ベストプラクティス回答例 その2
理想的な対策の想定例
以下の項目に沿って、ベストプラクティスの内容を記述して下さい。
1. ベストプラクティスの名称
某市脱温暖化対策実証実験
2. ベストプラクティスの概要
A. 某市脱温暖化対策実証実験の概要
(1)脱温暖化社会構築に向けたモデルを形成する
本プロジェクトは、市民、自治体、事業者の連携のもとに、地域循環・自然エネルギー活用を基調とした脱温暖化型社会構築のモデルを形成するものである。最新の科学技術を複合的かつ集中的に導入し、かつ地域の固有性や特徴を生かしたGHG削減対策を実施する。
対策事業の貢献により、地域に継続的な経済効果をもたらし、地域の持続的な自立発展を促す契機ともなる。
(2)物流、消費、循環のシステムからGHG排出を削減する
(a)生ゴミの堆肥化・市内農地での活用、市内食材自給率の向上
生ゴミを堆肥化して活用する割合を増加させること等により、ゴミの減量及び肥料自給率の向上に伴いCO2の発生が抑制される。この肥料により生産された農産物を市内で消費することにより、輸送関連のCO2削減効果が期待できる。
(b)新エネルギーへの転換
余剰生ゴミや剪定枝葉、下水処理場からの汚泥等により、バイオマス発酵と昇華ガスを利用した燃料電池やマイクロガスタービンの導入を図る。これにより、生ゴミ等の焼却や化石燃料の利用に伴うCO2排出量の削減効果が期待できる。
(3)交通システムからのGHG排出を削減する
(a)電動アシスト付供用自転車の導入
坂が多く、高齢者人口の増加が見込まれる地域条件を考慮し、自動車利用の抑制を目的として電動アシスト付き共用自転車を導入する。電源としては、生ゴミ等のバイオマス発酵による燃料電池、風力発電、太陽光発電などを用いる。これによりガソリン消費に伴うCO2排出の削減効果がある。
(b)燃料電池等新エネルギーを用いた公共輸送車両の導入
路線バスやゴミ運搬車等の燃料源をBDF(Bio-Diesel Fuel)、天然ガス、燃料電池等に転換することにより、化石燃料の消費抑制、排ガスの削減、生ゴミ等の減量に伴うCO2排出量の削減が図られる。
(4)新エネルギー・未利用エネルギーの利用を促進する
2000年度までに実施予定の施策として、次のようなものが挙げられる。
(a)物質循環センターの設置
生ゴミ、剪定枝葉、下水汚泥、農業残渣等の有機廃棄物によるメタン発酵を行い、マイクロガスタービンや燃料電池によるコジェネレーションのプラントを本センターに設置する。発生した熱は、近隣の宅地や公共施設などにおいて地域冷暖房を図る。メタンは天然ガス自動車に利用し、将来的にはマイクロガスタービンや燃料電池により発電し、電気自動車、電動アシスト供用自転車の電源等して活用する。さらに、利用可能な時点において燃料電池巡回バスや燃料電池ゴミ運搬車等を導入する。
域内の学校、商業地域、公共施設等から回収した天ぷら廃油は、将来的にはBDFプラントで軽油代替燃料を生成し、燃料電池用燃料として利用する。
さらに、物品の修理・再利用のための修繕センターを併設する。
(b)ファーマーズセンターの設置
農地を中心とした物質循環の拠点、市民と市内農家の交流の場等として位置づける。ここには、生ゴミの堆肥化プラント、地場農産物の直売所等を設置する。また、省エネルギー、新エネルギー導入型の設計を施し、総合的な環境保全型農業の拠点とする。将来的には燃料電池巡回バスの停留所や、電動供用自転車の充電スタンドとしての機能を追加する。
(c)脱温暖化ショッピングモールの設置
駐車場の一部を充電機能付き自転車置き場への転換、地場農産物の優先販売、モールの設備や店舗の設備の省エネ化、ショッピングバック持参回数、リユース瓶の返却数に応じた自転車駐輪充電券の発行等を行う。
(d)充電機能付き駐輪場の整備
