(別 添)

廃棄物の不法輸出の再発防止策について
平成12年3月3日
警   察   庁
環   境   庁
外   務   省
大   蔵   省
厚   生   省
通 商 産 業 省
運   輸   省

1 国内における適正処理の推進

 廃棄物の排出抑制と減量化を図ること等により不正輸出につながる廃棄物等の発生を抑制するため、廃棄物処理法の改正による国内における適正処理の推進や各種リサイクル法の整備等を行うこととし、本国会に法案の提出を行う。

 (循環型社会基本法案(仮称))
 緊急の課題である廃棄物・リサイクル対策について国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、施策の総合的・計画的な推進の基盤を確立する。

 (廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の改正法案)
(1) 都道府県における不適正処理業者への監視・指導を強化するとともに、マニフェスト制度の見直し等排出事業者の責任を強化する。
(2) 国内での安全かつ適正な処理を確保するため、都道府県の関与する廃棄物処理センターにより信頼できる施設整備を促進する。

 (再生資源の利用の促進に関する法律の改正法案)
 リサイクル対策の強化に加え、廃棄物の発生抑制(リデュース)対策、再利用(リユース)対策等を導入し、不正輸出につながる廃棄物等の発生を抑制する。

2 輸出管理の強化

(1)関係者への制度の周知
[1] 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(以下「バーゼル法」という。)等に係る説明会等の実施
輸出事業者等を対象とする説明会を開催する。
産業廃棄物処理業者及び産業廃棄物処理業の許可を取得しようとする者に対する講習会にバーゼル法の説明を拡充する。
[2] 産業廃棄物処理業者団体に対する周知の徹底
 産業廃棄物処理業者団体の構成員がバーゼル法等の廃棄物等の輸出に係る制度を熟知するよう周知徹底を図る。
[3] 事業者団体に対する周知の徹底
 各種事業者団体の構成員がバーゼル法等の廃棄物等の輸出に係る制度を熟知するよう周知徹底を図る。

(2)各省庁に事前相談があった場合の対応
 通産省、厚生省又は環境庁(以下「所管省庁」という。)にバーゼル法の特定有害廃棄物等の該否、廃棄物処理法の廃棄物の該否の問合せがあった場合には、排出ルート、輸出先国における処理の場所・内容等を厳重に聴取し、該否の判定を厳格に行う。不正輸出のおそれがあると認められる場合には、その情報を大蔵省に提供する。

(3)税関における対応
[1] 各省庁は、不正輸出のおそれの高い輸出貨物、仕向地等に係る各種情報を大蔵省に提供し、大蔵省は、これらの情報提供も踏まえ、税関において選別的な審査・検査を実施する。
[2] 税関は、特定有害廃棄物等又は廃棄物に該当するか否か疑義がある場合には、輸出者に対し所管省庁への事前相談の指示を行う。また、税関が特定有害廃棄物等又は廃棄物に該当するおそれのある貨物について所管省庁に確認した場合には、当該省庁は税関に対し速やかに回答する。

(4)立入検査及び行政制裁の実施
 所管省庁は、バーゼル法及び廃棄物処理法に基づき、輸出者に対して適宜立入検査を実施する他、外国為替及び外国貿易法に基づく行政制裁を効果的に発動する。

(5)輸出先国等における関連情報の把握
 在外公館を通じて得られる日本から輸出される品目等に関連する輸出先国におけるリサイクルや処理の実情等の情報及びバーゼル事務局を通じて得られる各種情報を適宜把握し、関係省庁に提供する。

(6)HS品目表の見直しの促進
 「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」の改正(使用済物品の分類を明確化する改正を2002年に予定。)に即応できる国内体制の整備を図る。
注 1) 輸出申告の貨物の分類は、HS品目表に基づいている。
2) HS : Harmonized Commodity Description and Coding System の略

(7)刑罰法令の厳正な適用
 特定有害廃棄物等及び廃棄物の不法輸出事犯が明らかになった場合は、関係機関が連携して、刑罰法令の厳正な適用を図る。

3 問題発生時における迅速な対応のための措置

 問題発生時において措置命令や行政代執行の手続き、関係省庁間の連携体制の手続き等を迅速に行うためのマニュアルを作成する。