平成26年11月4日
保健対策

残留性有機汚染物質検討委員会第10回会合(POPRC10)の結果について(お知らせ)

 10月27日から30日にかけて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第10回会合がローマ(イタリア)で開催されました。
 本会合では、ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類について、条約上の廃絶対象物質(製造、使用、輸入等の原則禁止)に追加することを第7回締約国会議(平成27年5月開催予定)に勧告することが決定されました。
 また、デカブロモジフェニルエーテル(デカBDE)及びジコホルについて、条約対象物質への追加に向けた検討をさらに進めることが決定されました。

1.背景

 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」とは、環境中での残留性や生物蓄積性及び人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の、製造及び使用の廃絶(附属書A)や制限(附属書B)、非意図的生成による放出の削減(附属書C)並びにこれらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約です。

 条約第8条に基づき、条約対象物質への追加について検討するため専門家からなる検討委員会(POPRC)が設置されています。POPRCでは、新たに提案された条約対象物質の候補について、【1】スクリーニング、【2】リスクの概要(リスクプロファイル)の評価、【3】リスクの管理に関する評価のプロセスを経て、締約国会議(COP)への勧告を行います。その上で、締約国会議において、POPs条約の対象物質とするか否かを決定することになります。

 COPにおいて条約対象物質に追加されることが決定した場合、各加盟国は、対象物質について、国内法令(我が国は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」という。)等)で製造、使用等を規制することになります。

2.今回会合の結果

 POPRCの第10回会合(POPRC10)は、10月27日~30日、ローマ(イタリア)で開催され、我が国からは、環境省及び経済産業省の担当官、国内の専門家等がオブザーバーとして出席しました。POPRC10で決定された内容は以下のとおりです。

 (1) 条約対象物質への追加

[1]ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類 (提案国:EU)

【主な用途】農薬、殺菌剤

 リスク管理に関する評価案を審議し、POPs条約上の位置づけ(製造等の廃絶(附属書A)又は制限(附属書B)、及び/又は非意図的生成による放出の削減(附属書C))の特定について審議し、電柱とその腕木への使用とそのための製造に係る適用除外を付した上で廃絶対象物質(附属書A)へ追加することをCOPに勧告することが決定されました。

 (2) 条約対象物質としての検討

[1]デカブロモジフェニルエーテル(デカBDE) (提案国:ノルウェー)

【主な用途】難燃剤

 リスクプロファイル案を審議し、当該物質が長距離移動の結果重大な悪影響をもたらす恐れがあるとの結論に達し、POPRCにおける検討をリスク管理に関する評価案を作成する段階に進め、引き続き検討を進めることが決定されました。

[2]ジコホル (提案国:EU) 

【主な用途】殺虫剤

 提案国から提出された提案書を前回の会合(POPRC9)に引き続いて審議した結果、スクリーニング基準を満たすとの結論に達し、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

※我が国においてジコホルは、化審法の第一種特定化学物質に指定済み。

 (3) ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の代替物質の評価

 附属書B(制限)に掲載されているPFOS(界面活性剤)については、いくつかの用途に対して適用除外が条約上認められており、これらの適用除外が引き続き必要であるかを2015年(平成27年)の第7回締約国会議(COP7)において評価することとされています。2013年(平成25年)から2014年(平成26年)にかけて日本を含め各国において実施されたPFOS適用除外に関する調査結果の報告書を2015年(平成27年)のCOP7に提出することが合意されました。

 また、PFOS代替物質の評価プロセスが採択されるとともに、PFOS代替物質の評価報告書がCOP7に提出されることが合意されました。

 さらに、PFOS代替物質の評価に関するガイダンスの改訂版については、2017年(平成29年)開催予定の第8回締約国会議(COP8)への提出に向けて、次のPOPRC会合(POPRC11)までの間、会期間作業ワーキンググループにおいてレビューを行うことが決定されました。

 なお、我が国においてPFOSは、化審法の第一種特定化学物質に指定済みであり、エッチング剤の製造、半導体用のレジストの製造及び業務用写真フィルムの製造の用途のみ使用が認められています。

3.今後のスケジュール(予定)

 次回会合(POPRC11)は、2015年(平成27年)10月にローマで開催される予定です。また、2015年(平成27年)5月に、第7回締約国会議(COP7)の開催が予定されています。

<参考>

 環境省関連情報ホームページ :http://www.env.go.jp/chemi/pops/index.html

 POPs条約ホームページ(英語) :http://chm.pops.int/

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
直通   :03-5521-8261
代表   :03-3581-3351
課長   :森下 哲 (内線 6350)
保健専門官:土井 研治(内線 6361)

環境省環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室
直通   :03-5521-8253
室長   :福島 健彦(内線 6309)
室長補佐 :高橋 亮介(内線 6324)
担当   :彦坂 早紀(内線 6329)