(別紙)

自動車NOx総量削減方策検討会報告書(案)の概要


1.大気汚染等の現状

・ 自動車NOx法の特定地域(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府及び兵庫県の6都府県196市区町村)全体における平成10年度のNO2環境基準の達成率は、一般環境大気測定局74.1%、自動車排出ガス測定局35.7%、合計60.8%にとどまっている。
・ 自排局のNOx濃度は低下傾向を示しているが、一般局は、横這いで推移している。また、NO2  濃度では、一般局、自排局とも横ばいで推移しており、改善がみられていない。

2.自動車NOx排出量等の状況
(自動車保有台数等)
・ 関係6都府県における自動車保有台数は、2年度から9年度までに約2割増加している。貨物車等のディーゼル化が引き続き進行している。また、貨物車では重いクラスの車両の割合が増加傾向にあり、大型化が進行している。

(走行量の推移)
・ 特定地域における自動車走行量は、平成2年度から9年度までに約1割伸びている。
・ 車種別では、乗用車及び普通貨物車の走行量の増加が大きい。

(自動車NOx排出量等)
・ 特定地域における2年度から9年度までの自動車NOx排出量は、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県については、減少しているが、削減目標量には達していない。埼玉県については、9年度は2年度より若干増加している。また、千葉県については、9年度は目標排出量を下回っているものの、環境基準の達成率に改善がみられていない。
・ ディーゼル車は、自動車の排出量の約8割を占めている。
・ 特定地域における工場・事業場等を含むNOx総排出量は減少しているものの、自動車からのNOx排出量が依然として大きな割合(例えば、9年度、東京都65%、大阪府52%)を占めている。

3.各種施策の進捗状況と評価
 総量削減計画に盛り込まれた下記施策について、評価を行った。

 [1] 自動車単体対策の強化等
 [2] 車種規制の実施等
 [3] 低公害車の普及促進
 [4] 物流対策の推進
 [5] 人流対策の推進
 [6] 交通流対策の推進 等

・ 単体・車種規制等の効果により、2年度から9年度の間に、排出量が約1割減少しているが、走行量は約1割増加しており、全体としての自動車一台当たりからの排出量は、約2割減少していると考えられる。
・ 単体・車種規制については、交通量の伸びの他、車両の大型化、ディーゼル化等によって、一部その効果が減殺されていると考えられる。
・ 低公害車(4車種)の普及状況は、1万台程度にとどまっている。
・ 物流・人流・交通流対策については、個々の施策が進められているが、その効果を数量的に評価するまでに至らず、必ずしも改善の傾向がみられない。
・ 各種施策は必ずしも所期の効果を上げているとはいえず、実効ある施策の検討が必要である。

4.総量削減方策の検討
(対策強化の必要性)
・ 12年度の削減目標量の達成は厳しい状況にあり、環境濃度及び環境基準の達成率は、改善が進んでおらず、環境基準の12年度概ね達成は難しい状況にある。
・ 加えて、現在の計画では、環境基準の概ね達成を目標としていたが、環境基準の完全達成を目標とするためには、より一層の削減が必要となる。
・ 現状の枠組みの下での対策では、環境基準の早期達成は困難であり、対策の充実・強化が必要である。

(単体規制)
・ 大気汚染防止法に基づく単体規制については、中央環境審議会第2次答申及び第3次答申等に沿って排出ガス規制の早期の実施が必要である。

(施策のオプション)   
  [1] 車種規制の充実・強化
ディーゼルトラック・バスのガソリン車等への代替
ディーゼル乗用車のガソリン車への代替
  [2] 事業者におけるNOx排出抑制対策の強化

一定台数以上の自動車使用事業者によるNOx排出抑制のための自動車使用の抑制、低公害車の導入等の自動車管理計画の作成等
  [3] メーカーにおけるNOx総量等の抑制
メーカー別の販売する自動車からのNOx排出総量等の目標設定等
排出ガス性能の表示・説明
   [4] 自動車交通量の抑制
流入規制、ロードプライシング
大気汚染防止法第21条の要請限度の活用
社会的参加による自動車使用の抑制(例 時差出勤、相乗り等の社会実験)
  [5] 経済的措置の活用

税制の活用(排出ガス量に応じた課税、軽油の税額格差の是正)
  [6] 局地対策の強化

局地汚染対策計画の策定(道路・交通流対策、モニタリング整備等)

5.今後の課題
・ 施策のオプションについて、関係者の幅広い議論を期待するとともに、施策の組み合せも含めた検討を行い、実効ある施策の早急な具体化を求める。
・ ディーゼル車については、PMの削減も合わせて重要であり、DEPのリスク評価、環境挙動の解明を進め、自動車単体対策やその他諸対策の強化を図っていく必要がある。