平成18年8月22日
再生循環

硫酸ピッチの不適正処理の状況(平成17年度下半期)について

平成17年度下半期に確認された硫酸ピッチの不法投棄又は不適正保管等(以下「不適正処理」といいます。)の状況について、都道府県及び政令市の協力を得て取りまとめたのでお知らせします。結果の概要は次のとおりです。
(1)
平成17年度下半期に確認された硫酸ピッチの不適正処理は、件数で16件、量で2,768本(ドラム缶換算本数。以下同じ。)でした。
(2)
平成11年度から平成17年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の累計は、件数で257件、量で66,008本であり、うち205件、54,217本については処理済みです。
(3)
硫酸ピッチの不適正処理は、件数、量ともに、減少傾向にあります。

1 硫酸ピッチの不適正処理件数及び不適正処理量

 平成17年度下半期に確認された硫酸ピッチの不適正処理は、件数で16件、量で2,768本であり、平成17年度上半期(13件、1,127本)に比べ、件数、量ともに増加しましたが、ピーク時の平成15年度と比べ大幅に減少しており、経年的に見ると減少傾向にあります。
(「1.硫酸ピッチの不適正処理件数及び不適正処理量」参照)

2 不適正処理の形態

 平成17年度下半期に確認された硫酸ピッチの不適正処理の形態の内訳を見ると、件数では、不法投棄及び不適正保管がそれぞれ50%、量では、不法投棄が6%、不適正保管が94%でした。
 平成11年度から平成17年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の形態の内訳を見ると、件数では、不法投棄が47%、不適正保管が50%、量では、不法投棄が27%、不適正保管が65%でした。
(「2.不適正処理の形態」参照)

3 不適正処理実行者の内訳

 平成17年度下半期に確認された硫酸ピッチの不適正処理の実行者の内訳を見ると、件数では、実行者不明のものが44%と最も多く、次いで排出事業者のみによるもの及び収集運搬業者(無許可業者を含む。)のみによるものがそれぞれ19%でした。また、量では、その他の実行者のみによるものが60%と最も多く、次いで処理業者(無許可業者を含む。)のみによるものが25%でした。
 平成11年度から平成17年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の実行者の内訳を見ると、件数では、排出事業者のみによるものが30%と最も多く、次いで複数の実行者によるものが19%でした。また、量では、複数の実行者によるものが33%と最も多く、次いで排出事業者のみによるものが20%でした。
(「3.不適正処理実行者の内訳」参照)

4 処理状況

 平成11年度から平成17年度までに不適正処理が確認された硫酸ピッチの処理状況を見ると、件数では、すべて処理済みが80%、一部処理済みが7%、未処理が13%でした。また、量で見ると、処理済みが82%、未処理が18%でした。
 処理の実施者の内訳を見ると、件数では、排出事業者のみによる処理及び地方公共団体等(代執行)のみによる処理がそれぞれが25%と最も多く、次いで倉庫等管理者(土地所有者を含む。)のみによる処理が17%でした。また、量では、地方公共団体等(代執行)のみによる処理が32%と最も多く、次いで複数の実施者による処理が20%でした。
(「4.処理状況」参照)

5 措置命令の発出状況、行政代執行等の実施状況

 平成11年度から平成17年度までに確認された不適正処理事案のうち、措置命令が発出された事案は75件あり、そのうち行政代執行による処理が行われた事案は61件(22,079本)でした。
(「5.措置命令の発出、行政代執行等の実施状況」及び「6.行政指導・行政代執行等の内訳」参照)

(参考1)硫酸ピッチについて

 硫酸ピッチは、不正軽油(A重油と灯油を混和させて軽油として使用・販売するものであり、軽油引取税を脱税しているものをいいます。)を密造する際に、A重油及び灯油に含まれている識別剤クマリンを除去する目的で、濃硫酸による処理を行う際に発生する、廃硫酸と廃炭化水素油との混合物です。硫酸ピッチは、著しい腐食性や有毒ガス発生など、健康又は生活環境に著しい被害を生ずるおそれがある性状を有します。
 平成16年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正により、硫酸ピッチを指定有害廃棄物に指定して、保管の上限を20キロリットルに制限するなど処理基準を厳格化し、これに違反した場合には直罰の対象としました。
 また、軽油の密造及び軽油引取税の脱税に関しても、同年6月1日に改正地方税法が施行され罰則が強化されています。(例えば製造承認義務違反の罰金を50万円以下から500万円以下に引き上げ、法人重科の場合3億円以下としました。)

(参考2)スラッジについて

 硫酸ピッチの不適正処理の状況に加え、スラッジ(不正軽油製造の際、軽油を精製するために添加された活性白土、活性炭等の残滓)の不適正処理の状況についても併せて調査しました。その結果、平成17年度下半期に確認されたスラッジの不適正処理は、件数で19件、量で12,090本であり、平成11年度から平成17年度までに確認されたスラッジの不適正処理の累計は、件数で227件、量で68,484本でした。


(資料)硫酸ピッチの不適正処理の状況(平成17年度下半期)について [PDF 110KB]

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課適正処理・不法投棄対策室
直通:03-5501-3157
 室長:牧谷 邦昭(内線 6881)
 室長補佐:矢口 和博(内線 6883)
 専門官:加藤 博己(内線 6883)
 担当:島崎 考史(内線 6883)