平成22年7月6日
保健対策

「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応−EXTEND2010−」の公表について(お知らせ)

 環境省では、平成17年3月に策定した「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について― ExTEND 2005 ―」を改定し、今般「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応−EXTEND2010−」を取りまとめましたので、公表いたします。
 また、平成22年5月20日(木)から6月15日(火)までの間に実施した、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応−EXTEND2010−(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果についても併せてお知らせします。

1.背景

 化学物質の内分泌かく乱作用に関する問題については、平成8年に海外の著書「奪われし未来」において指摘されたことをきっかけとして、化学物質による野生生物や人の生殖機能等への影響が疑われる多くの事例が取り上げられました。
 しかし、社会的関心が高いにも関わらず、科学的には未解明な点も多いため、環境省(平成10年当時は環境庁)では、平成10年に「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」を策定して調査研究に取り組み、平成17年からはこれを改定した対応方針である「ExTEND 2005」に基づいて、各種の取り組みを実施してきました。
 一方、近年、米国やEUにおいて化学物質の内分泌かく乱作用の評価を順次進める計画が動き出し、OECD(経済協力開発機構)でも加盟国の協力の下で内分泌かく乱化学物質の評価に関する検討が本格的に進められようとしています。

2.EXTEND 2010について

 上記のような状況の中で、環境省では昨年11月より、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会」等において、ExTEND2005におけるこれまでの取組状況をレビューするとともに、今後の進め方の方針の検討及び重点的に実施すべき課題の抽出を進め、今般、パブリックコメントの結果も踏まえ、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応― EXTEND*2010 ―」(別添1)を取りまとめました。
 環境省では、今後は、この新しい対応方針に基づき、化学物質の内分泌かく乱作用に関する各種取り組みを推進していく予定です。
 (* EXTEND: Extended Tasks on Endocrine Disruptionの略)

3.EXTEND 2010の概要

(1) 基本的な考え方

[1]
ExTEND2005の枠組みを基本的には踏襲しつつ、必要な改善を加えながら、内分泌かく乱作用に関する検討を発展的に推進する。
[2]
リスク管理の検討に向け、評価手法の確立と評価の実施を加速化する。
[3]
関係省庁間の役割分担の中で、引き続き生態系への影響について優先的に取組むが、環境中の化学物質が人の健康に及ぼすリスクも視野に入れる。
[4]
試験法や評価手法の確立に関する国際的な協力に引き続き積極的に参加する。諸外国等の動向に常に留意し、それらの成果を最大限活用する。

(2) 具体的方針

[1]
野生生物の生物学的知見研究及び基盤的研究の推進
行政としての目標やニーズを明確に反映させた課題を設定し、環境リスク評価に寄与しうる研究課題を優先的に選定する。
[2]
試験法の開発及び評価の枠組みの確立
試験結果等に基づく内分泌かく乱作用の評価の枠組みを早急に確立する。
[3]
環境中濃度の実態把握及びばく露の評価
環境省の化学物質環境実態調査等を活用して、環境中濃度を把握する。
[4]
作用・影響評価の実施
5年間で100物質程度を目途として検討対象物質の選定を行う。
文献情報の信頼性評価、試験、有害性評価等を加速化して推進する。
[5]
リスク評価及びリスク管理
他の作用と合わせてリスク評価を実施する。
リスク評価を受けてリスク管理が必要な物質が特定された場合は、速やかに適切なリスク管理施策を検討していく。
[6]
情報提供等の推進
ホームページ、研究発表会等により、一般の人にも積極的に情報発信を行う。
[7]
国際協力の推進
OECDの検討へ引き続き貢献する。また、日英、日米の二国間協力やアジア地域等の国際協力を進める。

4.パブリックコメントの実施結果

(1)
意見募集期間
 平成22年5月20日(木)から6月15日(火)まで
(2)
御意見の提出件数
 のべ意見数:47件(意見提出者数:20通)
(3)
御意見に対する対応
 寄せられた御意見及び環境省の考え方・対応は、別添2に取りまとめました。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
直通 03-5521-8261
代表 03-3581-3351
課長 早水 輝好(内6350)
課長補佐 本間 政人(内6352)

環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課
直通 03-5521-8252
環境リスク情報分析官
山崎 邦彦(内6391)