温暖化対策の拠点、及び駅前、バス停付近、公共施設、遊戯施設等、人が多く集まる場所に、可能な限り充電機能付き駐輪場の整備を行う。これにより、脱温暖化施設へのアクセスを容易にして利便性を確保し、併せて市民への啓発効果を高める。
B. ベストプラクティスとしての選定理由
(1)意欲的かつ注目すべき対策である
市レベルでの総合的かつ横断的な脱温暖化型社会システム構築事業としては、日本で初めて行われる試みである。
(2)G8及びそれ以外の先進国において各主体が国内対策を実施する際の参考となるものである。
多様な主体の緊密な連携によって行われるものであり、先進諸国において各主体が国内対策を実施する際の参考となる。
(3)定量的もしくは定性的な効果の評価が可能である
本プロジェクトにより、以下の削減効果が期待される。
・ 物流、消費、循環のシステムの改善による削減効果:○○tCO2/年
・ 交通システムの転換による削減効果:○○tCO2/年
・ 新エネルギー・未利用エネルギーの利用促進による削減効果:○○tCO2/年
(4)途上国への適用もしくは技術移転が可能である
生ゴミや農業残渣等、有機廃棄物の利用による燃料電池やマイクロガスタービン等は、途上国における導入の見込みが高い技術としてメーカーから注目されている。このような技術を実用化した本プロジェクトは、途上国への適用もしくは技術移転に当たっての有効な参照事例となり得る。
(5)実施する国や地域の自然的特性に適したものである
地域の地形、人口構成等を考慮し、適切と考えられる技術を重点的に導入したものである。
C. 課題とその克服方法
分野・セクター横断的取組であるため、各主体間の合意形成に最も時間を要した。これについては、各主体の代表者及び希望者による円卓会議を組織し、情報交換と討議を重ねることで克服を図った。
行政及び事業者は、主として燃料電池等新技術の導入についての資金面を懸念していた。市民の主な懸念は、農業廃棄物に含まれる可能性がある農薬に関するものであった。
前者については、立ち上げ当初の予算の一部について、環境庁の資金的補助を得ることで克服を図った。後者については、自治体、農家、市民の間で、農薬利用が改善されつつある実態についての議論が進められており、2000年初めまでには合意が為される見通しである。合わせて、この取組の安全性と期待される効果についての啓発キャンペーンを行う必要性は確認されている。
3. ベストプラクティスの分類
以下の区分のうち、当てはまるものをチェックして下さい。
(1)分類
( )制度的アプローチ(政策(規制・優遇等))
( )プラクティカルアクション(主体個別の行動)
(X)社会的ネットワークメカニズム(連携の仕組み)
(2)参加主体
(X)市民 ( )政府 (X)自治体 (X)事業者
(3)対象分野
(X)
エネルギ− (X)民生・家庭 (X)民生・業務 (X)運輸( )
産業 (X)農業・土地利用・森林 ( )その他( )(4)対象とするGHG
(X)CO2 (X)NH4 (X)N2O ( )HFC ( )PFC ( )SF6( )その他( )
4. 添付資料リスト
(No.1と3はテキストファイルを添付。No.2、4、5は別途送付。)
No.1 某市脱温暖化対策実証実験 計画書
No.2 某市脱温暖化対策実証実験の構造(フローチャート)
No.3 GHG排出量削減効果の算定手法及び結果
No.4 某市の環境の現況に関する報告書
No.5 某市の統計(1998年版)
5. 照会先
このベストプラクティスに関する照会先を示して下さい。
担当者氏名:○田○子
組織:某市環境部環境保全課
肩書:課長
Email:abcde@xyznet.go.jp
Tel:0**-123-4567
Fax:0**-123-9876
住所:○県某市△町1-1
その他:特になし
以上