日本動物園・水族館協会対する要請書

環自野第 113 号
平成12年3月27日

 日本動物園・水族館協会会長 殿

環境庁自然保護局野生生物課長 森 康二郎

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の遵守について

 日頃より、希少野生動植物の種の保存に御理解と御尽力をいただき、厚く感謝申し上げます。
 さて、報道等で御案内のとおり、近時、ワシントン条約附属書Iに掲載され、原則として輸出入や国内での取引が禁止されている希少野生動植物種の生きた個体に係る違法取引が相次いで摘発されているところであります。
 日本動物園・水族館協会加盟園館におかれては、従来より、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)の趣旨を御理解いただき、その遵守について、特段の御協力をいただいているところでありますが、このような最近の状況にかんがみ、改めて、下記に御留意いただき、種の保存法違反の未然防止について御協力いただきたく、貴協会管下の動物園及び水族館に対して、周知方よろしくお願いいたします。

 1 希少野生動植物種の個体の譲渡等について

 種の保存法に基づき、希少野生動植物種の個体等は、原則として、譲渡し若しくは譲受け(所有権の移転)、引渡し・引取り(占有の移転)、が禁止され、環境庁長官の許可又は登録等の除外事由がない場合、譲渡ができないことに十分留意下さい。(種の保存法第12条参照)

 2 生きた個体の譲渡等に係る環境庁長官の登録について

 種の保存法に基づき、環境庁長官の登録を受けた個体については、必ず登録票とともに譲渡を行って下さい。また、死亡し埋葬した個体、輸出した個体については、速やかに当該個体に係る登録票を返納して下さい。(種の保存法第21条参照)

 なお、動物園等で繁殖した希少野生動植物種の個体については、登録により譲渡等を行うことも法律上認められていますが、当該個体がペットショップ等で販売されることも想定されます。トラ、オランウータン等の大型哺乳類等特に個体数が少ない生きた個体については、種の保存の観点からは、できる限り学術研究又は繁殖に資する目的で飼育されることが望ましいことから、譲渡等に当たっては、可能な限り環境庁長官の登録によらず、環境庁長官の許可によることとされるよう御協力を願います。

 3 希少野生動植物種の個体の取引に係る情報提供について

 希少野生動植物種の個体等を譲り受け、又は、貸借により引き渡しを受けようとする場合には、譲渡し人又は引渡し人に対して、事前に、種の保存法に基づく許可又は登録を受けた個体であるかどうかにつき確認されるよう留意されるとともに、違法な譲渡等に係る個体である疑いがある場合には、環境庁への情報提供につき、御協力いただきますようお願いします。