瀬戸内海環境保全審議会
計画部会

瀬戸内海環境保全基本計画の変更について(報告)
(案)


 瀬戸内海環境保全基本計画は、昭和53年5月の計画策定以降、平成6年7月の一部変更を経て、現在に至っているところであるが、その間、瀬戸内海をめぐる環境や社会経済の状況は変化してきている。

 当審議会においては、平成11年1月19日の答申「瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について」において、今後の瀬戸内海における環境保全の取組み対する基本的な考え方として、保全型施策の充実、失われた良好な環境を回復させる施策の展開等が必要であると提言したところであるが、それも踏まえ、瀬戸内海環境保全基本計画の変更について、計画部会を設置し、慎重に検討を進めた。

 審議の結果、別紙のとおり、現行の瀬戸内海環境保全基本計画の変更案についての意見を取りまとめたところである。

 なお、当審議会として審議を進めるに当たっては、特に海砂利の採取及び埋立てに関して多くの論議を行い、以下のような認識に立って意見を取りまとめるに至ったものであるので、特に強調しておくものである。

(1) 海砂利の採取に関しては、瀬戸内海の海砂利は骨材として重要な資源であるが有限な天然資源であり、かつ、その採取が周辺の海域を含む動植物の生息・生育環境や漁業資源等に及ぼす影響にかんがみ、海砂利に依存しないことを目指しつつ、代替材の確保に限界がある点をも踏まえ、砕砂の増産等による海砂利への依存の低減を図ることが必要である。

(2) 埋立てに関しては、埋め立てられた海域は元の状態には戻らないものであり、瀬戸内海においては過去からの埋立て等により、藻場・干潟の減少等自然環境は悪化する方向にあることから、こうした状況に歯止めをかけることが必要である。
 一方、物流基盤、公共下水道終末処理場等の整備に加え、陸上残土、浚渫土砂、廃棄物等の処分場確保を目的とした埋立ての要請は、依然として根強い状況にある。
 このため、未利用地や既存施設の有効活用に加え、陸上残土や浚渫土砂等の搬出抑制・有効利用、廃棄物の発生抑制・再生利用等を通じた循環型社会の形成を推進し、もって厳に埋立ての抑制を図り環境への影響の回避・低減に努めることが必要である。
 また、事業計画の早い段階から環境影響の回避・低減に努めるとともに、小規模な埋立てであっても、個々の事業による環境影響が累積することを考慮することが重要である。
 さらに、瀬戸内海は一つの海域であるとの認識から、府県間の連携を図る観点も重要である。