「環境会計ガイドライン(2002年版)」の策定について
1.「環境会計ガイドライン」の趣旨
環境会計は、企業等の環境保全への取組を定量的に評価するための枠組みの一つである。企業等にとっては、自社の環境保全への取組をより効率的で効果の高いものにしていくための経営管理上の分析手段となり(内部機能)、企業等を取り巻く利害関係者にとっては、統一的な枠組みを通じて企業等の環境保全への取組を理解するための有効な情報となる(外部機能)。
環境省では、環境会計への取組を支援するために、環境会計に関する共通の枠組みを構築することを目的として、「環境会計システムの導入のためのガイドライン(2000年版)」を公表し、その普及を図ってきたところである。
2.改訂の経緯
「環境会計システムの導入のためのガイドライン(2000年版)」公表以降の、環境会計に取り組む企業数の増加と実務面での進展、平成13年2月の環境報告書及び環境パフォーマンス指標ガイドラインの公表、国際連合持続可能開発部など海外での調査研究の進展などを踏まえて、企業等での活用をさらに促進するとともに、取組企業数を更に広げるべく改訂を行った。
3.改訂の要点
(1) | 外部機能の一層の明確化 |
環境会計情報の開示を、環境報告書の一部と位置づけ、環境会計の外部報告を念頭にした一般的要件を設定した。さらに、環境会計情報の利用者の誤解を防ぐため、基本となる事項や開示項目などを明瞭に表示することとした。 | |
(2) | 環境保全コストの精緻化 |
環境保全コストについては、既存の枠組みを維持しつつ、個別の環境保全コストの内容をより精緻化した。また、実務の利便性を図るため、「投資額」と「費用額」をそれぞれを財務会計上の「償却資産の当期取得額」、「費用または損失」とした。 | |
(3) | 環境保全効果の体系化 |
環境保全効果については、環境パフォーマンス指標ガイドラインに準拠し、事業活動との関連から、投入、排出、産出、輸送等に体系的な区分をした。また、外部に公表する場合の表現方法についても、同様の体系により区分を明確にした。 さらに、環境保全効果の算定方法について、基準期間との単純比較による方法など新たに一定の考え方を提示した。 |
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(4) | 環境保全対策に伴う経済効果の体系化 |
環境保全対策に伴う経済効果については、発生の確実さ及び発生形態によって概念を整理した。 また、環境保全対策に伴う経済効果の算定方法について、環境保全効果の算定に準じた考え方を提示した。 |
4.環境会計ガイドライン改訂検討会委員 (敬称略、五十音順)
座長 | 河野 正男 | 横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科教授 |
郡嶌 孝 | 同志社大学 経済学部教授 | |
上妻 義直 | 上智大学 経済学部長 | |
國部 克彦 | 神戸大学大学院 経営学研究科教授 | |
小林 珠江 | 株式会社西友 環境推進室長 | |
多田 博之 | ソニー株式会社 社会環境部社会環境リレーション室長 | |
則武 祐二 | 株式会社リコー 社会環境本部環境経営推進室長 | |
水口 剛 | 高崎経済大学経済学部助教授 日本公認会計士協会環境会計専門部会長 | |
宮多 良 | キリンビール株式会社 社会環境部担当部長 | |
森下 研 | 株式会社エコマネジメント研究所 代表 | |
矢部 浩祥 | 中央大学 商学部教授 |
5.今後の予定
環境会計の取組の一層の促進のため、本ガイドラインの普及を図りつつ、企業等の実務者や消費者、取引先、投資家、従業員等の利害関係者の利便性を一層高めるため、環境会計手法のうち、さらに整備が必要な使用時・廃棄時の環境保全効果の算定や維持的な性格を持つコストに対応する効果の測定、環境ビジネスへの応用等について検討を進め、今後の実務、研究の進展に対応していきたいと考えている。
「環境会計ガイドライン2002 年版(公開草案)」に対する意見の概要及び意見に対する考え方について」[PDFファイル 88KB]
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境経済課
課長:三好 信俊(6260)
補佐:沢味 健司(6268)
担当:槌屋 岳洋(6252)