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ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめ(概要)
1.経緯 | |||
ディーゼル車対策技術評価検討会は、大都市を中心に二酸化窒素(NO2)及び浮遊粒子状物質(SPM)等による大気汚染が依然として厳しい状況にあることから、使用過程のディーゼル車からの排出ガス対策、特に粒子状物質(PM)低減対策技術について適用可能性、効果等を見極め、最新規制適合車への代替等を含めた対策別の効果等を検討するため、平成12年3月、環境庁、通商産業省及び運輸省の合同検討会として設置されたものである。これまで検討会を8回実施し、平成12年7月28日、その中間とりまとめを行った。 | |||
2.中間とりまとめの概要 | |||
(1) | 対策技術とその評価 | ||
使用過程のディーゼル車からのPM低減対策技術のうち、実績があるものについて、メーカーヒアリング及び実証試験により評価を行った。結果は以下のとおりであり、いずれのDPFについても、PM低減に効果は認められるが装着スペース等車両の構造条件や走行条件の制約があることから、条件を満たす一部の車種に適合できると考えられるものの、全ての使用過程のディーゼル車に装着可能な状況にはない。 | |||
○ | 交互再生式DPF | ||
(二つのフィルターで交互にPMを捕集し、電熱線等により焼却してフィルターを再生するもの。) | |||
走行条件の制約はなく現行軽油での使用が可能であるが、DPF取付けスペースの確保や高性能発電機への交換が必要など車両構造上の制約がある。このため、条件を満たす一部の車種に適用できると考えられる。なお、1年程度でセンサー類、3年程度でフィルターの交換が必要である。 | |||
○ | 連続再生式DPF(NO2による酸化方式) | ||
(フィルターの前に配置した酸化触媒により生成させたNO2を用いてフィルターで捕集したPMを比較的低温で連続的に酸化除去しフィルターを再生するもの。) | |||
排出ガス中のNOx/PM比の制約から短期規制以前の規制に適合した車には一般的に適用が困難であると考えられるほか、排気温度が一定以上となる走行が一定比率以上必要であり、低速で長時間走行する車両や乗用車には適用が困難である。現行軽油では、サルフェートの生成によりNO2が不十分となるため、低硫黄軽油の使用が必要である。このため、軽油の低硫黄化後に条件を満たす一部の自動車に適用できると考えられる。 | |||
○ | 連続再生式DPF(触媒による酸化方式) | ||
(フィルターに担持した触媒の作用でフィルターで捕集したPMを比較的低温で連続的に酸化除去しフィルターを再生するもの。) | |||
排気温度が一定以上となる走行が一定比率以上必要であり、低速で長時間走行する車両や乗用車には適用が困難である。現行軽油でも使用可能であるが、高負荷時にサルフェートが生成されてPMの低減効果が低くなるため、低硫黄軽油の使用が望ましい。このため、走行条件を満たす一部の自動車に適用できると考えられる。 | |||
○ | 間欠再生(バッチ)式DPF | ||
(フィルターでPMを捕集し自動車が稼動していないときに外部電源等を使用してフィルターを再生するもの。) | |||
原理的には車種を選ばないが、一回の捕集量に限界があるため一度に長距離を走行する自動車には適用が困難である。一回の走行距離の短い一部の自動車に適用できるが、使用者が再生等の管理を十分に担保でき、かつ再生用の電源設備を準備できることが条件となる。 | |||
(2) | 施策毎の効果等 | ||
最新規制適合車への代替及びDPF装着について、自動車NOx法の特定地域におけるNOx及びPMの低減効果等の分析を行ったところ、結果は以下のとおりである。 | |||
・ | 全ての使用過程車にDPFを装着可能であれば、そのPM低減効果が最も大きくなるが、技術的制約等からDPFの装着率が低いレベルにとどまるため、最新規制適合車への代替によるPM低減効果の方が高くなる。 | ||
・ | 最新規制適合車への代替を進めた場合、元年規制適合車は早期に代替することから、残余期間中にDPFを装着する効果は高くない。 | ||
・ | DPFの価格は、トラックで約50~80万円程度、バスで約70~240万円程度と見込まれている。 | ||
(3) | 今後とるべき具体的施策 | ||
使用過程のディーゼル車からの排出ガス対策については、次の基本的考え方に基づき施策を実施することが適当である。 | |||
・ | NO2及びSPMの環境基準達成が厳しい状況の下、NOx及びPM双方の低減が必要であるが、使用過程車へのDPF装着がPM低減に効果があるもののNOx低減にほとんど効果がないことから、基本的には古いディーゼル車は最新規制適合車への代替を促進することが適当である。 | ||
・ | DPFについては、現時点においては全ての使用過程のディーゼル車に装着可能な状況にはないことから一律の義務付けは不可能であるが、車種、走行条件等を限れば一部装着可能と考えられることから、それらのうち効果の優れたものに装着のインセンティブを付与することは有効である。 | ||
この基本的考え方に基づいた具体的な施策内容は次のとおりである。 | |||
・ | 元年規制以前のディーゼル車については、NOx、PM双方の排出量が多いことから、最新規制適合車への代替の促進が適当である。また、車齢が古く、平均使用年数の特に長いものを除けば、DPF装着後の使用可能期間が短いことから、DPF装着のインセンティブを付与し装着を促進させるような施策の必要性は高くない。 | ||
・ | 短期規制適合車については、NOx、PM双方の低減の観点から、最新規制適合車への代替の促進が適当である。また、DPF装着後も相当期間使用できることから、DPFの装着が可能な自動車についてインセンティブを付与しDPF装着を促進する施策も有効である。 | ||
・ | 長期規制車については、排出ガス規制が大幅に強化された最新規制適合車であり、現段階で特段の施策をとる必要性は高くない。 | ||
・ | DPFを装着する対象車種としては、装着に係る制約条件を満足し、装着後の使用可能期間が長いものが適当である。また、これは、インセンティブの対象として優先度が高い。 | ||
(4) | 今後の課題 | ||
[1] | DPFの実証調査における耐久試験の継続による確認 | ||
[2] | 今後とるべき具体的施策の実現のための規制やインセンティブ等の手法の検討、自動車NOx法の見直しへの反映 | ||
[3] | 排出ガス性能の良い自動車の規制開始以前の早期販売、更に多くの車種・走行条件に対応できるDPF等の後処理装置の開発 | ||
[4] | 硫黄分の少ない軽油の供給及びその基盤の整備 | ||
[5] | DPFが満たすべき一定の要件の検討、DPFの認定制度等の創設 | ||
[6] | 自動車の点検・整備の励行を促す方策の検討 |