第2回日中韓三カ国環境大臣会合
共同コミュニケ(仮訳)
2000年2月27日 北京
 
1.解振華中華人民共和国国家環境保護総局長の招待により、清水嘉与子日本国国務大臣環境庁長官、金明子大韓民国環境部長官は北京を訪問し、2000年2月2627日に第2回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)を開催した。また、三大臣は2000年2月26日、釣魚台に、中国の朱鎔基総理を表敬訪問した。
 
2.大臣は、日中韓三カ国環境大臣会合(以下本会合)が、地域環境協力及び持続可能な開発を促進するための重要なフォーラムであることを再確認した。三大臣は、第4回アジア太平洋地域の環境と開発に関する閣僚会議(MCED*注)、2002年に予定されているアジェンダ21の包括的レビュー会合(リオ+10)をはじめとした、今後開催される重要な地域及び地球規模の環境会議の成功に三大臣が積極的に貢献すべきとの意見で一致した。
 
3.三大臣は、本会合が、意義ある効果をもたらしてきたことを認めた。また、三大臣は、環境協力の推進における本会合の役割をさらに向上させるために、適切な手法及びチャンネルを採用することが重要であるとの認識を共有した。
 
4.三大臣は、ソウルで開催された第一回会合以降に三カ国で実施された環境保全及び地域環境協力に関する成果、並びに第一回会合の際に提示された6つの優先協力分野に関する進展についてレビューを行った。三大臣は、本会合が様々なレベルでの環境協力を促進したこと、また、中央政府、地方政府、学術・研究機関、民間企業、NGOをはじめとした様々な形態での交流と協力を一層促進することが必要であることを認めた。
 

注)ESCAP環境大臣会議
5.また、三大臣は、上記の優先協力分野に関して、三カ国による更なる具体的なプロジェクト形式の協力を形成・実施していく意志を表明した。特に、三カ国が既に協力プロジェクトの構想を提案した、環境共同体意識の向上、淡水(湖沼)汚濁防止、陸上起因の海洋汚染の防止、及び環境産業分野に関するプロジェクトについて、三カ国の事務レベルで、その具体化に向けての検討を進める意志を確認した。
 
6.三大臣は、大気、水、海洋汚染、生物多様性、砂漠化対処、気候変動問題をはじめとした、様々な共通の関心事項についても議論した。
 
7.大気汚染問題に関し、三大臣は、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)、大気汚染物質長距離移動に関する三カ国共同研究プロジェクト(LTP)、及び、環境汚染データのモニタリングと解析のための地域センターの韓国での設立など既存の環境協力を推進する三カ国の努力を評価した。また、三大臣は、この3プロジェクトが、予定どおり実施段階に進むよう希望した。
 
8.海洋環境管理問題に関し、三大臣は、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の下で実施されている様々な活動を推進することの重要性を認識した。
 
9.三大臣は、気候変動問題に関する三カ国の対策の進展を評価し、また、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の全ての締約国が、条約の究極的目的の達成のため、共通であるが差異のある責任、それぞれの能力、並びに、各国の社会・経済条件に応じて、国内対策と国際協力をいっそう強化すべきであるとの共通認識を確認した。三大臣は、UNFCCCの第6回締約国会合の成功に向けた努力を行う意向、また、京都議定書を出来る限り早期に発効させる意向を表明した。
 
10.生態系及び生物多様性問題に関し、三大臣は、生息地保全と劣化した生態系の回復は、生物多様性の保全に不可欠であること、また、生物多様性の保全に関し、野生動植物の情報の収集及び共有も、適切な場合には、同様に重要であるとの認識を共有した。
 
11.水問題に関し、三大臣は、環境保全上健全な水循環を確保し、発展の基礎としての水資源を確保し、効率的な水の利用を可能とする持続可能な水資源管理が地域的のみならず地球的な関心事項であるとの認識を共有した。この意味で、この問題に関する共同の協力は、地球規模での取組みに貢献し、また国際的な環境関連フォーラムに積極的なメッセージをもたらすことができる。
 
12.三大臣は、次回会合は日本で開催することを決定した。時期及び開催地は開催国が提案し、各国に対し確認が行われることとした。また、三大臣は、三大臣が参加する国際会合の機会にも会うことの考えで一致した。
 
13.三大臣は、今回会合が友好的雰囲気で行われたこと、及び、その成果について満足の意を表すとともに、清水嘉与子大臣と金明子大臣は、開催国とその暖かいもてなしに対して感謝の意を表明した。
 
 
(署名)
清水 嘉与子
国務大臣 環境庁長官
日本国
 
(署名)
解  振 華
国家環境保護総局長
中華人民共和国
 
(署名)
金  明 子
環境部長官
大韓民国