資料1 |
秩父多摩国立公園の公園区域及び公園計画の変更案の概要
昭和25年 7月10日 | 公園区域の指定 | ||
昭和30年 3月30日 | 特別地域(未区分)の指定 | ||
昭和33年 5月31日 | 特別地域(未区分)の追加(小河内) | ||
昭和37年12月 7日 | 特別地域(第3種)の追加(秩父湖周辺) | ||
昭和43年 8月23日 | 特別地域(第3種)の追加(小河内,御岳・三頭山) |
・区域 | : | 関東平野の西方に横たわる関東山地の大部分を占め,埼玉,東京,山梨,長野の1都3県にまたがる。その区域は,東西約70km,南北約40kmにもわたる広大なものである。 | |
・景観の特徴 | : | 雲取山(標高2,017m)から甲武信ヶ岳(2,475m),国師ヶ岳(2,592m),金峰山(2,595m)に続く長大な奥秩父主稜を中心に,2,000m級の高峰20数座,1,500m以上の山峰80余を数える山岳公園で,火山国日本としては珍しく,火山を一つも含まない。山頂まで鬱蒼とした森林に被われており,アルプス的山岳とは趣を異にする日本的な深山幽谷の景観が特徴である。 荒川をはじめ,多摩川,笛吹川(富士川),千曲川(信濃川)など,関東及び本州・中部の代表的な河川が本公園に水源を発しており,各河川の浸食により,荒川の中津峡や奥多摩の諸渓谷,御岳昇仙峡,西沢渓谷など,至る所に深い渓谷が刻まれている。 各種水成岩の累層や花崗岩等の性質の異なった岩石が介在するので,浸食の度合いが異なり,山岳や渓谷の景観は変化に富んでいる。 | |
・動植物 | : | 山麓部の暖温性から山頂部の亜高山性に至る植生の垂直分布が明瞭である。 概ね標高2,000m以上の山頂部一帯は,鬱蒼としたコメツガやシラビソ等の亜高山性針葉樹林を主とし,林床はコケ類,シダ類に被われ,風倒枯損木をまぜた本公園独特の森林美が見られる。 標高2,000m~1,500mに及ぶ諸河川の源流域などでは,コメツガ,トウヒ等の針葉樹にシラカバなどのカンバ類,ナナカマド,カツラ等の広葉樹を加えた針広混交の自然林が繁茂し,山頂付近と同様にコケ類,シダ類の生育が旺盛である。 標高1,500m~800m付近では,ブナをはじめカエデ類などの広葉樹林に被われ,新緑,紅葉が美しい。 これに続く山麓部の渓流や集落地帯では,古くから林業が盛んなこともあり,主にスギ,ヒノキ,カラマツなどの整然とした人工林で占められている。 ツキノワグマ,カモシカ,ニホンザル,オオタカ,クマタカなど,動物層も多様である。 | |
・利用形態 | : | 首都圏の大都市群に近く,容易に利用できる好適な位置にある。その利用形態は,渓谷などの自然探勝,ハイキング,登山,キャンプ,魚釣り,社寺探訪などであり,夏季には,キャンプや川遊びが多い。平成10年の年間利用者数は約1,439万人となっている。 |
本公園は,昭和25年7月10日に指定され,昭和30年3月30日に特別地域の指定及び主な利用計画が決定された。その後,保護計画の一部変更などが行われている。 今回の公園区域及び公園計画の全般的な見直し(再検討)により,公園区域線の明確化や特別地域の拡張及び特別保護地区の指定など,地域の自然環境の現況を踏まえ自然環境の充実強化を図る。 利用計画においても,新たなニーズに対応し,適切な利用を図るものである。 |
1.公園区域の変更
一部区域の拡張(1ヶ所・3ha)及び削除(2ヶ所・計65ha)を行うことにより,公園面積が62ha減少し,126,259haとなる。
拡張 1ヶ所 (公園外→普通3ha)
削除 2ヶ所 (普通→公園外△8ha,普通→公園外△57ha)
2.保護計画の変更
地域の自然環境の現況を踏まえ,保護規制を強化する。この結果,特別地域が5,078ha増加する。また,本公園の代表的な景観である甲武信ヶ岳などの奥秩父主稜を中心に,計3,791haを特別保護地区として指定する。
なお,現行の特別地域は一部を除き地種区分が未定であることから,地種区分を設定する。
特別地域 | 普通地域 | ||||
変 更 後 | 56,487(44.7)69,772 | (55.3) | |||
特別保護地区 | 第1種特別地域 | 第2種特別地域 | 第3種特別地域 | ||
3,791(3.0) | 9,166(7.3) | 17,930(14.2) | 25,600(20.3) | ||
公園区域 126,259(100) |
3.利用計画の変更
本公園は,国立公園としては首都圏の大都市群に最も接近し,利用上有利な位置を占めているので,「美しい緑」を求めて,自然探勝,ハイキング,登山,キャンプ,魚釣り,社寺探訪などに訪れる者が多い。特に数日を費やして原生林の秘境を縦走する利用は,アルプス的山岳とは全く趣を異にした景観が求められることもあり,年々利用者が増加している。
このような利用の実態を踏まえ,集団施設地区(2ヶ所),単独施設(140ヶ所),車道(
25路線),歩道(84路線),運輸施設(4路線)を計画する。
(1) | 集団施設地区 | 2ヶ所 | (三峰,奥多摩湖岫沢) | |||
(2) | 単独施設 | 140ヶ所 | ||||
広場 | 5ヶ所 | 野営場 | 11ヶ所 | |||
園地 | 51ヶ所 | 運動場 | 1ヶ所 | |||
宿舎 | 29ヶ所 | 駐車場 | 12ヶ所 | |||
避難小屋 | 16ヶ所 | 給水施設 | 2ヶ所 | |||
休憩所 | 5ヶ所 | 公衆浴場 | 1ヶ所 | |||
案内所 | 1ヶ所 | 博物展示施設 | 6ヶ所 | |||
(3) | 道路(車道) | 25路線 | ||||
(4) | 道路(歩道) | 84路線 | ||||
(5) | 運輸施設 | 4路線 |