(別添)

1.大気基準適用施設の施設規模要件等

 (1) 規模要件等(法第2条第2項関係)
 法による規制の対象となる「特定施設」のうち、排出ガスについての排出基準が適用される施設である「大気基準適用施設」の具体的種類及び施設規模要件は、次のとおりとする。

[1] 廃棄物焼却炉
 火床面積(炉の床面積をいう。)(二以上の廃棄物焼却炉が一体として機能する場合にあっては、その火床面積の合計。)が0.5平方メートル以上又は焼却能力(二以上の廃棄物焼却炉が一体として機能する場合にあっては、その焼却能力の合計。)が1時間当たり50kg以上のもの
[2] 製鋼用電気炉
 製鋼の用に供する電気炉(鋳鋼又は鍛鋼の製造の用に供するものを除く。)であって、変圧器の定格容量が1,000キロボルトアンペア以上のもの
[3] 鉄鋼業焼結施設
 焼結鉱(銑鉄の製造の用に供するものに限る。)の製造の用に供する焼結炉であって、原料の処理能力が1時間当たり1トン以上のもの
[4] 亜鉛回収施設
 亜鉛の回収(原料として製鋼用電気炉の集じん灰を使用するものに限る。)の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶解炉、溶鉱炉及び乾燥炉であって、原料の処理能力が1時間当たり0.5トン以上のもの
[5] アルミニウム合金製造施設
 アルミニウム合金の製造(原料としてアルミニウムくず(同一事業所内の圧延工程において生じたものを除く。)を使用するものに限る。)の用に供する溶解炉、焙焼炉及び乾燥炉であって、溶解炉にあっては容量が1トン以上のもので、焙焼炉及び乾燥炉にあっては、原料の処理能力が1時間当たり0.5トン以上のもの

(注1)
 この施設規模要件に該当する大気基準適用施設が、法による排出基準、施設設置等の届出義務、排出ガスの測定義務等の規制の対象となる。
(注2)
 大気基準適用施設として規制の対象とされるもの及びこれらに適用される排出基準の案については、中央環境審議会大気部会より、別途意見の募集がなされている(参考1の表を参照)。

 (2) 法による排出基準と大気汚染防止法による指定物質抑制基準との関係
[1] ダイオキシン類に対する排出規制を法の施行により実施していくのに伴い、これまで大気汚染防止法に基づき実施してきた、ダイオキシン類に係る排出・飛散の抑制に関する基準(指定物質抑制基準)は、原則として廃止される。
[2] 一方で、法においては、法の施行の際現に設置されている特定施設(以下「既存特定施設」という。)について、法による排出基準適合義務が、施行後1年間は適用されない取り扱いとなっている(法第20条第2項)。
 この既存特定施設のうち、現在、大気汚染防止法に基づき指定物質抑制基準が定められているもの(参考1の表の注を参照。)については、法の施行後1年間は、引き続きこの大気汚染防止法に基づく基準を存続させることとする。
2.水質基準対象施設の施設規模要件

 法による規制の対象となる「特定施設」のうち水質排出基準に係る施設である「水質 基準対象施設」については、参考2のとおり中央環境審議会水質部会より案が示され別 途意見の募集がなされているが、このうち施設規模要件を有するものは、廃棄物焼却施 設のみであって、その要件については、1(1)[1]の廃棄物焼却炉と同様とする。

3.特定施設に係る届出の様式等

  特定施設に係る届出の様式等については、以下のとおりとする。
[1] 新規設置施設及び新たに特定施設となった既存施設等の届出書の様式については、様式第1のとおりとする。(法第12条第1項、第13条第1項及び第2項、第14条関係)
[2] 新規設置施設の届出書に添付する書類に記載すべき事項として総理府令で定める事項は、
イ.大気基準適用施設については、
○排出ガスの発生及び排出ガスの処理の系統
○ダイオキシン類発生抑制のための構造上の配慮及び運転管理に関する事項
○排出ガスの測定箇所
○緊急連絡用の電話番号その他緊急時における連絡方法
ロ.水質基準対象施設については、
○用水及び排水の系統
○ダイオキシン類発生抑制のための構造上の配慮及び運転管理に関する事項
○緊急連絡用の電話番号その他緊急時における連絡方法
とする。(法第12条第2項関係)

