平成12年12月28日
砂漠化対処条約第4回締約国会議の結果について
「砂漠化に対処するための国連条約」第4回締約国会議(砂漠化対処条約COP4)が、12月11日から22日まで、170以上の国、政府間機関、国連諸機関、NGO等の参加を得て、ドイツのボンで開催され、条約の効果的な実施のための措置等が検討された。
また、締約国会議と並行して、12月12日から15日まで、条約に基づき設置されている科学技術委員会(CST)の会合が開催され、砂漠化対処に関連する科学技術的事項が検討された。CSTでは、「早期警戒体制に関する小委員会」の再設置が決定され、我が国より引き続き武内和彦東大教授が委員として参画することとなった。
第5回締約国会議(COP5)は、各国よりホストの申し出がない場合は、2001年9月17日〜28日に条約事務局所在地たるボンにて開催されることとなった。
また、締約国会議と並行して、12月12日から15日まで、条約に基づき設置されている科学技術委員会(CST)の会合が開催され、砂漠化対処に関連する科学技術的事項が検討された。CSTでは、「早期警戒体制に関する小委員会」の再設置が決定され、我が国より引き続き武内和彦東大教授が委員として参画することとなった。
第5回締約国会議(COP5)は、各国よりホストの申し出がない場合は、2001年9月17日〜28日に条約事務局所在地たるボンにて開催されることとなった。
1.期間、場所等 | ||
(1) | 期間 | |
平成12年12月11日(月)〜12月22日(金) | ||
(2) | 場所 | |
ボン(ドイツ) | ||
(3) | 我が国からの出席者 | |
在ボン國方公使、環境庁地球環境部伊藤補佐、東京大学武内教授のほか、外務省、農水省より担当官出席。 | ||
2.締約国会議(COP) | ||
(1) | 主要な議題 | |
・ | アフリカ以外の地域(アジア、ラテンアメリカなど)の砂漠化の影響を受ける締約国の条約実施に関する報告のレビュー | |
・ | 先進締約国による支援措置の報告のレビュー | |
・ | 国際機関、NGO等による支援活動のレビュー | |
・ | 条約実施の定期的レビューのための追加的手続又は制度上の仕組みの検討 | |
・ | 条約実施強化のための約束に関する宣言の検討 | |
(2) | 主な検討結果 | |
・ | 条約実施のレビューについては、今回の会合では、(i)COP3及びCOP4に提出された報告書をレビューし、砂漠化対処の更なる措置につき具体的な勧告を提案するため特別の作業部会が設立された。(ii)アフリカ、アジア、ラテンアメリカ・カリブ諸国及びこれらの地域から提出された報告書のうち31の報告書についてレビューが行われた。(iii)COP5までに会期間会合を開催し、全ての報告書をレビューし、テーマ別に分析を行うこととなった。(iv)なお、作業部会の共同議長より、会期間会合に対し、[1]開発途上国に対し、優良事例、主要な障害等につき発表すること、[2]先進締約国及び国際機関に対し、活発なフィードバックや貢献を期待すること、[3]先進締約国に対し、レビューの過程で得られた知見を実際の援助に活かすことを期待すること等が勧告された。 | |
・ | 条約実施の定期的レビューのための追加的手続又は制度上の仕組みについては、特別の作業部会が条約実施のための更なる措置に関する具体的勧告を行うこととし、それを踏まえ、条約実施レビュー委員会(CRIC)の設立の手続及び態様等に関してCOP5で検討されることとなった。 | |
・ | COP3の決定を受け、条約実施の強化の約束に関する宣言について検討が行われた結果、2005年末までの国家行動計画の完成、地球環境ファシリティ(GEF)・地球機構(GM)等を通じた資金・その他の資源へのアクセスの向上、他の環境関連条約等の協力の推進等の具体的方策を提言し、2003年以降2010年までに開催される締約国会議ごとに、条約事務局長が条約実施強化に関連した情報をまとめた報告を行うこととする宣言を採択。 | |
