蛍光部分の露出によるものは、その設置について十分な配慮がなされなければならない。
{3}

人工光使用総量の削減のための細かい工夫に努める。

  • コントラストの設計を工夫して、人工光使用総量の削減を行うなど
(2)

光の性質に関する配慮

{1} 点滅をさせないこと(発光部分、照射範囲)
{2} 動かさないこと(発光部分、照射範囲)
{3} 投光照明を着色しないこと(環境配慮としてフィルターをかけることは除く)
(3)

省エネルギーに関する配慮

{1} }効率の良い光源の使用を推奨する。
{2} 点灯時間に関する配慮(管理・運用上の配慮)を行う
(4)

他ガイドとの整合を考慮

{1} 照明環境類型との整合を図る
{2} チェックリスト作成を通じて行う各種配慮との整合を図る。



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