[3] 特定施設の設置者の氏名、住所等の変更届出の様式は、様式第2のとおりとする。(法第18条関係)
[4] 特定施設の使用の廃止の届出の様式は、様式第3のとおりとする。(法第18条関係)
[5] 特定施設に係る届出者の地位の承継の届出の様式は、様式第4のとおりとする。(法第19条関係)
[6] 法に基づく届出をフレキシブルディスクにより行う場合の届出の様式は、様式第5のとおりとする。
4.報告徴収及び立入検査の方法(法第34条第1項関係)
 (1)大気基準適用施設に対し報告徴収・立入検査できる事項
[1] 都道府県知事が大気基準適用施設に対し報告の徴収を行うことのできる事項は、
   ○大気基準適用施設の使用の方法
   ○排出ガスの処理の方法
   ○排出ガスの量及び排出ガス中のダイオキシン類の濃度
   ○3.[2]イの事項
   ○事故の状況及び事故時の措置
  とする。
[2] 都道府県知事が大気基準適用施設に立ち入る際に検査することのできるものは、
   ○大気基準適用施設及び排出ガスの処理施設並びにこれらの関連施設
   ○大気基準適用施設において使用する燃料及び原料
   ○関係帳簿書類
  とする。
 (2)水質基準対象施設に対し報告徴収・立入検査できる事項
[1] 都道府県知事が水質基準対象施設に対し報告の徴収を行うことのできる事項は、
   ○施設の使用の方法
   ○汚水又は廃液の処理の方法
   ○排出水の汚染状態及び量
   ○3.[2]ロの事項
   ○事故の状況及び事故時の措置
  とする。
[2] 都道府県知事が水質基準対象施設に立ち入る際に検査することのできるものは、
   ○水質基準対象施設及び汚水等の処理施設並びにこれらの関連施設
   ○水質基準対象施設において使用する原料
   ○当該特定事業場の敷地内の土壌及び地下水
   ○関係帳簿書類
  とする。
5.排出基準等の違反に対する罰則適用の際の測定方法(法第45条第3項関係)
  排出基準等の違反に対し罰則を適用する際の都道府県職員による測定の方法は、以下のとおりとする。
[1] 同一試料に関し原則2回測定し、その結果確実に基準値を超過していること。
[2] 測定方法はJISに則ること。
[3] 測定は、施設の標準的な運転が行われている時期に、通常の負荷及び管理状態において実施すること。
6.公害防止事業費事業者負担法の対象となる公害防止事業

  ○  法附則第8条により、公害防止事業費事業者負担法(以下「負担法」という。)第2条が以下のとおり改正された。
  第2条第2項
   この法律において、「公害防止事業」とは、次に掲げる事業であつて、事業者の事業活動による公害を防止するために事業者にその費用の全部又は一部を負担させるものとして国又は地方公共団体が実施するものをいう。
    一・二 (略)
     公害の原因となる物質により被害が生じている農用地若しくは農業用施設又はダイオキシン類により土壌が汚染されている土地について実施される客土事 業、施設改築事業その他の政令で定める事業
    四・五 (略)
  ○  この負担法の改正を受け、同法上の「公害防止事業」の対象となるダイオキシン類土壌汚染対策事業について、負担法施行令を改正し、以下の事業を定める。
   法第29条第1項のダイオキシン類土壌汚染対策地域の指定要件に該当する土地について行う以下の事業
    [1] ダイオキシン類による土壌の汚染の除去に関する事業
    [2] ダイオキシン類により汚染されている土壌に係る土地の利用等により人の健康に 係る被害が生ずることを防止するため必要な事業
    [3] ダイオキシン類による土壌の汚染を防止するための事業

7.瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく許可申請書の様式

 法附則第11条により瀬戸内海環境保全特別措置法(以下「瀬戸内法」という。)の許可の対象に法の特定施設が加えられたことを受け、瀬戸内法の特定施設の許可申請書の様式を様式第6及び第7のように改正する。(瀬戸内法施行規則第3条)


【参考1:中央環境審議会大気部会報告案における大気基準適用施設及び大気排出基準】

○ダイオキシン類に係る大気基準適用施設及び大気排出基準値(案)

(単位:ナノグラムTEQ/m3N)
種  類
施設規模
新設施設基準
既 設 施 設 基 準
H12.1-H13.1
H13.1-H14.11
H14.12-
廃棄物焼却炉 4t/時以上
0.1
基準の適用を猶予
80
1
2t/時-4t/時
1
5
2t/時未満
5
10
製鋼用電気炉
0.5
20
5
鉄鋼業焼結施設
0.1
2
1
亜鉛回収施設
1
40
10
アルミニウム合金製造施設
1
20
5
注:現在、大気汚染防止法で指定物質抑制基準の対象となっているのは、廃棄物焼却炉(燃焼能力 200kg/時以上)及び製鋼用電気炉。

【参考2:中央環境審議会水質部会答申案における水質基準対象施設及び水質排出基準】

○ダイオキシン類に係る水質基準対象施設及び水質排出基準値(案)

(単位:ピコグラムTEQ/l)
特定施設の種類
新設施設の質排出基準
既設施設の水質排出基準
クラフトパルプ製造の用に供する施設のうち塩素系漂白施設 10 10
廃PCB等又はPCB処理物の分解施設
PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設
アルミニウム・同合金の製造の用に供する溶解炉、乾燥炉又は培焼炉に係る廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設 10 (20)
塩化ビニルモノマー製造の用に供する施設のうち二塩化エチレン洗浄施設
廃棄物焼却施設の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設、汚水等を排出する灰ピット(燃焼能力50kg/時以上のものに限る。) 10 (50)
上記の施設から排出される下水を処理する下水道終末処理施設 10
上記の施設を設置する事業場から排出される水の処理施設
  ※( )内は、法の施行後、3年間適用する暫定的な水質排出基準である。