・ | COP5は、2001年3月末までに各国よりホストの申し出がない場合は、2001年9月17日より28日までボンにおいて開催することを決定。 | |
3.科学技術委員会(CST) | ||
(1) | 主要な議題 | |
・ | 専門家名簿についての検討 | |
・ | 国別報告書の科学技術面に関するレビュー及び実施 | |
・ | 既存のネットワークの調査及び評価 | |
・ | 伝統的知識についての検討 | |
・ | 早期警戒体制についての検討 | |
・ | 科学技術委員会の今後の作業計画の検討等 | |
(2) | 主な検討結果 | |
・ | 専門家名簿については、その利用の促進並びに専門家の性別及び専門分野のバランスについて議論が行われ、男女比、関係する全分野のカバー、草の根レベルとNGOの技術を入れることを特に意図して、各国からの専門家名簿の追加登録を求めること等を決定。 | |
・ | 国別報告書の科学技術面に関するレビュー及び実施については、 )締約国に対し、情報の収集・分析・配布の継続、最小限の影響指標の開発、並びに地域共同体及びNGOの参加を計測するための指標の開発を奨励。 )国別報告書に科学技術活動に関する情報を含めること等を決定。 | |
・ | 伝統的知識については、COP3で設置された小委員会の報告を受け、 )イタリア(小委員会議長国)に対し、伝統的知識に関する機関、団体、及び専門家のネットワーク構築に関する提案を提出するよう求めるとともに、 )CSTビューローに対し、会期間会合においてレビューした上で、検討のためCOP5に提出するよう求めること等を決定。 | |
・ | 早期警戒体制については、COP3で設置された小委員会(議長は武内東大教授)の報告を受け、 )小委員会を再設置し、早期警戒体制とモニタリング・評価のパフォーマンスの評価、 )干ばつ・砂漠化に対する脆弱性の分析の方法を中心とする干ばつの予測と砂漠化のモニタリングの方法、 )研究機関間の情報交換を促進するメカニズム、 )干ばつへの備えのより詳細な措置について検討すること等を決定。なお、前回に引き続き、我が国より武内和彦東大教授が委員として小委員会に参画することとなった。 | |
・ | 基準・指標について、サヘル地域干ばつ対策政府間常設委員会(CILSS)、サハラ・サヘル観測機構(OSS)等に対し、基準・指標の開発作業を継続することを奨励するとともに、CILSS及びOSSに、次回CSTにおいて進捗状況を報告するよう求めることを決定。 | |
・ | 砂漠化に関する科学・技術的な知見の充実等を図るためCSTを改善すべきとのEUからの問題提起を踏まえ、CSTの審議の効率と効果の改善について、 )締約国にその方法につき協議を行い、条約事務局に意見を提出するよう奨励するとともに、 )事務局に、それら意見の分析の準備をし、地域グループ間で協議を行い、COP5に報告するよう求めることを決定。 | |
・ | CSTの今後の作業計画については、 )CSTでは、条約実施に関する優先課題を集中的に審議すること、 )CST5においては、伝統的知識及び科学的知識の収集・分析・集約を含め、砂漠化に対処し、干ばつの影響を緩和するための優良事例に関するコミュニケーションとその使用の戦略について集中的に議論すること、 )各締約国に対し、2001年6月30日までに、優良事例について事務局に提出するよう求めること等を決定。 | |
4.その他 | ||
・ | COP4会期中の12日及び13日に、砂漠化対処条約第3回議員円卓会議が併せて開催され、清水嘉与子前環境庁長官が出席。条約実施強化のための宣言がとりまとめられ、締約国会議に報告された。 |
- 連絡先
- 環境庁水質保全局企画課
室長:伊藤 哲夫(6620)
補佐:川上 毅 (6626)
担当:池田 研造(6627)