種の保存法に基づく国内希少野生動植物種等に
追加しようとする種の概要



種    名
(学    名)

生 育 状 況 等 
 

国内希少
野生動植物種

特定国内希少野生動植物種

アマミデンダ
(ポリュスティクム・オパイ)




 

 樹木に庇蔭された水際の岩上に群生する小型のシダ。
 奄美大島のごく一部の河川の中流より上流域にのみ生育が確認されている。
 伐採による木陰の消失や河川への土砂の流入による淵の消失、流路の変化等による生育環境の変化が圧迫要因と考えられる。



  
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ヤドリコケモモ
(ヴァキニウム・アマミアヌム)





 

 低地から山地にかけての良く発達したイタジイ自然林内の大径木の樹上に着生する奄美大島固有の常緑低木。樹高は20〜60cm程で枝は着生部から下垂する。
 奄美大島のごく一部の地域にのみ生育が確認されている。
 着生可能な大径木の消失が圧迫要因と考えられる。




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コゴメキノエラン
(リパリス・エルリプティカ)






 

 国内では奄美大島のみに生育し、台湾に隔離分布する、草丈10cm程度の着生ラン。
 奄美大島内のしばしば霧に覆われるために高湿度で着生植物が発達した、ごく一部の森林(雲霧林)にのみ生育する。
 森林の伐採等による林床部の乾燥化等、生育環境の変化が圧迫要因と考えられる上、マニア・業者による盗掘も懸念される。
 




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(参考)
 国内希少野生動植物種
・我が国に生息・生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるもの。現在54種。
・捕獲・採取及び譲渡等を規制。
 
特定国内希少野生動植物種
・国内希少野生動植物種のうち、商業的に個体の繁殖をさせることが可能な種であって、政令で定めるもの。現在植物のみ5種。
・捕獲・採取を規制。譲渡は、販売業者等の届出制とし、譲渡人等の記録を義務付けている。
 
アマミデンダ(Polystichum obai Tagawa)
 
 アマミデンダはシダ植物のオシダ科イノデ属(Polystichum)に属する常緑多年生草本である。
 本種は全体に小型で、常緑性、渓流沿いの湿った岩上に群生する種である。奄美大島の固有種で、近縁種は現状では明らかでなく、特殊な矮生型あるいは小型の遺存種と考えられている。
 形態的には、葉柄は細く長さ1-2(-4)cm、葉身は線形〜線状披針形の単羽状複葉、長くのびると2回羽状複葉となり、長さ3-5(-12)cm、幅約1cm、羽片が10対程度である。根茎、葉柄、葉身ともに鱗片をつける。羽片には短い柄があり、辺縁はほぼ全縁か波状縁で、大きいものでは羽状に分裂して1-2対の小羽片がある。葉質は硬紙質、胞子嚢群は羽片につき、包膜は膜質、全縁である。
 
 
ヤドリコケモモ(Vaccinium amamianum Hatusima)
 
 ヤドリコケモモは、ツツジ科スノキ属(Vaccinium)に属する常緑小低木である。
 本種は、イタジイ原生林内でイタジイ等の巨木の枝の又など腐葉等が蓄積された樹上に着生する。高さは20-60cm程になるが、着生した樹幹から枝の部分が垂下がることもある。茎の下部には大きなコブ状の貯水器官がついている。
 葉は厚い革質で互生し、葉柄の長さ約1mm、葉身は楕円形〜長楕円形、長さ1.5-3cm、幅8-13mmで、葉身の先は円く先端は浅くへこむ。花期は5月で、頂生の短い総状花序を出し、数個の花をつける。花柄は長さ4-9mm、萼筒は広鐘形で先が5裂し、裂片は3角状卵形で先がとがる。花冠は白色で5本の紅色の縦条があり、つぼ状鐘形、1/4程まで5裂し、裂片は広卵形である。果実はやや平たい球形で径7mm程、熟すと紫黒色になる。
 本種は奄美大島の固有種であるが、同属の類似種は台湾に2種、中国雲南省、ヒマラヤ、マレーシアの高山等に十数種類知られている。
 
 
コゴメキノエラン(Liparis elliptica Wight)
 
 コゴメキノエランはラン科クモキリソウ属(Liparis)に属する常緑性の着生ランである。
 本種は草丈8−10cm程度の着生のランで、球茎は集合し、形はやや扁平で稜があり高さ2−2.5cm、2葉を頂生する。葉は広線状楕円形で長さ8-10cm程、淡い緑色である。花茎は下垂し長さ約20cm、総状花序で上半分(下垂しているので下側)に小さい花を多数つける。花は径約1cm、黄緑色で下向きに半開する。花期は冬の1月頃で、2週間ほど小花を咲かせる。3〜4月に種子が成熟する。
 本種はインド、ネパール、スリランカ、タイ等の東〜東南アジアにかけて分布しており、中国には分布せず、台湾と奄美大島に隔離分布している。奄美大島は生育地の北限であるが、奄美大島を除く琉球列島には分布せず、台湾から隔離分布している。